こんにちは。
とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。
若い同僚から「取引先に『お値打ちですよ』ってメールで伝えたいんですけど、『 value for money (バリューフォーマネー)』で合ってますか?」との質問を受けました。
44歳でようやく英検1級に合格したとはいえ、この手の翻訳は難しいものです。
念のため、グーグルで検索してみると、たしかに「お値打ち」は「 value for money(=VFM) 」だと返してきました。
じゃあ、その逆はどうなの、と「 value for money 」を検索してみると今度は「お金の価値」と返してきます。
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ふむ、ただ少なくともぼくは、貿易実務の中では使ったことの無い表現です
さらに調べてみると、「 value for money 」には「支払った金額よりも値打ちがあると思える物」という意味があることがわかります。
なるほど。
つまり、「お値段以上、〇〇〇」ということですよね。
ただ、看板や広告、ビジネス書のタイトルではないので、貿易実務や海外営業の立場で相手に「お値打ちですよ」を伝えようとして「 value for money 」を使っても、おそらく「どういうこと?」というリアクションになるでしょう。
ぼくの場合、「お値打ちですよ」の候補として3つの案が頭に浮かびます。
- reasonable(リーズナブル):最も使いやすくて、相手を選ばない「妥当な安さ」
- competitive(コンペティティヴ):代理店など、身内相手に使うと便利な「競争力がある安さ」
- inexpensive(インエクスペンシヴ):議論の最中でも、ただただ冷静に伝える「安さ」
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いずれにしても、自社の商品やサービスに「 cheap(チープ) 」は使わない方が良いでしょうね。
「チープ」には「品質を捨てて価格を下げている」というニュアンスがどうしてもついてまわるからです。
チープはすでに「日本語化」しているので、日常生活の中でもそう感じる人もおられるかと思います。
「お値打ち」の英語は「value for money」だけど……|reasonable なら
お客さんも含めて、貿易実務の中で「この商品はお値打ちですよ」と伝えたい場面なら、まず「 reasonable (リーズナブル)」を使えないか、考えてみましょう。
というのも「 reasonable 」の元の形はは「 reason 」、つまり「説明のつく、理屈にも合う安い価格ですよ」を「 reasonable 」は表しているからです。
- The price of the cocoa beans is reasonable.
- そのカカオ豆の値段は安い(品質なりの妥当な価格で、高くない)。
このリーズナブルの使い方は、日本でも広告の中で使われるなどして浸透してきています。
リーズン(理由、理性)と結び付いていなければ、イメージもしやすいですよね。
続いては、身内と考えられる相手に伝える時の「安い」です。
competitive(コンペティティヴ)は「価格競争する力がある」の意味
もし、相手が販売をサポートしてくれる代理店やディストリビューター(売り切り買い切りの販売店)であれば、「安い」の別の表現として「 competitive(コンペティティヴ) 」も候補に入れましょう。
なぜなら、相手は自社に代わって商品、製品を販売してくれる立場だからです。
代理店や販売店が「〇〇社の商品は高いなあ」と腹の底から思いながら売るようでは結果もついてきません。
元売りの立場ならば「うちの商品は価格の競争力がありますよ」と事あるごとに PR していきましょう。
- The price of the LCD is competitive.
- その液晶ディスプレイ( LCD)の値段は安い(市場で競争力がある)。
代理店や販売店にとっての興味は「扱っている商品が扱っている市場(しじょう)で売れるかどうか」ですから、「価格競争力がありますよ」という伝え方は理にかなっています。
もちろん、「こんな値段じゃ売れないよ、神高さん」と返事をしてくる可能性もありますけどね。
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あ、ぼくが特に LCD を扱っている、という意味じゃないですよ。
あくまで、架空のお話です。
inexpensive(インエクスペンシヴ)は、冷静に「安い」事実を伝えています
あまり商売上の利害関係がない相手、たとえば他の国にいるグループ会社の人などを話をする中で「価格の安いモデルです」とフラットに、冷静に伝えたいなら「 inexpensive(インエクスペンシヴ)」と使うとちょうど良いでしょう。
expensive(エクスペンシヴ)を in- で否定しているので、「高くない=安い」という構造になっているからです。
- The new model XYZ-is inexpensive and small.
- 新しい XYZ型は安価でサイズも小さい。
もちろん、「安価」である以上は「高級」「高品質」とはつながらず、イメージとしては「まあまあ、普通の品質」の「モノ」や「サービス」とつながります。
その意味では、「 cheap 」よりは中立で、「 reasonable 」や「 competitive 」ほどの発信者の気持ち(バイアス)がかかっていない表現なのです。
「お値打ち」の英語は「value for money」、だけど……|まとめ
ここまでの内容をまとめておきましょう。
英語表現としてはこの3つくらいを使い分ければ、特に支障なく、誤解を与えることもなくコミュニケーションできると考えています。
cheap(チープ)を連発するよりは、自社の商品やサービスのイメージを守れますからね。
あとは、「安いのは当たり前、さらにこんな特徴が……」って別のところにスポットライトを当てることができれば、コレポンや商談も多少は前向きになる、かも知れません。
コレポンって、書類やメールを使った英語の会話ですからね。
まあ、資材、調達など買い物をする部署の人は「御社のサービス、正直、まだお高いですね」があいさつみたいなものです。
「貴重なご意見、ありがとうございます。それはそうと、他のお客様から好評をいただいている新しい使い方があるのですが……」なんて挨拶を返せば良いのです。





