貿易事務に必要な英語レベル| TOEIC何点? 英検なら?

英語・仕事

こんにちは。

とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。

貿易実務に必要な英語のレベルはそれほど高くない、と言う人がいます。

たしかに、ぼくもそう思います。

民間資格「貿易実務検定」の「英語」も、それほど難しい内容ではありません。

英語の資格でスキルを測るなら、英検2級、TOEIC( Listening & Reading )700点くらいあれば十分。

貿易実務のチームの一員として仕事を始められるし、実際はもう少し低くても対応できるでしょう。

新入社員なら、部署に配属されると同時に、貿易実務に使われる英語表現の勉強を始めても全く問題ないです。

貿易事務に必要な英語レベル|TOEIC何点? 英検なら?

とはいえ、反論が出てくるかも知れない、とも思っています。

「弊社ではもっと英語スキルのあるメンバーが揃ってますよ」

なんて具合に。

でも、そうおっしゃる方がお勤めの会社は、大企業、あるいは専門知識が必要な様々な種類の貨物を扱っておられるのだと想像します。

メーカーや商社で一定の範囲の貨物を扱うのであれば、それほどハードルは高くない。

伝えたいのは、この点です。

貿易実務や海外営業、海外調達などの世界に興味を持ってくれる方を一人でも増やしたいので、前半は貿易実務の英語のハードルが低い理由、後半はいかに「英語を使う仕事」に挑戦するかを一緒に考えてみましょう。

貿易事務で使われる英語のパターンは少ない|英語ニュースとの対比

貿易実務で使われる英語は、パターンが少ない。

「貿易事務で使う英語は、それほど難しくない」と考える最も大きな理由です。

2、3か月もあれば、その繰り返し(サイクル)が身につくでしょう。

え?

TOEIC のようなレベルの英語が使われているんじゃないかって?

たしかに近年、TOEICのリーディング問題の最後のあたり(トリプルパッセージと呼ばれます)に2通+伝票の類、あるいは3通の電子メールのやりとりを読み取る問題が出題されるようになりました。

「海外営業」や「海外調達」の部門では、あのような複雑なやり取りがなされる可能性もあります。

海外のお客様、取引先を直接相手にしている部署は、ある程度、パターン化されてはくるものの、どのような依頼、連絡が来るかは、貿易実務ほどには予想がつきません。

ざっと思いつくだけでも、

  • 通常の売買関連(納期、価格など)
  • アフターサービス
  • クレーム
  • 種々の礼状
  • 打合せの日程調整
  • 展示会で名刺交換した業者からの売り込み

などなど、いろいろなケースが考えられます。

また、緊急度もまちまちです。

しかし、貿易実務の場合には、やることは「ある程度」決まっています。

メーカーの輸出業務であれば、基本的に自社の製品をQCD(品質、価格、納期)を満たすように出荷、輸出して、信用状( L/C )などを活用して代金回収をするのが仕事です。

たとえるなら、毎日、英字新聞の天気予報欄を読んでいるようなもの。

使われる語彙やパターンは限られています。

もちろん、「天気予報欄」だって馬鹿にはできないんですよ。

貿易事務の英語で最も難しいポイント|専門用語と略語

「天気予報欄」がいくらワンパターンでも、特定の単語を知らなければ理解できません。

たとえば、「今日は午後からひょう(雹)が降るでしょう」の「ひょう」は、「 hail 」という単語(名詞、動詞)で表現されます。

hail を知らない人が、「 It will hail this afternoon. 」 と書かれた記事を読んでも、「午後に一体何が起きるんだ!? 」と不安になるだけでしょう。

しかし、辞書で hail を調べ、理解すればもう心配無用。

次に紙面に登場しても、おびえる必要はありません。

こうして天気に関する用語、たとえば高潮 = storm surge などと何度か出会ううちに、使われる単語のパターンは、1年もすれば一巡します。

そこまで読み続けることができれば、新聞の天気予報覧のちょっとした専門家になれる、というわけです。

この人は、立派に「英語で新聞が読める人」(天気予報覧からのスタートだが)を名乗れるでしょう。

白状しましょう。

英語の学習にかなりの時間を使ってきたはずのぼくも、ここで記事を書くまで「 hail 」「 surge 」という単語の使い方を知りませんでした。

hail は全く頭の中になかった単語だし、surge もグラフの急上昇を表す、という意味なら、なんとなく知っていた程度です。

分野が違えば、使う用語も異なります。

たとえば、ETA や ETD といった略語( jargon )の意味を知らなければ、貿易事務の世界では不便で仕方ないでしょう。

 

インコタームズ( INCOTERMS )の有名どころ( FOB や CIF など)も同様です。

 

「仕事で使える英語」とはいえ、いろいろな「仕事」がある以上、内情はさまざま。

必要に応じて、実地で学んでいきましょう。

顧客、取引先の貿易事務担当者も、おそらく英語を学校で学んだ人々

あたり前すぎて、忘れてしまいがちな「事実」。

それは、取引先の貿易事務担当者も英語を学校で学んだ人々である可能性が高いということです。

英語を母語、あるいはそれに準ずる言語とする国との輸出入(貿易)は、当然、いわゆるネイティブスピーカーの可能性が高くなります。

英語を日常的に使っているのは、米国、英国、オーストラリア、カナダ、インド、スリランカ、フィリピン、シンガポールなどですね。

しかし、ヨーロッパ、東南アジア、その他の地域で貿易実務に従事している方々は、我々と同じく、国内でコツコツ英語を学んだ人たちです。

仮に、留学などされていても、実際のところ、大差はありません。

さらに加えて、お互いに企業に属して、チームで仕事をしています。

正確、かつ、わかりやすいことを優先して、メールや書類のやり取りを行う、という点では同じ立場です。

国を超えたチームが、一つの目的に向けて仕事をしています。

だから、「海外営業」や「海外調達」のように、価格交渉でカマをかけたり、夕食時に普段話せないことを聞き出そうとしたり、といった能力は(基本的には)必要ありません。

しかも、資格試験やテストではないのですから、意思疎通のために何を使っても構わないのです。

たとえば、以下のようなツール、手段が考えられます。

  • 納期管理のためのエクセル表(お互いに納期の最新情報を埋めて利用する)
  • 手書き、あるいはワードなどで描いた図(形状や位置関係などを説明する)
  • 説明のための写真、動画
  • ケースマークとは別の張り紙(現地語で書かれた「取り扱い注意」など)

英語か日本語かなど関係なく、自分の仕事が楽になる可能性があるツール導入に遠慮は無用です。

英検でいくら上位の級を持っていても、TOEICでいくら高得点を取れても、メールの文章だけでは限界があります。

これらの目に見える、わかりやすいツールを使ったコミュニケーションには勝てません。

相手もわかりやすさを求めています。

高度な英語表現や単語を使っても、誤解が生じるなら本末転倒ですからね。

したがって、もし貿易実務に就きたいのならば、その世界に飛び込み、実践で使ってみましょう。

あるいは、もう少し踏み込んで「海外営業」や「海外調達」の世界に挑戦するときも事情は同じです。

少しもがけば、必ず泳げるようになります。

いかにして「英語を使う仕事」に飛び込むか|ポジションの募集があるなら……

ぼく自身が転職を経験しているので、その経験も交えてお話しします。

もし、今、あなたが何かの仕事に就いていて、Uターン(地元に戻る)、Iターン(好きな土地に住む)、あるいは業種を変えてスキルアップを図りたいなど、何らかの理由で転職を希望、検討していますか?

もしそうなら、メーカーや商社、海運会社、通関業者、興味がある企業のサイトにある「キャリア採用」「経験者採用」などのページから、直接、メールなり電話なりで申し込みを検討してみましょう。

もし、目当ての企業があるなら、転職サイトや転職エージェントに登録するのは後回しでかまいません。

大企業でも一部上場企業でも、恐れることはありません。

申し込めばほぼ間違いなく返信があり、若い人であれば面接までは進む可能性も高い。

この時に注意したいのは職種です。

ある程度の年齢を重ねた人であれば役職も。

募集していない職種に就くことは、普通はできません。

海外営業、海外調達、国際物流、そういった職種に空いたポジションがあるかどうかがポイントです。

また、年齢を重ねた人は、やはりその部署、チームの長を狙うべきでしょう。

中途採用をウェブサイトで募集するくらいですから、社内の人材でまかなうのは難しい、と経営陣が考えているはずです。

 

いや、そうはおっしゃるけどカンダカさん、企業の要求、特に大企業は厳しいんじゃないですか ?

では実際のサイトをいくつか一緒に見てみましょう。

いずれも一部上場企業。

知名度もあり、新卒で就職するのは大変でしょう。

とはいえ、先入観なしに「キャリア採用」の文面をじっくり読んでみてください。

大企業、人気企業と言えども「キャリア採用」「経験者採用」のサイトを見ていると、職種から求められるスキルと自分の今までの職務経験がマッチすれば、採用してもらえそうな雰囲気が感じられないでしょうか?

少なくとも、いずれも応募してきた人の話は聞いてみたい、という思いが感じられます。

それだけ社内の人材で埋められない、ポストのミスマッチが大会社でもあるものです。

地方の企業、あるいはもう少し中規模の企業(大手企業の子会社)、新興の企業まで視野を広げられるなら、さらに選択肢は広がります。

もし、この記事を読んでいるあなたが学生であれば、ひとまず納得できる会社に就職、そこにお世話になりながらキャリアを積み、学びながら次の展開へ準備を進めていく、というのも一案です。

たとえば貿易実務で身を立てたい、そのために通関士試験の合格をどうしても勝ち取りたい、と考えているなら、乙仲業者に就職し、5年間の実務経験で3科目目の「貿易実務」の免除を狙う戦略もありでしょう。

こうした地方で頑張っておられる乙仲業者(フォワーダー)の中には、サービスの品質向上のため、従業員の通関士試験受験をサポートするところが多くあると聞きます。

3科目目の「貿易実務」が免除になるなら、通関士試験などまったく怖くはありません。

要領をつかめば1年以内の準備期間でも十分、合格できるでしょう。

(それだけ、3つ目の「貿易実務」の試験内容がイジワルなのですが……)

 

いや、カンダカさん、仕事で英語を使えるようになりたいけど、転職までは考えてないんですよ……

なるほど。もちろん、ぼくも安易な転職を勧めているわけではありません。

 

今、お勤めの会社の中に、そういったスキルを求めている部署がないでしょうか?

海外拠点を持つ中小企業は、海外駐在できる人材の不足に悩んでいるものです。

将来、海外駐在しても良い、と人事部などに申し出れば、いろいろな援助(外部セミナーの受講や資格取得のサポートなど)を受けられる可能性もあります。

いきなり、海外駐在は……、ということなら、海外からの来客、あるいは海外工場からの研修生の世話などを申し出るのも経験値が積めるので面白い。

あるいは、英語カタログを作る社内チームに参加するなど、選択肢はいくらでもあります。

そこかしこで、英語を使うチャンスは転がっているのです。

会社は「お金をもらいながら勉強できる学校」です

特に若いうちはそうなのですが、会社はいわば「お金をもらいながら勉強できる学校」です。

「将来、成長して会社に利益をもたらしてくれるだろう」程度の見どころがなければ、初めから採用されていませんからね。

資格試験などを使えば、英語の運用力や体系的な専門知識(ハード)を高めることができます。

一方、会社に属してで働くことで、実務経験(ソフト)を積むことができます。

そして、ハードとソフトを組み合わせることで、会社に恩返しができるのです。

実務経験に裏打ちされた専門知識があれば、自信を持てますよ。

是非、新しい分野に挑戦してください。

大小規模に関わらず、いろいろな会社が世界中のお客様、取引先とつながっています。

TOEIC 対策をするなら「公式問題集」に取り組みましょう

ここまでの内容をまとめます。

最後に、転職や社内の昇進基準などで TOEIC のスコアが必要な方へ。

準備するなら、公式問題集を軸に据えることをオススメします。

点数が欲しいだけなら、「試験」と割り切って対策しましょう。

管理人の自己紹介
この記事を書いた人
Tohma Kandaka

神高 十真(かんだか とおま)
1974年9月生まれ
地方企業(メーカー)の海外営業職
貿易実務、英語などを一緒に学ぶビジタブル|busitable の中の人
通関士試験合格(3科目)、英検1級、TOEIC 900点-(計測中)、日商簿記2級、知財技能士2級など

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