こんにちは。
貿易実務に関わって20年以上経った神高(かんだか)です。
職場の若い同僚から「代理店の英語訳って何ですか?」との質問を受けました。
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一般的なメーカーや商社などで使う「代理店」の英語訳は以下の2種類が考えられます。
- agency = エージェンシー
- distributor = ディストリビューター
これらを区別したいがために、distributor を「販売店」と訳すケースもあります。
ただ、問題は「日本語の響き」ではないんです。
海外営業の実務に関わっていないと結構、経験がある人同士の会話でも混同されているときもあるんですよね。
「 agency 」「 distributor 」の違いは「英語」だけでなく、いわゆる「商流(しょうりゅう)」にも関わることなので、もう少し丁寧に解説していきましょう。
代理店の英語訳|エージェンシー( agency )とは何か
メーカーや商社で「代理店」を翻訳する場合、第一の候補は「 agency(エージェンシー)」です。
agency は「売主(うりぬし)と買主(かいぬし)を仲介する者」という意味ですね。
この「 agency 」、「商流」の上で大事なポイントは「自分では売り買いに直接関わらない」ということです。
エージェンシーと呼ばれる代理店は、売主、買主、あるいは両方から数%の手数料を「売買」が成立したときに受け取ります。
貿易とは違いますけれど、不動産の売買を仲介して「売り主」「買い主」両方から3%を受け取る不動産業者は「エージェンシー」だ、と理解しておけばイメージしやすいでしょう。
代理店の英語訳|ディストリビューター( distributor )とは何か
メーカーや商社で「代理店」を翻訳するとき、もう一つの候補は「 distributor(ディストリビューター)」です。
distributer は直接訳すなら「分配する者」という意味です。
ただ、辞書ではエージェンシー( agency )同様、「代理店」と訳されています。
この時重要なのは「 distributor は売買の間に入る」という点です。
「80で買い、手を加えたり、付加価値をつけたりして100で売る」という商流でビジネスをしているのが「 distributor 」なのです。
ですから、一般的には distributor は資本力(お金)を持っていなければ経営が成り立ちません。
また、認められた地域の PR(広告)活動を行うなど、独立した組織として動くケースが多いのも、この distributor の形態です。
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お客さん(買う側)からすれば、「トヨタ」も「トヨタの地域販売店」も同じように見えますよね。そのイメージで合ってます。
代理店、販売店を訳しわけている事例もあります
ここまでの説明でおわかりいただましたでしょうか?
agency の「代理店」は一人でもビジネスが成り立つ可能性があります。
一方、distributor の「代理店」はなかなか一人ではできず、通常は大きな投資が必要です。
ですから、ひとくちに「輸入代理店」といっても、このどちらに該当するかは取引の形態(商流)が大きく異なります。
「新しく代理店になりたい」と海外から問い合わせが入ったとき、あるいは自社が「海外に代理店を見つけよう」と決めたときに、以下のどちらに該当するかは最初から区別して議論する必要があります。
- agency = エージェンシー = 仲介だけ
- distributor = ディストリビューター = 買い切り
最初に申し上げたように、エージェンシーを「代理店」、ディストリビューターを「販売店」と呼ぶ場合もあります。
ただ、本質は「仲介するだけ」か「売買に関与するか(買い切りか)」なんですよ。
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どちらが良いとか悪いとか、そんな話ではないですからね。違う、ということだけ理解しておいてください。
まとめ:エージェント( agent )が充てられることもある
最後に、今回の内容をまとめておきましょう。
agency と同じ意味で agent がレターや契約書で使われることもあります。
なんとなく、agent という言葉には「人」のイメージが強いですけどね。
なお、これらの違いについて英語よりも取引の実態に絞って説明した記事もあります。
興味のある方はあわせてどうぞ。