こんにちは。
岡山で会社員をしながらブログを書いている神高(かんだか)です。
独身時代にUターン転職の経験しています。
Uターン転職とは一般的に「東京や大阪、あるいは工場がある他の地域、海外など離れた場所で働いていた人が出身地に戻り、地場の企業に就職すること」と説明されています。
しかし、果たしてそれだけでしょうか?
近年、まわりを見て「増えてきたな」と感じるのは、「子育てその他の事情で奥さん(パートナー)の実家の近くに住むことを決めた後、その地域で仕事を探す」というケースです。
家族単位で考えれば、これも「Uターン転職」ですよね?
特に、名前が付けられてないようですが、増えていると実感します
Uターン転職には、大きく3パターンあると考えられます。
本当のUターン転職とは?|「自分の」故郷に帰って就職する以外のケースも
子育てUターン転職|こどもが生まれ、まだ小さい時期に親子三世代で子育てするパターン
岡山の勤務先、取引先などをみていて、増えたなあ、と感じるのがこのケース。
こどもが生まれ、まだ小さい時期に親子三世代で子育てするのです。
「子育てUターン転職」と仮に名付けましょうか。
男性(父親)の地元ではなく、女性(母親)の出身地に戻ってきて、両親と同居、あるいは近くに住みます。
このメリット(安心感)は、地元の女性と結婚したぼくでさえ、感じることがあります。
たとえば、子供の通う小学校がインフルエンザで学級閉鎖になったとしましょう。
共働きでどちらも休めない時は、基本、おじいちゃん、おばあちゃんに頼むしかありません。
病児保育は、病気のこどもじゃないと、預かってくれませんからね
そんなとき、ぼくのカミさんは同じ地元なので、ぼくの親、自分の親、どちらでも預けることができます。
でも、やはり、カミさんは自分の親の方が頼みやすい。
カミさんにとって、仕事帰りに実家に寄り、久々に両親と夕食を食べるのも逆に楽しみなようです。
そういう時間が取れるのも、地元に住んでいる「良さ」です。
仕事のある平日に実家で両親と夕食を取る。
地元で仕事を見つけ、家族を築いた人にとっては「日常」の風景かも知れません。
次に、一般的に説明されているUターン転職について説明します。
ぼくもこのケースが当てはまります
一般的なUターン転職|独身で両親の住む出身地に戻り、就職するパターン
ぼくが29歳で経験したのが、この「独身で両親の住む出身地に戻り、就職するケース」です。
なじみのない都会、あるいはへき地での生活に疲弊する気持ちはよくわかります。
当時、ぼくも東京で働き、不定期で海外に出張したり駐在したりを繰り返していたぼくは、憧れていた海外の仕事にたずさわっていたものの、少し疲れていました。
そんなときに入ってきた父親からの一本の電話で、Uターン転職を本気で考えるようになります。
その後、所属していた事業部がまるごとライバル企業に売却されることが決まり、地元へ戻ることを決めました。
大企業で働くことが幸せにつながる、と何故か信じていたぼくは、大きな意識の変化を受け入れることになりました。
地元で一生をともにできる人がいたら結婚したいな、と考えるようになったのも、転職がきっかけです。
結果的に、社内恋愛で伴侶を見つけることになりました。
出身地に住む両親のサポートをするために仕事を変えて地元に戻るパターン
出身地に住む両親のサポートをするために、仕事を変えて地元に戻るケースもあるでしょう。
晩婚化で「子育てUターン転職」と時期が重なることもあると思われます。
25歳で生まれた子供が25歳で結婚して子を産む時代なら、人は50歳で孫と対面するわけですから、親子三世代の年齢構成も全体的に若い。
しかし、今は35歳で生まれた子供が35歳で子を産む(あるいはもう少し遅い)時代ですから、人は70歳で孫と対面することになります。
人生100年時代とはいえ、こうなると「子育て」と「親へのサポート」が重なる可能性も出てきます。
まわりを見ていると、そんなときに「Uターン転職」が一つの解決策(ソリューション)として選ばれているようです。
ぼくの場合、70歳で孫の面倒をみながら働いている、という未来も十分にあり得ます。「あの頃の未来」を思い出すのでしょう、きっと。
「70歳のワークライフバランス宣言~あのころの未来」
65歳、あるいは70歳まで働き、100歳まで生きる時代に我々は立っています。
近いうちに「70歳のワークライフバランス宣言~あのころの未来」なんて本が出版されるかも知れません。
そして、70歳のぼくは「夜空ノムコウ」を歌うのです。
……さて。
全体的に晩婚、そして子育ても後ろにずれているので、子供たちの独り立ちは遅くなります。
そんな時代ですから、「親子三世代でガッチリ支えあって生きていく」というのは、古いようでいて、これからの時代に合っているように思えます。
20代、30代、40代、50代、いろいろな世代のUターン転職が出てくる時代じゃないかな、と。
そして、再びふるさとを離れて新天地に挑戦したいなら、「Oターン転職」という手もあります。
- 詳しくはこちら:Uターン転職で後悔しなくないあなたへ|Oターンを知ってますか?
人生100年時代ですからね。
何歳から始めても、10年あれば「何か」にはなりますよね
ただ、思い切れない人もいるとは思うんです。
自分の心に素直になれない、というか。
Uターン転職のデメリットとは?|取り返しがつかない3つのこと
個人的には、人生に「取り返しがつかないこと」はほぼ無いと思っています。
100年生きる時代に、何を始めるにしても「遅すぎる」ことはないからです。高齢になってプログラミングを学び、82歳でアップルの世界開発者会議に招へいされた女性もいらっしゃいます。
外国語やプログラミングの学習など、自分の中で完結することは、努力で何とかなります。
ただ、自分だけではなく「相手があること」「世間の感覚が変わらないこと」を変えようとするのは至難の業(わざ)です。
そこは相手を変えようとせず、受け入れるのが賢明です。
結局、他人は変わりませんしね。
大企業、有名企業に再び勤めることはかなり難しい|デメリット①
大企業、有名企業に新卒で属した後、Uターン転職をした場合、再び大企業、有名企業に勤めることはかなり難しいのが実情です。
東京、あるいは都市部であれば、転職エージェントを使うことでその可能性は残ります。しかし、地方に住み始めると、あらゆることが制限になるからです。
Uターン転職というからには「戸塚(神奈川)」や「船橋(千葉)」の職場に転職していませんよね(笑)。
地方都市の場合、休みを取って面接を受けにいくだけでも大変です。
また、大企業の一部(多く、かな)はいまだに新卒を非常に大事にしており、「新卒なら入れたけど、中途では無理」というケースは散見されます。
だから「新卒カード」なんてイヤラシイ言葉も健在なのです。
もちろん、企業の担当者は組織(人事部)として中途採用するので、致し方ないのも理解できます。
中途採用の希望者が殺到する人気の大企業の場合、以下のいずれかを「最終面接」に残したいのが本音でしょう。
- 人材を募集している部門の役員や事業部長(責任者)から異論が出ない学歴や職歴がある(35歳~)
- 有名大学出身、かつ人気の大企業に所属している20代~30歳前後
組織として、しかもコストと時間をかけて「募集」「書類選考」「複数回の面接」をするのですから、社内で活躍してくれる「確率の高い人」を書類選考の段階から選びたい。
下世話な言い方をすれば、1は「応募者の現在の役職やポジション」、2は「応募者の所属する企業」がクオリティを間接的に「口コミレビュー」してくれているようなものですからね。
なにも「失敗」を避けたいのは、「個人」だけではないのです。
もちろん、「あれ、前評判ほどじゃないね」ということも、あちこちで起きますけれど……。
ですから、あなたがとても若い場合を除き、Uターン転職後は大企業、有名企業に再び所属するのは難しい、と覚悟する必要があります。
年収が大幅に下がり、その地域の相場になる|デメリット②
Uターン転職すると、ほぼ間違いなく年収は下がります。
なぜなら、年収は個人のスキルや能力よりも「所属する業界」x「所属する企業」x「同じ会社の中なら役職」で決まるからです。
地域の平均、業界の平均を大きく超える年収を得たいなら、自分で別の事業をするなど、そのシステムに組み込まれていない別の方法を採るしかありません。
「サラリーマンとしての年収にはこだわりがある」というのであれば、この点はUターン転職の前に覚悟を決めておく必要があります。
もちろん、地方にも大企業が所有する事業所(工場)はありますから、そこに属すれば地域内で比較的高い年収を得られる可能性はあります。
ただ、そのような事業所は別会社(子会社)で本社と異なる給与体系になっていることも多々あります。また、そもそも正社員はほとんど採用されず、本社からの出向者と契約社員で運営されている、というケースもあります。
Uターン転職のメリットは「生活費の低さ」ですが、同時に年収が下がってしまうことへの覚悟も必要です。
親と過ごす時間が増える【同居するなら尚更】|デメリット③
Uターン転職を考えるきっかけは、やはり親との関係性ではないでしょうか。自分もそうでした。
- 詳しくはこちら:Uターン転職のきっかけは自分自身との対話から|素直に聞けますか?
ただ、親と過ごす時間が増えることで、つまらない言い争いなども増えます。
お互い、年齢を重ねているのに、親子関係の感覚はなかなか変えられないものだからです。
個人差があるとは思いますが、ぼくの場合、二度目の同居をするとどうしても父親がうっとうしく、衝突ばかりしていました。経済的に独立することで、父子のバランスが変わるのでしょう。
逆に、母親への感謝は強まったのですが……。
生物学的なものなのでしょうか。不思議なものです。
今は家庭を持って別に住んでいるので、実家と良い距離感を保てていると思います。
いずれにしても、親子関係は就職前の感覚とは違うので、そのあたりは覚悟しておきましょう。
Uターン転職のメリット|ようやくたどりついた安心感のある地元岡山での生活
学校生活を通じて、なんとなく「都会の大学に行って大きい企業や公務員になること」が生活の安定、幸せにつながると信じてきたぼくのような人間には、地元への転職は「価値観の転換」を求められるものでした。
長年、つちかわれた価値観の転換は難しいもの。
面と向かってそのように言われることはなくとも、あらゆる場面でそのように感じるように学生生活は仕組まれてきたからです。
実際に企業に属して、大阪、東京、あるいは海外への長期出張などを経験して、たしかにこのような変化のある生活を続けていけるなら面白いな、と感じていました。
(いまにして思えば、当時、独身だったから楽しめた、ということも大きいとは思います)
しかし、母親の病気(現在は元気です)、そして所属していた事業部の買収などをきっかけに地元に帰ることを考え始めました。
人は二つの人生を同時には生きられません。
あの時、決断しなかったら……。
そのように考えることは、いまだにあります。
しかし、母親が子供のころ言っていたとおりです。
「よそはよそ」
自分の「いま」が満足ならそれで良いわけで、生きることのできない他人の「いま」と比べても意味はありません。
そして、Uターン転職にはデメリットを上回るメリットも沢山あります。
自分の人生、そして一緒に生きていくことを選んでくれた家内と子供に感謝しながら、今の人生を楽しみたいと思います。
親子三世代でガッチリ暮らし~共働きを続けやすい|メリット①
Uターン転職を果たした最も大きな理由がこれです。
自分の親、あるいはパートナーの親の近くに住むことで、共働きと子育ての両立がしやすくなります。
なにも親と同居する必要はありません。車ですぐに行ける程度の距離であれば、緊急事態が起きてもいろいろと助けを求めることができます。
我が家の場合、朝、息子が起きた時に熱がある、なんてことはしょっちゅうでした。また、台風が想像以上に強く、警報で学校が休みになることも何度か経験しています。そんなとき、頼める家族がそばにいてくれたので、仕事を急に休まずに済みました。
もちろん、親の世代も仕事を続けていて頼みにくい、祖父母へのサポートが必要で無理を言えない、といった事情のご家庭もあるかと思います。
ただ、それらの問題もずっと続くわけではありません。
自分が40歳の時に親は〇〇歳、子供は△△歳、50歳の時には……、といったメモを作って整理してみましょう。各世代の関係性がわかりますし、意外と子供が早く自立することに気づくはずです。
子供が就職するまで共働きを続けられたら、その家庭は3つの収入(サイフ)を持てることになります。もし、親世代が年金生活なら、4つのサイフ。
身の丈にあった生活をそれぞれがしておれば、安定した生活サイクルを確立できます。
必要なら、どこまでも生活費(固定費)を削ることができる|メリット②
Uターン転職は予想外の収入減にも強いと言えます。
というのも、収入が何らかの事情で減ってしまったら、固定費(家賃や保険など、月々払っている費用)を減らさなければ貯金を食いつぶしてしまうからです。収入が減れば、支出を減らすしか手はありません。
ぼくの場合、独身だったこともあり、転職後は大きく収入が減ったにも関わらず、前職の収入の感覚でお金を使っていたために生活がどんどん苦しくなりました。しかし、そんな時期も実家に居候することで支出を見つめなおすことで、生活を立て直すことができました。
そんなの、よくプライドが持ちますね、という意見があるかも知れません。しかし、実家暮らし、自動車の共用など、苦しい時期は金銭的に甘えさせてもらいました。
正直、父親とは関係が悪くなりました。しかし、飛行機と同じで、飛び立つにはある程度の滑走が必要です。
何十年も滑走していては親に申し訳ないですが、飛び立つまでの準備期間は親子三世代でガッチリ手を取り合って生きていく、という選択もできます。
いざとなれば選べる、ということが安心感につながります。
喜びや悲しみを家族で分かち合えるイベントが増える~毎日が特別な日に|メリット③
同居はしていなくとも、週末、あるいは夏休みなどの長期休暇を通じて、親子三世代で接する時間が増えます。あるいは、運動会、習い事の発表会など。
Uターン転職をし、地元で家庭を持ったことで、親に子供(孫)の成長を頻繁に見せることができます。
我が家の場合、息子は水泳を頑張っていましたが、地域のちょっとした記録会に出る機会があり、祖父祖母と応援に出向きました。残念ながら順位は振るいませんでしたが、試合後に回る寿司屋で外食をし、息子の健闘をねぎらいました。
近くに住んでいるため、ちょっとしたイベントでも時間を割いて見に行こうか、という機会が増えます。
日々の変化が少なくなった父や母にとって、貴重な機会となっているようです。
地方都市でも新しいことにも挑戦できる時代に生きている|まとめ
ここまでの内容をまとめておきます。
ぼく自身は地元に戻ってから15年が過ぎようとしていますが、この間にUターン転職のデメリットが徐々に小さくなり、メリットをより実感しやすくなったと思います。
なぜなら、地方都市に住んでいても新しことに挑戦できる時代になったからです。
たとえば、多少のコストはかかりますが、東京や大阪に出るのは簡単ですし、地方空港からアジア各国への国際便(フライト)も日々、飛んでいます。
自分の仕事でいえば、東京と同じ感覚で、上海や台北に出張しています。
地方都市の中小企業が海外に顧客を得て、商社などを経由せずに直接輸出することもまったく珍しいことではありません。
また、インターネットやスマホの普及も、地元に住むメリットを強く感じられるようになった理由の一つです。
もちろん、都市部でなければ触れられない新しい文化や潮流もまだまだあるでしょう。しかし、地方に住んでいても、自分から情報を求めていくことでそん色なく学べる時代に我々は生きています。
しかも、転職自体のハードルが下がっているので、家族の状況に合わせて仕事を再び変えることもできます。(再び都市部に転職することをOターン転職と呼びます)
- 詳しくはこちら:Uターン転職で後悔しなくないあなたへ|Oターンを知ってますか?
インターネットの普及により、転職エージェントは特別なサービスではなくなりました。いまや、スマホでも転職活動ができる時代です。
ですから、今後、Uターン転職もデメリットよりメリットにスポットライトが当たることでしょう。