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ChatGPT を事務職でも活用する方法とは|実際に仕事で使っている立場から

貿易実務・事務処理

こんにちは。

とあるメーカーで貿易実務や海外営業に関わって20年超の神高(かんだか)です。

ChatGPT、勤め先に特に使用禁止などのルールがないので、個人の判断で、情報漏洩や著作権の問題が起こらない範囲で使っています。

ただ、このような情報や体験談、意外とインターネットの世界には出てきていないんですよね。

ブログが書けるとか、動画やイラストを生成できる、という話はあっても。

ということで、製造業や商社において、実際の事務仕事で使っている事例をご紹介します。

海外営業職の立場からなので、ちょっとあなたの目的と違うかも知れませんが、工夫をすれば、どんな職種の方でも活用する方法はあるはずです。

神高
神高

今回、紹介するやり方であれば、職場で ChatGPT の使用が禁止されている、あるいはルールが定まっていない場合でも使えるんじゃないかな。

ChatGPT を事務職でも活用する方法とは|実際に仕事で使っている立場から

では、実際に使って便利だと思った順に紹介していきます。

客先との英文議事録や覚書の作成(L/I, LOI, Memorandum)

海外営業の仕事をしていると、出張時に客先、取引先と英文で議事録や覚書の作成をする場面があります。

この手の書類は、海外出張した最後に作成することが多く、契約書ほどの内容ではないものの、後日、モメることを避ける目的で作成されます。

ただ、この種の書類、都度、フォーマットがあるわけではなく、またお互いに抑えたいポイントがその打ち合わせの目的によって違うので、かなり英語で仕事をしてきた身でも難しいもの。

たとえば、

客先は完成日を繰り上げてほしいが、自社ができるのはここまで。ただし、そのためのエキストラコスト(追加費用)を払うことが条件。

なんて交渉~取り決めが、メーカー(製造業)や商社の営業窓口(あるいは資材部門など)をしておれば、あるわけです。

しかし、これにぴったりの英文レターなど、過去に同じ事例がなければ、ゼロから作るしかありません。

そこで、ChatGPT に下書きをお願いする、というわけです。

試しに、ChatGPT に下書きを作ってもらいます。(あえて、無料版の GPT-3.5 を使ってみます)

緑の囲みがプロンプト(AI に対する命令)で、オレンジの囲みが出力の例です。

以下の条件を取り決める英文レター形式の MEMORANDUM を作成してください。
件名は MEMORANDUM とします。
レターの最後に、双方がサインをする欄を設けてください。
また、レターの作成者は、売主のDEF社側とします。
買主:ABC社
売主:DEF社
GH という製品につき、ABC社は2025年9月まで納期の繰り上げを希望しています。しかし、DEF社は2025年11月までしか対応できません。さらに、100万円のエキストラコストを2025年8月までに買主が売主に電子送金で支払うことを条件とします。

[Your Company Letterhead]

MEMORANDUM

Date: [Insert Date]

To: ABC Co.
Attn: [Recipient’s Name/Department]
[ABC Company Address]

From: DEF Co.
[Your Name/Title]
[DEF Company Address]

Subject: Request for Delivery Date Change and Additional Cost for Product GH

Dear [Recipient’s Name],

I hope this memorandum finds you well. We are writing to address your request regarding the delivery schedule for Product GH.

ABC Co. has expressed a desire to advance the delivery schedule for Product GH to September 2025. However, we regret to inform you that DEF Co. is only able to accommodate delivery until November 2025.

Furthermore, to expedite the delivery schedule, ABC Co. is required to remit an additional cost of JPY 1,000,000 by electronic transfer to DEF Co. no later than August 2025.

We understand the importance of timely delivery and are committed to working closely with you to find a mutually agreeable solution. Please let us know if any alternative arrangements may better suit both parties.

Thank you for your attention to this matter. We look forward to your prompt response.

Sincerely,

[Your Name]

[Your Position]

DEF Co.

[Signature]

[Date]

[Signature]

[Date]

ということで、ChatGPT が第一案(下書き)をすぐに出力してくれました。

最後のあいさつ文のような箇所は、要不要、判断が分かれるところですが、まあ「話し合いを続けましょう」的なニュアンスを残しておきたいなら、まったく問題ないでしょう。

無料版の ChatGPT でもこのレベルの下書きを出力してくれるのですから、非常に頼もしいものがあります。

客先との英文議事録や覚書の作成(L/I, LOI, Memorandum)|日本語化

ガントリークレーン

もちろん、日本語への翻訳も一瞬で行ってくれます。

プロンプトで「出力したレターを日本語に翻訳してください」と指示すれば、以下を数秒で出してくれました。

[貴社の会社のヘッダー]

メモランダム

日付:[日付を挿入]

宛先:ABC社
担当:[受取人の名前/部署]
[ABC社の住所]

差出人:DEF社
[あなたの名前/役職]
[DEF社の住所]

件名:製品GHの納期変更と追加費用の要求について

拝啓 [受取人の名前] 様

お元気でお過ごしのことと存じます。製品GHの納期に関する貴社のご要望について、このたびはメモランダムを送らせていただきます。

ABC社は製品GHの納期を2025年9月に繰り上げる希望を表明していますが、残念ながらDEF社は2025年11月までの対応しかできないことをお知らせいたします。

さらに、納期を早めるためには、ABC社が2025年8月までにDEF社に対して追加費用¥1,000,000を電子送金で支払うことが必要です。

納期の重要性を理解しており、双方にとってより適した解決策を見つけるために緊密に連携してまいります。何か代替案がございましたら、ご遠慮なくご連絡ください。

この件についてご対応いただけますようお願い申し上げます。早急なご回答をお待ちしております。

敬具

[あなたの名前]

[あなたの役職]

DEF社

[署名]

[日付]

[署名]

[日付]

日本の企業同士でメモランダムを交わす、書面に残す、さらに署名まで、ということは、業種にもよるでしょうが、あまりないかもしれません。

神高
神高

事業買収や不動産の商談などでは、日本でも書面に残す習慣があるようですね。

ただ、署名欄を省くなどして、打ち合わせ後に電子メールを送っておく、といった用途であれば、この日本文のレターも十分に実用に耐えると思われます。

さて、下書きはできました。次はどうしましょう。

仮の社名はあとで置換(Ctrl + H など)機能で一括して修正

情報漏洩を防止するために仮の社名や商品名(ABC Co./DEF Co./Product GH)を使用して原稿案を出力してもらいました。

それらは、後から一括で置換することで、レターとして仕上がります。

この置換作業については、AI を使ってはいけません。

せっかく、クラウドへの情報漏洩を防いだのですから。

どんなやり方でも結構ですが、たとえば Microsoft Word に張り付けて置換(Ctrl + H)すれば、下書きとしてはほぼ完成です。

上司や関係者、あるいは出張中であれば、客先に直接、読んでもらい、お互いに合意して席を後にする、といったことが短時間で行えます。

もし、会社から支給されたパソコンで ChatGPT(インターネットのクラウド) にアクセスできないなら、プライベートのスマホで下書きまで作ってもらう、という方法もあります。

スマートフォンの ChatGPT アプリでも、まったく同じ感覚で使えます。

社名は仮、商品も仮。

心配なら、日付やその他の関連情報も仮にしてしまう。

全く情報漏洩は心配ないのですから、それぐらいは自分の責任で使って構わんでしょう。

ChatGPT を事務職でも活用する方法とは|実際に仕事で使っている立場から|まとめ

ここまでの内容をまとめておきます。

事務職、事務仕事といっても、実はいろいろと細かい仕事があります。

今回、紹介した覚書のようなものは、ある種の商習慣ともいえ、すべてをパターン化することはできません。

バナナ一本をコンビニで買うのに書面を取り交わす人はいません。

しかし、冷凍コンテナいっぱいのバナナをフィリピンから輸入するなら、口約束では心もとない。

書面を交わすか交わさないか。

線引きは、ある意味、感覚的なものです。

その意味で、ChatGPT のような人工知能が全ての仕事を代替するのは、もう少し先になると思います。

もし、人工知能が

「こうしておいた方が、客先の支払いが遅れても安心だな」

とか

「こういう言い方をすれば、上司(決済権者)の判断をもらいやすいだろう」

みたいなことまで考えられるようになれば、置き換えられてしまうかも知れませんが。

AI が発達したところで、決済や決断は、最後まで人間側に残ると思うし、残すべき。

ということで、しばらくは人工知能にどのようにアシストしてもらうか、工夫することになるでしょう。

あなたのお仕事が、うまくいきますように。

貿易実務・事務処理
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管理人の自己紹介
この記事を書いた人
Tohma Kandaka

神高 十真(かんだか とおま)
1974年生まれ
地方企業(メーカー)の海外営業職
貿易実務、英語などを一緒に学ぶビジタブル|busitable の中の人
通関士試験合格(3科目)、英検1級、TOEIC 900点-(計測中)、日商簿記2級、知財技能士2級など

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