共同海損(general average)とは?|Northern Jupiterのニュースより

ジェノヴァ港貿易実務・事務処理

こんにちは。

とあるメーカーで貿易実務を20年超に関わっている神高(かんだか)です。

先日、海外のサイトで「日本連合の海運会社 ONE が用船している M/V “NORTHERN JUPITER” が共同海損を宣言しました」とのニュースを見つけました。

あまり日本では報じられていないこのニュース、隣の部署の若い人に質問しても「共同海損(きょうどうかいそん、英語: general average)って何ですか?」と言葉自体を知りませんでした。

せっかくの学びの機会なので、「共同海損」とは何か、ニュース記事と一緒にまとめておきます。

共同海損(general average)とは?|Northern Jupiterのニュースより

2020年1月24日(金)のニュースで、日本の ONE が運航する船のニュースを見つけました。

見出しはこうです。

General Average has been declared on an 8,400 teu German containership Northern Jupiter that suffered an engine fire on 4 January in the Malacca Strait.

この中で、知らないと盛大に誤訳をしてしまう(かもしれない)単語を先に取り上げておきましょう。

  • General Average: 共同海損(きょうどうかいそん、意味は以下で説明します)
  • declare: 宣言する
  • teu: TEU、20フィートコンテナ換算でテウ、ティーイーユーと呼ばれます
  • Northern Jupiter: 船の名前なのでノーザンジュピター号と訳します
  • Strait: 海峡。窮地(きゅうち)、難局の意味もあります。

ぼくなりに訳してみると、以下のような内容となります。

2020年1月4日にマラッカ海峡でエンジン火災に遭った8400個積みコンテナ船「ノーザンジュピター号(ドイツ)」は、共同海損を宣言しました。

ここで「ドイツ」は「船籍」ではなくて、実際に船を所有しているのがドイツの会社(ドイツ人)なんだろうな、と想像しながら読んでいます。

というのも、一般的に船籍は「パナマ」などの税金の安い、あるいは無い国が選ばれるからです。

Northern Jupiter(ノーザンジュピター号)は日本の船会社 ONE が運航

見出しの後のパラグラフで、この「ノーザンジュピター号」を運航していたのは日本の船会社「 ONE 」であることがわかります。

英文はオリジナルのニュースサイトを参照ください。

ぼくなりの翻訳です。

Ocean Network Express ( ONE )は、「ノーザンジュピター号」がシンガポールからマレーシアのポートケランへ航行中にエンジン火災に遭遇した、と顧客に通知を出しました。

ここで、「 ONE: Ocean Network Express(オーシャンネットワークエクスプレス)」は NYK(日本郵船)、MOL (商船三井)、K-LINE(川崎汽船)のコンテナ船部門が一緒になって発足したシンガポールの海運会社を指しています。

船の世界には「用船(ようせん)」という考え方があり、船を一定期間「レンタル」して荷物を運ぶ、ということが大規模に行われています。

 

神高
神高

船を借りた会社は、自社が運航するのと同じようなロゴを入れたり、船名を付けたりします。デパートのテナントみたいなものですね。

今回の「ノーザンジュピター号」の場合、ONE はドイツの企業( V Ships )から借りていて、運航している最中にエンジンで火災が発生した、という事情が今回のニュースから読み取れます。

共同海損( general average )とはどのような意味なのか

イタリアのジェノヴァ港

では、general average、すなわち「共同海損(きょうどうかいそん)」とは何か、ですが東京海上日動のサイトの説明が詳しいですね。

………。

ただ、「条約がどうこう言われても、良くわからない」という方もいらっしゃるでしょう。

白状します。

ごめんなさい。

紹介したぼくも、よくわかっていません。

ということで、もしあなたがメーカーや商社、つまり荷物を預ける側(荷主)であれば、「共同海損とは、おおむね以下のような意味」と認識しておきましょう。

  • 船に大規模な事故や損害があった時、船を守るために最悪、荷物を犠牲にする、かも
  • 大規模な損害は、船側の利害関係者だけでなく、荷物を積んでいた荷主みんなで分担
  • 特別な特約を入れなくとも、外航貨物海上保険で損害はカバーされる
  • 共同海損が宣言されたら、いくつかの書類を荷主(にぬし)は提出する必要がある

船を運航する側の担当者がこんな雑な認識ではいけませんが、荷物を預ける側であれば、まずはこれらが重要なポイントです。

船は、いろいろな人や企業から集めた荷物を一か所に集めて海の上を運ぶ、という特殊な運送形態となっています。

ですから、一度、火災や事故による浸水などが発生すれば、大規模な損害につながりますし、船自体が海に沈むという最悪の自体ともなれば、再び引き上げることはほぼ不可能でしょう。

たとえば、コンテナ内の特定の貨物が燃えていて、「この貨物を海に投棄すれば船を助けられる」という状況であれば、まずは船からその貨物を降ろすことになります。

コンテナ一つ、UN缶一つのために船を全焼させるわけにはいきませんからね。

共同海損は、ヨーク・アントワープ規則(Y.A.ルール)という統一国際規則に基づきます。

まとめ:共同海損(general average)とは?|Northern Jupiterのニュースより

ここまでの内容をまとめておきましょう。

共同海損(きょうどうかいそん)なんて事態に遭遇しない方が良いわけですけれど、考え方を知っておけば、保険会社や乙仲・フォワーダーなど、いざという時の対応や打ち合わせで役立つ可能性はあります。

船による輸送って、こういうところで歴史を感じます。

何となく中世のヨーロッパ、ロマンチックとでもいうのでしょうか。

たとえば、クロネコヤマトや佐川急便のトラックが炎上したあとで「荷物を預けていた人は general average で応分の負担になります。こちらの『盟約書』にご署名を」なんてことは起こらないでしょう?

 

神高
神高

外航貨物海上保険のパンフレットに書かれているケースもありますから、機会があれば眺めてみてください。

管理人の自己紹介
この記事を書いた人
Tohma Kandaka

神高 十真(かんだか とおま)
1974年9月生まれ
地方企業(メーカー)の海外営業職
貿易実務、英語などを一緒に学ぶビジタブル|busitable の中の人
通関士試験合格(3科目)、英検1級、TOEIC 900点-(計測中)、日商簿記2級、知財技能士2級など

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