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FOB と CIF どちらが得か?|損をしないインコタームズ(INCOTERMS)はどっち

貿易実務・事務処理

こんにちは。

とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。

職場(同じく営業部門)の後輩から「FOB と CIF、どちらが得ですか?」という質問がありました。

神高
神高

なかなか悩ましく、面白い質問でもあります。

というのも、一般的に輸出者の立場であれば、CIF のほうが良い、とされているからです。

とはいえ、客先(輸入者)との力関係や、マーケット(市況、特に運賃の推移)によっては、そうとばかりは言えない。

ということで、あらためて「FOB と CIF、どちらが得か」について考えてみました。

FOB と CIF どちらが得か?|損をしないインコタームズはどっち

ばかばかしいくらい、「当たり前」の確認をしますよ(笑)。

インコタームズ(INCOTERMS)の CIF は「運賃と保険を輸出者側が負担する」という条件です。

一方、INCOTERMS の FOB (Free On Board) は「輸出する港以降の運賃その他は、輸入者が負担する」という契約です。

もし、まったく同じ商品を同じ値段で売る、というケースなら、当然、得をするのは「 FOB 」です。

たとえば、まったく同じ機械を同じ仕向地に1000万円で売る、という契約をするなら、CIF よりも FOB が「売る側は得」です。

ただ、コンテナなど船で運ぶほどの製品、商品を売買しているなら、当然、運賃が無料でないことはお互いにわかっているはずです。

個人が健康食品や便利グッズを買っているんじゃない。

「送料無料」ということは、原価に含まれているんだな、と理解しなければなりません。

輸出の時に CIF が得、有利とされてきたわけ

昔々、商社出身の方から、「売るときは CIF、買うときは FOB が得、有利」と聞いたことがあります。

その理由はいくつか考えられます。

  • FOB よりも CIF のほうが売り上げ金額が大きくなる。
  • 運賃や保険の部分で余裕が出れば、利益も大きくなる。
  • 船の選択を輸出者側で行えるので、スケジュールが組みやすい。

他にもあると思いますが、主要なポイントとしては、この3点でしょう。

各々、具体例を挙げながら掘り下げてみます。

FOB よりも CIF のほうが売り上げ金額が大きくなる|その①

FOB よりも CIF のほうが売り上げ金額が大きくなる。

たとえば、FOB であれば1000万円で販売する機械は、CIF であれば運賃+保険を上乗せして 1100万円で契約する、といったことになります。

この時、売上金額は 1000万円から1100万円になるわけで、帳簿上も売り上げが大きく出ます。

もちろん、運賃や保険料を「費用」として計上することは考慮せねばなりません。

100万円の運賃+保険をどうコントロールするか、という手間は発生します。

ただ、一般的な製造業、あるいは商社であれば、見かけ上、売上金額が大きく出る、ということは、社内だけでなく、銀行その他の外部に対しても、悪いことではないでしょう。

運賃や保険の部分で余裕が出れば、利益も大きくなる|その②

ビジタブル

運賃や保険の部分で余裕が出れば、利益も大きくなる。

先ほどと同じく、1000万円+100万円(運賃+保険)で販売するケースで考えてみます。

この契約をしたとき、100万円の「運賃+保険」の予算が取れた、と考えることもできます。

つまり、100万円で収まれば、それだけ利益を得ることができるし、足が出れば逆に損をする、というわけです。

だから、この100万円を算定する知識や経験は、CIF で契約する以上は必須ですよ。

で、その知識や経験の源は、「相見積(あいみつもり)」に行きつきます。

「運賃」は当然として「保険」も、です。

貿易実務、あるいは海外営業に携わっている人でも、あまり意識しないかも知れません。

しかし、海上保険のコスト(料率)は、輸出者の実績や交渉によっても変わってきます。

何年も、何十年も料率の見直しをしていない、という場合は、複数社の保険会社に相談してみる。

(保険会社を変える気がないなら、ストレートに今、使っている保険会社に料率の協力を申し出るのも一案です)

無事故で何年も保険を使っていない荷主(+貨物)であれば、保険会社側も協力的な提案がしやすいでしょう。

船の選択を輸出者側で行えるので、スケジュールが組みやすい|その③

船の選択を輸出者側で行えるので、スケジュールが組みやすい。

原則的に、FOB の場合は「輸入者が船を指定」し、CIF の場合は「輸出者が船を選択」します。

契約によって例外があるかも知れませんが、これは当然の対応でもあります。

「運賃を払う側が船を選ぶ」のが自然ですからね。

もちろん、契約書の中で「○○以上のクレーンを持つ船とする」「船齢◇◇年以上の船は使ってはいけない」なんて条件を輸入者側が付けることもあります。

「輸出案件を FOB で契約する」ということは、輸入者側が船を見つけるまで待たなければならないケースが起きる、ということでもあります。

コンテナ輸送であれば、よほど珍しい仕向地でなければ、船が見つからない、というケースは想定しなくてもよいでしょう。

一方、特殊な貨物や輸送にクレーンなど荷役設備を必要とする貨物であれば、「割とよくあるトラブル」でもあります。

FOB と CIF どちらが得か?|損をしないインコタームズはどっち|まとめ

ここまでの内容をまとめておきます。

ここまで、「輸出者の立場では CIF のほうが得」というスタンスでお話してきました。

ただ、保険はともかく、運賃の変動が大きい時期には、CIF よりも FOB のほうが安心、という場合もあります。

損得ではなく、リスクを減らすことを優先する。

運賃の変動リスクは、損しようが得しようが、輸入者側にお任せ、というスタンスです。

たしかに、コンテナ船による輸送が可能、かつ、複数の船社(海運会社)がサービスを週単位で継続しているような地域であれば、運賃が少々変わろうが、それほど悩みはないでしょう。

コンテナ船が出てさえいれば、ブレイクバルクカーゴ(大きめの貨物)でも、それなりに選択肢があります。

しかし、仕向地まで運航している船会社が非常に限られていて、定期船すら気まぐれ配船。

運賃も場合によっては時価、なんて輸送手配をしなければならず、さらにリードタイムも長くて貨物の輸出は3年後、なんて案件ならば、正確な運賃の予想はほぼ不可能です。

とはいえ、「いくら高くなっても、このくらいには収まるだろう」という数字が出せるなら、ある程度のリスクは承知で社内の必要な手続きを経て CIF 契約してしまえばいい。

その意味では、コストを予想し、複合輸送(3PL)すらコントロールする力があるなら、DDP やそれに近い条件にしてもかまわないわけです。

巨大なタンカーや鉄鉱石運搬船であれば、運賃すらデリバティブ(先物取引)する時代ではありますが、一般的な貨物が対象であれば、実務担当者の経験や知識で乗り越えられる範囲だとは思います。

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さて、この記事を読んでいただいているということは、新しく貿易実務の仕事に就かれた方かも知れません。

その場合、この記事だけは読んで帰ってください。

悪いことはいいませんので。

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