こんにちは。
とあるメーカーで海外営業に関わって20年超の神高(かんだか)です。
1974年生まれなので、いよいよ、50歳を越えてきました。
FIRE(Financial Independence, Retire Early)、気になりますか?
FIRE という言葉がすっかり定着し、早期リタイアやセミリタイアを目指す人が増えている、ように見えます。
しかし、長年会社員として働いてきた方にとっては、「いまさら辞められるのか?」と思う瞬間があるかもしれません。
なにしろ50代ともなれば、新卒からならば25年近く勤めてきた会社、あるいは転職していても10年以上続けている現職を突然辞めるには、かなりの勇気と資金が必要です。
本記事では、FIREムーブメントが注目を集める中、会社員として培ってきたキャリアをどう考えるか。
そして役職定年や老後資金のリアルな問題とどう向き合うかについて、ぼくなりの考え方をじっくりと整理してみます。
FIREブームに惑わされる?長年の会社員生活の振り返り
ここ数年、「20代や30代でFIREを達成しました」というニュースやブログが話題になっています。
若くして大きな資産を築き、配当収入や不労所得だけで生活する。
そんな夢のようなストーリーに惹かれる人は多いでしょう。
しかし、やっぱり、簡単じゃないですよね。
資産形成が追いつかない現実
大半の人にとって、FIREにはある程度まとまった金融資産が必要になります。
株式投資や不動産投資などで早期に大きな利益を上げることができれば別ですが、多くの会社員は月々の生活費や家族の支出をまかなうだけで精一杯、かな。
住宅ローンや教育費を抱えていると、いきなり「退職します!」と決断するのはリスクが大きすぎると感じるでしょう。
とりあえず、クレジットカードと銀行残高の推移、月々の支出明細(収入じゃなく)を真剣に見てみましょう。
多くの方は怖くなって、直視できないでしょう。
ぼくも、一緒です。おー、こわ。
会社員としての役割とプライド
経済的な理由だけでなく、長年働いてきたからこそ得られる誇りや達成感があるのも事実です。
10年以上同じ職場で続けられるということは、それなりに適性がある証拠でもあります。
いや、3年でもいい。とにかく、なにごとも年単位で続けられるなら「適性あり」です。
あなたが、組織内で積み上げてきた信頼関係やノウハウをいきなり捨てるのは惜しいという気持ちが芽生えるのは、自然なことだといえます。
このように、FIREブームに心が揺れつつも、長年の会社員生活を捨てるには大きな壁があるのが「いまさら辞められるか?」と悩む人の本音でしょう。
参考:厚生労働省「働き方の多様性に関する施策」
多様な働き方を推進する国の取り組みがまとめられています。
「会社員適性」とは何か?10年以上続ける理由
とはいえ、自分が会社員として働いているのは「適性があるから」とは、なかなか断言しにくい、かも。
特に高い役職が付いているわけでもない。
同僚は部長になっているのに、自分は役職定年まで課長どまりか……。
しかし、職種や業種を問わず10年以上一つの職場でやってこられたという事実は、どこかで自分に合った要素があるとも言えます。
少しでも続けられるなら、それは強み
たとえば、コミュニケーション能力に優れているのかもしれません。
あるいは黙々と作業を継続する忍耐力があるのかもしれません。
どんな形であれ、自分が得意なスタイルで仕事をこなしてきた結果、10年以上も持続できているわけです。
そこには既に「会社員適性」と呼べるものが内在しています。
転職経験が活きるケース
途中で一度転職をした経験があると、より一層、「今の会社に長く定着できている」という意味合いが強まります。
転職先が合わなければ数年で辞めてしまう。
逆に、10年以上継続できるなら、その職場と自分の相性は思いのほか悪くない可能性が高い。
こうした「会社員適性」があるなら、無理に早期退職するよりも、もう少し踏ん張ってキャリアを伸ばすことは、十分に価値のある選択肢だといえます。
役職定年とセミリタイアの可能性
日本の企業では、50代後半で役職定年を迎える人も少なくありません。
ぼくも同じです。
その時の役職次第ですが、55歳から段階的に役職定年の「リミット」が存在しています。
それは「管理職から外れる」という形かもしれませんし、給与体系が変わることを意味するかもしれません。
あるいは、大企業を中心に役職定年自体を見直す動きも出ているので、社会全体が廃止の方向に流れるかも知れない。
いずれにせよ、役職定年が何らかの形で存続するなら、組織内での立場が大きく変わるターニングポイントであることは間違いありません。
役職定年を「セミリタイア準備期間」に
一方で、役職定年に期待している自分もいます。
役職定年後は、管理職ではなくなる代わりに業務負担が減るケースがあるからです。
そのタイミングでセミリタイアを視野に入れる人もいるでしょう。
「静かな退職(Quiet Quitting)」の中年版です。
いきなり完全リタイアするのではなく、ある程度の収入を確保しながら徐々に勤務日数を減らす、あるいは嘱託や契約社員として働くなどの方法が考えられます。
属人性を減らして最後の数年を活かす
結局、いかに仕事を若い世代に渡していくか。
長年担当してきた顧客やプロジェクトを、若手や後任に引き継ぐことも、役職定年時期には避けては通れない道です。
最初は「自分しかできない」と感じていた仕事も、意外と新しい視点が加わることで組織にプラスになることがあります。
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実際、仕事を渡したら若い人はすぐに慣れます。
もっと早く頼めばよかった、と何度思ったことか……。
属人性を減らす努力は、キャリアの終盤をスムーズに過ごすうえでも重要なステップ。
このプロセスを「開き直り」と捉えるか、「次の世代に託すやりがい」と捉えるかで、後の人生設計も大きく変わってくるはずです。
参考:厚生労働省「継続雇用制度と高齢者雇用の動向」
高齢者の雇用継続や役職定年に関するデータを確認できます。
老後資金と年金FIRE——現実的な目標を立てる
FIREを語るとき、必ず話題に上がるのが「老後資金」や「年金の受給額」です。
働きながら十分な金融資産を築ければ、早期リタイアは夢ではないかもしれません。
しかし、多くの人が「そこまでの資産はない」「子どもの教育費や住宅ローンで精一杯」と感じているのではないでしょうか。
年金FIREという選択肢
「年金FIRE」とは、公的年金を主な収入源としつつ、退職金や貯蓄を組み合わせてリタイアを目指す方法を指します。
日本の公的年金制度が整備されているおかげで、まったく資産がなくても老後に一定の収入が確保できるのは大きな安心材料です。
もちろん、年金制度にはいろいろと課題もありますが、少なくとも北斗の拳やマッドマックスのような世紀末的世界にならなければ、基本的な生活費は支えられる可能性が高いでしょう。
役職定年後の数年をどう乗り切るか
重要なのは、役職定年後から年金受給開始までの数年間をどうカバーするか。
60歳までに役職定年があり、実際に公的年金を満額でもらえるのは65歳からというケースが一般的です。
この5年程度を、会社との再雇用契約やパート勤務、副業などでつなぐ方法を「考えておく」ことが重要です。
共働きであれば、パートナーと納得しておくことも「非常に」「極めて」重要です。
いや、我が家もそうですが、意外と仕事を辞めたくない、という人もいます。
実は、うちのカミさんがそうです(笑)。頼もしい。
「カミさん FIRE」「ダンナ FIRE」といえども、お互いが納得して幸せなら、十分にアリです。
となると、いまさら会社員を辞められないと思っている方でも、もう数年頑張れば年金FIREが実現できるかもしれません。
先は長いようで、FIRE は意外と手の届く範囲にある可能性もあります。
あるいは、パートナーに頼らずとも。
退職金がいくら出るのか、企業型 DC、DB がいくら掛かっているのか、60歳から受け取ると税金はどうなるのか、などなど、事前に研究しておきたいところです。
参考:日本年金機構「老齢年金の受給について」
年金受給開始年齢と条件などがまとめられています。
“電柱”を目標に走り続けるマラソン戦略
長距離走をしている市民ランナーは、完走を目指すときに次の電柱や看板など、目に見える小さな目標を設定して走ることがあるそうです。
これは長く厳しい道のりを乗り越えるための心理戦略ですが、会社員生活にも同じことが言えそうです。
まずは役職定年を一つのゴールに
「あと数年で役職定年を迎えるから、そこまでは頑張ろう」と考えることで、日々の仕事にメリハリが生まれます。
大きなゴールである完全リタイア(FIRE)は遠く感じても、小さなゴールを設定することでモチベーションを維持できます。
次の電柱を越えた先にあるもの
役職定年を超えたら、次はどんな人生設計を描くか。
再雇用で65歳まで働くのか、セミリタイアして副業を楽しむのか、それとも完全にリタイアするのか。
大きく貢献していたり、余人をもって代えがたい立場であったりすれば、顧問やアドバイザーとして残る道もあるかも知れません。
小さなゴールを一つ達成するたびに、次のゴールを設定していく。
その繰り返しが、結果的に「もう25年も働いてきたし、いまさら辞められない」と思っていた自分を、意外な未来へと導いてくれるかもしれません。
まとめ:自分らしい働き方を選ぶために
ここまでの内容をまとめておきます。
FIREムーブメントが流行している一方で、「いまさら会社を辞められるか?」という葛藤を抱える人は決して少なくないんじゃないかな。
少なくとも、ぼくはその一人です。
長年続けてきた会社員生活には、既に得難い経験やノウハウが積み上がっているはず。
それを簡単に捨て去るよりも、役職定年までの数年を全うし、老後資金のめどを立てたうえで、次のステップを考えるほうが、現実的かつ合理的な場合もあるでしょう。
- 無理にFIREを目指さなくても良い
- 自分の会社員適性を生かし、若手への引き継ぎや組織への貢献を最後までやりきる
- 役職定年や公的年金をうまく利用し、セミリタイアや“年金FIRE”を視野に入れる
このように考えることで、長い会社員生活において「あと数年」のモチベーションを高められます。
もちろん、自分に合った働き方を見つけるためには、最新の法改正や年金制度など、情報収集を続けることが欠かせません。
国や企業の制度は常に変化していますし、人生のステージによってもベストな選択肢は変わります。
今すぐ「辞める・続ける」の二択ではなく、柔軟な選択肢を模索していきましょう。
いまさら辞められない。
そう考えている方こそ、自分の強みや経験を改めて見直し、数年先のゴールを設定してみませんか。
会社員生活が長いからこそ見えてくる未来があるはずです。

