【貿易】代理店と販売店=AgencyとDistributorの違いとは?

貿易実務・事務処理

こんにちは。

とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。

先日、とある場所で会議をしているとき、「代理店」と「販売店」をごっちゃにして話している人がいたんです。

「代理店」と「販売店」、そしてこれらの英語表現である「エージェンシー( Agency )」と「ディストリビューター( Distributor )」の違いは、確かに間違えやすい。

それなりの貿易実務や海外営業経験があっても、混同しやすいのがこれらの二つの概念です。

特に「ディストリビューター」は、カタカナ英語としてもちょっと高度(複雑)な部類ですからね。

たとえば、以下のような使い方があります。

  • Distributor Agreement: 販売店契約(販売店としてライセンス元から認められた契約書)
  • Exclusive distributor: 独占販売店(特定の地域で唯一の販売店、という意味)
神高
神高

販売店と代理店、かなり経験を積んだ方でも(ぼくも含めて)時々、会話中に混同してしまうことがありますからね

しかし、この「代理店」と「販売店」は貿易実務を進めるうえで、明確に区別する必要があるんです。

貿易実務上、書類の送付先などにも影響を与えるからです。

今回は、「代理店」と「販売店」について一緒に整理しておきましょう。

ここでは、

  • 販売店 = Distributor (ディストリビューター)
  • 代理店 = Agency (エージェンシー)

の順に説明します。

神高
神高

今回の記事をよりシンプルにしたパワーポイントも用意しましたので、常識の範囲で自由に使ってください(ダウンロードもできます)

「販売店」は売り切り・買い切り(仕切り売り、とも呼ぶ)のこと

「販売店」は売り切り・買い切り(仕切り売り、とも呼びます)のことを指しています。

トヨタ自動車のHPを参照すると、そのあたりのややこしさを考慮して「国内販売店」「海外ディストリビューター」という表現をされているようですね。

「販売店」はお客様(エンドユーザー)と直接、売買契約を結びます。

つまり、「販売店」は仕入れてから売る「売主(うりぬし)」になります。

「販売店」は売値を(メーカーとの契約に金額の幅や制限が設けられることがあるとしても)決める自由があるため、大きな利益を得られる可能性がある取引の形態です。

その一方で、どうしても資金繰り(会社を運転する現金の用意)に注意せねばなりません。

仕入れ金額が大きいですから。

だから、脱サラして「代理店」はできても「販売店」を始めるのは相当な資金的援助がある場合を除いて難しいのです。

そのような関係性なので、「販売店」はある程度の資金力、社会的信用が必要です。

商品を買い、そしてメーカーにその代金を払います。平行して、お客さんを見つけ、商品を売ります。

この期間をいくら短くしても、必ず一旦、買い取りがあるため、メーカーや生産者への支払いは自己資金(あるいは借り入れした資金)を使わねばなりません。

さて、次は「販売店」が海外の商社などの場合をイメージしてみましょう。

「販売店」は仕入れ価格を顧客に知られてはいけません

「販売店」は仕入れ価格を顧客に知られてはいけません。当たり前のようですが、これに時々失敗して、余計なトラブルになることがあります。

特に航空便で客先に貨物を直送する場合です。

「代理店」経由で客先と取引をする場合、直接、貨物が客先に届きますし、船積書類も1種類しかないので間違えようがありません。

しかし、「販売店」、ディストリビューター経由の場合は「輸入」と「輸出」、二つのインボイスが存在するので、明確に分けておかないと混同してしまうリスクがあるのです。

絶対に<絶対に!>誤って「販売店」向けに作成した船積み書類や請求書を客先(この場合は最終な使用者という意味でエンドユーザーと呼ばれることもあります)に送ってはいけません。

「販売店」への売値、すなわち「販売店」の仕入価格がその先の客先にバレてしまうからです。

そんな自爆行為、普通は発生しないでしょ? カンダカさん……

その通り。当然、しないようにしなければいません。

しかし、多数の書類を平行して作成し煩雑な処理をしていたり、メールアドレスやFAX番号が販売店とエンドユーザーとの間で似ていたり、といった時にまで誤送信を100%回避できるとは限りません。

神高
神高

人間、レターヘッドが似ているだけでも混同しやすいのです。ですから、可能であれば、輸入の書類は輸出と明らかに違う外観にしましょう。

「代理店( agency )」と「販売店( distributor )」の違いは、貿易実務を始めた初歩の段階から意識しておくべきです。

さて、次は「代理店」の説明jです。

「代理店」の英語名はエージェンシー( Agency )のこと

海外営業・貿易実務の分野で「代理店」はエージェンシー( Agency )を指します。

Agency(エージェンシー)は、代理店、代理人、というイメージがしやすい音の響きがあります。

一人だとAgent、団体だとAgency(エージェンシー)。

転職エージェント(転職を仲介する会社)、などといった表現も国内で一般的になっていますよね。

本人に権限を委任されて、客先と交渉や取り決めをするのが Agency です。

このケースでは、交渉や取り決めまでは行いますが、実際に客先と契約を結ぶのは本人(売主)となります。

逆に言えば、「代理店」は「売買契約」自体に関与しません。

メーカーや商社などから、手数料(口銭<こうせん>ともいいます)を受け取ることで成り立っています。

そういう「成り立ち」なので、社員一人、自営業による「代理店」は、どの業界にもたくさんいらっしゃいます。

少人数で活動している「特定のメーカーの専門商社」は、たいてい「代理店」の形態を採っているのです。

「代理店」「販売店」とお客様の関係|まとめ

ここまでの内容をまとめます。

今回、一緒に考えてきた「代理店」「販売店」という概念は、知る限り、通関士試験や貿易実務の参考書ではあまり具体的に説明されていません。

しかし、実際に書類を作ったり送ったりする時には意識せざるを得ず、実務上は重要な概念の一つとなっています。

インボイス一つにしても、間違った宛先におくってはいけません。

売買契約、代理店契約で、売主側は「代理店」なのか「販売店」なのかを意識しておきましょう。

「代理店」も「販売店」も、商品、製品、サービスを広めていく上で、非常に重要な役割を担っています。

そして、貿易実務もその拡販(かくはん)活動の一端を支え、顧客満足と直接、つながっています。

正しい書類を作り、正しく送付するのは、単なる事務処理ではなく、その先のお客様のため。

神高
神高

つまり、いわゆる書類をつくって送るだけの「貿易事務」であっても、立派に企業活動に関与しているんですよ。

ぜひ、前向きに取り組んでみてください。

管理人の自己紹介
この記事を書いた人
Tohma Kandaka

神高 十真(かんだか とおま)
1974年9月生まれ
地方企業(メーカー)の海外営業職
貿易実務、英語などを一緒に学ぶビジタブル|busitable の中の人
通関士試験合格(3科目)、英検1級、TOEIC 900点-(計測中)、日商簿記2級、知財技能士2級など

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