貿易実務や海外営業の仕事をしていると、社内の他部署から突然、内線電話がまわってくる。
あなたも経験がおありだろうか?
「○○です。海外から電話です……お願いします! 」程度の取り次ぎ。すぐに電話転送、「 Hello? 」と出る。国番号もよくわからないし、そもそも、どう聞いても第一声が英語でないこともある。
あるいは、原料を買いませんか、雑誌に広告を載せませんか、展示会費用の税金還付に興味ないですか、などなど。相手もそれが商売なので一所懸命に話してくる。
しかし、突然の海外からの電話は畑違いの人間にはほとんどわからないもの。すでに他部署で話が進んでいれば、下手なことも言えない。
仕方なく、要点をメールで送ってください、と頼んでも、今度はメールアドレスがうまく伝わらない。
「メールアドレスを書いて送りたい。FAXはあるか? 」と聞くと、「いや無い、メールアドレスを教えてください」と食い下がられる。 確かに、最近、海外の企業はFAXを用意していないところもある。
ということで、海外からの電話をうまくさばくコツをお伝えする。
国際電話の受け答え~英語で連絡先を確実に伝える方法とは?
基本的には、長電話をしても埒があかないので、メールかFAXをしてもらうに限る。
しかし、メールアドレスに必ず入っている@(アットマーク)が問題となる。
外国の方でも、日本人と何回か接触したことがある人であれば、@を日本式に「アットマーク」と読んで理解してくれるケースがある。しかし、ほとんどの場合、この表現は通じない。
特に、日本語的に平たく読んで「アットマーク」だと最後のKの音が強く印象に残って余計に混乱する。QやGの音と誤解されることもある。
@の後は「会社名」.co.jp や「会社名」.com 、@を乗り切れば、あとは簡単に伝わる。
しかし、そこが問題なのだ。
こういうときは、まず単に「アト ( At )」と言ってみる。
Aを強く読み、ㇳは少し消えそうな感じでTの子音の余韻を残す。
それでも通じない時は、「アトサイン ( At Sign )」と言う。AとSを強く読む。
万が一、それも伝わらない時は、無視して会社名などを続けて読み上げる。相手の筋が良ければ、「ああ、この日本人は@と言いたかったんだな」と位置関係から推測してくれる。
@を乗り越えたら、.com や .co.jpなど。この際、(ピリオド)はドット、と読んでみよう。ドッくらいの音でも大丈夫だ。J-WAVEなどのラジオでも今は頻繁に使われている表現なので、こちらはなじみがあるだろう。
国際電話では、-(ハイフン)、_(アンダーバー)も伝わりにくい
-(ハイフン、hyphen)も伝わりにくい。辞書にもこの用法で載っているものの、PHの音のせいか、何度も聞きなおされる。海外では横棒をダッシュ( dash )と呼ぶのが一般的なので、この用語が一番通じる。
ダに力を入れて「ダッシ」くらいの音で発音してみよう。
ちなみに、日本ではダッシュと呼ばれることが多いこれ(’)は英語ではプライム ( prime )と読まれる。若い方は高校の数学でも「プライム」と習っているかも知れない。
ダッシュが通じない場合はマイナス( minus )と読んでみる。マイを強く、ナスはノスくらいの音で弱く読む。
_(アンダーバー)は正規の表現ではないものの、比較的、外国の方にも通じる。ただし、英語として正しいのはアンダーライン( underline )、アンダースコア( underscore )だ。アンダースコアは「強調する」という動詞でもある。̠下線を引くので協調する、という意味なのだろう。英検で時々出題される。
国際電話で、音声が悪い時は A as Alpha を試してみよう
携帯電話、あるいはIP電話など、相手からクリアに聞こえにくい環境の時は、「 A as Alpha 」式でつづりを相手に聞き取ってもらうのも一案だ。
このルールは「 Nato Phonetic Alphabet 」と呼ばれる。ナトー フォネティック アルファベット。ご推察の通り、北大西洋条約機構のナトーだ。
この名称は一般的でないものの、Alpha、Bravo、Charlie は聞いたことがあるのではないか。
アクション映画などで、「本部! ブラボーチームが全滅!」などとやっているあれだ。
- A as Alpha
- B as Bravo
- C as Charlie
- D as Delta
- E as Echo
- F as Foxtrot
- G as Golf
- H as Hotel
- I as India
- J as Juliett
- K as Kilo
- L as Lima
- M as Mike
- N as November
- O as Oscar
- P as Papa
- Q as Quebec
- R as Romeo
- S as Sierra
- T as Tango
- U as Uniform
- V as Victor
- W as Whiskey
- X as X-Ray
- Y as Yankee
- Z as Zulu
が一式となる。
しかしながら、Foxtrot(踊りの一種) や Sierra(魚のサワラ) など、あまりなじみのない単語もリストに入っている。
このリストが思い出せない時は、深刻に考えず、好きな単語で ○ as ×××、と言ってみるといい。
相手に伝えるには、発音もそうだが、ストレス(アクセント)の位置が大事なので、極力、注意して欲しい。
自分のアドレスや名前を言えるように一度、練習してリストにおけば、いざという時に対応できる。
まとめ:本当に余裕がない時の対応法 ビジネスチャンスを逃さないために
社内から英語の電話が転送されてくるのは、一応、英語がある程度できると思ってもらっている、という証。
しかし、大抵、電話の向こう側は売り込みなので、なかなか電話を切ってくれず、時間を取られがちだ。しかも、時差のせいで、仕事始めのとんでもなく早い時間帯か、帰る間際の夕方の時間帯となる。
英会話の無料レッスンだと思って対応する時間的、精神的余裕が無い時は、英語をあまり聞き取れないふりをするか、電話が遠い芝居をしてメールかFAXで概要を送ってもらおう。
往年のドリフターズのコントばりに「電話が遠いんですけど? モシモーシ!? 」といった日本語の芝居でやっても、意外と通用する。
志村けんさんみたいになるので、近くにいる同僚からは笑われるが……。
嘘も方便、結果的にその方がおたがい早くケリがつく。
それから、「英語は嫌いじゃないし、むしろ得意なほうだけど『発音』が問題なのか、うまく通じなくて」という人は、無料のオンラインレッスンを受けてみよう。別記事で体験レッスンを受講したときの様子を紹介している。
50分にわたる、価値の高い発音の矯正レッスンが本当に「無料」だ。