英検準1級、1級ともに、2016年のリニューアルでライティングの重要度が大きく上がった。
一次試験を合格しないことには二次に進めない。その一次はリーディング、リスニング、ライティングで構成されている。
いずれも writing は1問だけ、すなわち大問ひとつに他の2つのセクションと同じ重みを持たせることになった。
2018年6月の第1回試験で何とか英検1級に合格できた。しかし、それまでに3回連続で落ちており、正直なところ、テーマによっては最後まで書けない回もあった。
もう少し早く合格できなかったのか、と自分でも情けなくなるが、リアルなところをお見せする。
これまでの1級受験の得点推移だ。
Reading | Listening | Writing | Total | Target | ||
2017年第1回 | 622 | 636 | 671 | 1929 | 2028 | G1-4 |
2017年第2回 | 667 | 658 | 622 | 1947 | 2028 | G1-4 |
2017年第3回 | 666 | 658 | 654 | 1978 | 2028 | G1-2 |
2018年第1回 | 673 | 711 | 676 | 2060 | 2028 | G1+2 |
注)携帯電話で閲覧中の方は横にしてください
ちなみに、2018年7月、二次試験のスピーキングは602(G1+1)が取れ、何とか最終合格した。
ライティングにしろスピーキングにしろ、アウトプットは客観的に自己採点ができないため、どのように学習していくかは悩みどころだ。(注:スピーキング対策はこちらを参照して欲しい)
ぼく自身、いまだにライティングのスキルは全然足りないと感じている。
今回は反省もかねて、ライティングの勉強法について一緒に考えてみたい。
市販本で英検1級のライティング対策をするならジャパタ
「最短合格! 英検1級 英作文問題完全制覇」というジャパンタイムスが発行している市販本を軸にライティング対策を進めた。
リンク先(ジャパンタイムス社公式サイト)には、こちらの書籍の目次と内容、audiobook というアプリを用いた無料音声ダウンロード(全文)の手順も書かれている。
英検準1級、1級とパス単、過去問と、他の科目は旺文社の市販本を軸に勉強してきた。
しかし、ライティングだけは何故か旺文社の参考書になじめず、普段から携帯したのはこちらの本だった。
ライティングの訓練をする場合、あまり洗練されすぎた例文は試験本番に再現できない。
かといって、あまりに簡単な語彙や文書構成でアウトプットしては、幼い印象を与えてしまう。
その点、この本はイントロから3つの裏付けを述べて結論としてまとめる、という一連の手順が最初から最後までわかりやすく説明されている。
……と解説したものの、このあたりは、他の参考書も似たようなものだ。
では、いったい、この本の一体何がスゴイのか。
「実践問題30」の充実が圧倒的、まるで一人ディベート
このジャパンタイムスの本は、ひとつのパラグラフ(段落)をコンテンツブロックと呼び、ブロックを重ねていくように主張を組み立てることを推奨している。
そして、その活用例を最後に「実践問題30」として掲載しており、これが他の市販本にはない、圧倒的な内容だ。
社会問題/国際問題/サイエンス/教育・IT・ビジネス、と4つのテーマについて、30の論点を選び、賛成と反対を交互に載せている。
「積極的に日本は移民を受け入れるべきか?」といった論点なら賛成、反対の両方で書けそうだが、「核兵器は廃絶すべきか?」など、そんなことに反対する人がいるのか?するとしたらどんな主張をするんだ?というテーマも含まれている。
その一つ一つ、丁寧に賛成、反対の立場でそれぞれひとつの完成形を示してくれている。
まるで一人で行ったディベートを整理して提示してくれているような内容。
自分ならどう考えるかな、と楽しんで読み進めることができる。
英検1級の試験本番は、テーマをみて、まず直感的に書きやすいかどうかから賛成か反対かを決め、その理由を数分で3つひねり出す、まるで大喜利のような瞬発力が求められる。
普段の自分の主張や考え方と一致している必要はない。
組み立てをしやすい方の立場に立って、その根拠を3つ、被らないように挙げるのだ。
その土壇場で「良い面も悪い面もあるしな……」と迷っていたら、とても時間内に書ききれない。
その意味で、市販本にしては出来過ぎなほど、具体的なお手本を丁寧に示してくれている。
audiobook による音声データもクリアで聴きやすいので、スマホがあれば、どこでも学べる。
さて、最後は添削サービスについてお話しよう。
日本の添削サービスはいずれも安くない(添削の手間を考えれば当然だが)。
スピーキング以上に、ライティングの自己採点があてにならない。さて、どうするか。
IELTS向けの海外の格安添削サービスも一考に値
英検は日本の資格にて、ライティングの添削をしてもらおうと思えば、専門の塾に通学する、あるいはフルーツフルイングリッシュなどのオンラインサービスにお願いすることになるだろう。
基本的にぼくは(皆様同じだろうが)あまり英語学習にお金を使えないので、専門の塾もフルーツフルイングリッシュも利用したことがなく、何かをお伝えできる立場にない。
ただ、合格体験記などを読ませてもらうと、塾もフルーツフルイングリッシュもきめ細やかな添削をしてもらえるようだ。
ああ、もっとうちが裕福だったら……。そこで、IELTSに着目した。
英語検定協会は、IELTSという英国の英語試験の主催も請け負っている。
英検の二次試験までを更に高度にして1日で行うような試験で(会場によっては2日日程)、世界中の大学の入学基準の一つになっている。
同じ目的の試験としては、日本では TOEFL の方が TOEIC からの連想なのか知名度があるが、IELTSの受験者数は全世界でTOEFLの3倍を優に超えるそうだ。
ということで、大学入試用の試験としては、実はこちらの方がメジャーだった、という代物だ。
ちなみに、日本の大学も入学資格の一つとして使えるようになっており、例えば早稲田大学の文学部であればIELTS overall 5.5で英語が免除になり、国語と地歴の2教科で受験できる。
IELTSの試験自体は非常に良質で、英語の運用能力の計測と向上に役立つのだが、あまり財布にやさしくない。受験料が25,380円。試験会場が英検ほどには多くないので、ぼくのような地方在住者は都市部までの旅費がかかるのも問題だ。
しかも、試験結果の有効期限は2年。いつかは留学を、と志しても、特にその予定のない社会人が頻繁に受けるような試験ではない。
ただ、幸いなことに、IELTS は世界的にメジャーなので、海外でオンライン添削サービスをいくつか見つけることができる。
ぼくはIELTS-blogという IELTS 受験者の間では有名なサイトに添削をお願いした。お試しが1回4.5ドル、8回分の添削が31.95ドル、IELTS の writing part 2 は約250単語だから、単語数で割ると USD 31.95 / (250 x 8) = USD 0.016/単語。なかなかこの価格帯で添削してくれるサービスは、日本では見つけられないだろう。
英語でメールをやり取りする練習にもなるので、厳しい第三者の目を必要とされる人は、こちらにトライしてはどうだろう。
ちなみに、IELTS の writing part 2はこのような問題が出る。(IELTS公式サイトから)
A person’s worth nowadays seems to be judged according to social status and material possessions. Old-fashioned values, such as honour, kindness and trust, no longer seem important.
To what extent do you agree or disagree with this opinion?
Give reasons for your answer and include any relevant examples from your own knowledge or experience.
Write at least 250 words.
1級の問題の上位互換、といった雰囲気で似ている。先ほどの通信添削の場合、問題は自分で用意して良いので、より英検に近いテーマを選んで、文章の正確性や構成の良し悪しを評価してもらうの一案だろう。
なお、この添削サービス、間違いの指摘等だけでなく、IELTS 本番で何点(バントと呼ばれる)程度取れそうかを教えてくれる。
ちなみに、ぼくが受けると band 5.5 – 程度と評価される。過去、IELTS を2度受験しており、おおむね合っている。4技能全体のバンド( overall )は 6.5にも関わらず、writingのみ、2回とも band 5.5だった。
いや、ぼくだって、writing を苦手にしている自覚はある。
ライティングのスキルアップのため、まだまだ頑張らねばならない。
いずれにしても、英検1級合格が当面の目標であれば、実際に IELTS を受験する必要はないので、念のため。
自分の書いた文章がネイティブの方にどう映るのか、本気の人には試して欲しくて、最後の部分を手厚く書かせてもらっただけで、IELTS のススメではない。
とにかく、英検1級は受験料は値上げされており、おいそれとは受けられる金額ではなくなった。
まとめ:スピーキングの想定問題集としても秀逸
IELTS 向けのサービスを使うのは我ながら面白い着眼点だと思う。
ただ、自分自身を振り返ってみるに、英検準1級、TOEIC 800 点レベルでも、英語でやり取りするのが面倒なときもある。
それなら日本の英文ライティング添削サービスの定番「フルーツフルイングリッシュ(fruitfulenglish.com)」を使うと良いだろう。
初回登録なら、2回分の添削が無料になるキャンペーン中だ。