こんにちは。
とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。
先日、海外にある競合他社の Income Statement(インカム・ステートメント) を読む機会がありました。
Income Statement とは、日本の簿記でいうところの「損益計算書(そんえきけいさんしょ)」に相当する書類です。
日本人同士だと略して P/L(ピーエル)と呼ぶこともありますけどね。
略さなければ「 Profit and Loss Statement(プロフィット・アンド・ロス・ステートメント) 」です。
それにしても、財務諸表(ざいむしょひょう)の Income Statement を損益計算書と呼ぶのは奇妙だと思いませんか?
特に思いませんか、そうですか(笑)。
Income Statement は損益計算書で合っているのか?|Profit and Loss との関係
奇妙だな、と感じるのは、損益の「損」が名前に入っていないからです。
収入、という意味の Income だけ。
だから、本当は Profit and Expense なんて呼び方をするべきなのかも知れません。
しかし、Expense が使われることはなく、基本的に米国で使われている書式では「 Income Statement 」という呼び名が一般的なのです。
ちなみに、イギリスとその流れをくむエリアでは、損益計算書に「 Profit and Loss Statement 」の方が広く使われているとのこと。
つまり、日本の現場では、英国式の表現が広まっているわけです。
そんな細かい違いなんて、わからんですよね。
Income Statement は財務諸表の中でも特に実用的で興味深い
Income Statement は財務諸表の中でも特に実用的で興味深いものです。
というのも、1年とか、あるいは四半期(3ヶ月)とか、一定の期間の成績(プラスとマイナス)を集計したある種の集計表だからです。
同業他社(ライバル会社)のデータが手に入れば、自社と比べてどのような売上( Sales )の上げ方をしているのか、といったことがわかります。
ある期間の動きがわかるので、動的(ポジティブ)な成績表、とも言えます。
バランスシート(貸借対照表)が「ある時点」を表す静(パッシブ)な成績書とするならば。
インカムステートメントの構成要素は上から順に Sales, Cost of Sales
Income Statement の構成、並び順が大体決まっていて、日本の損益計算書とも当たり前ですがよく似ています。
- Sales(売上)
- Cost of Sales(売上原価)
- Gross Profit(売上総利益・粗利)
- Selling Expenses (Distribution Costs)(販売費)
- General and Administrative Expenses(一般管理費)
- Operating Income(営業利益)
- Financial Incomes and Costs(金融収益・費用)
- Profit before Income Tax(税引き前利益)
- Provision for Income Tax(法人税)
- Profit for the year(当期純利益)
メーカーや商社に勤めておれば、「販売費および一般管理費」、略して「販管費(はんかんひ)」なんてワードはおなじみですよね。
一括して Selling, General and Administrative Expenses、あるいはさらに短くして( SG & A )なんてまとめた略し方をされることもあります。
ちなみに、Income Statement は「会社全体の成績表」ですけれど、個別の商品やサービスについてすべての細かい数字を集計、予測できるなら、原価計算となります。
メロンパンを一つ販売したらいくら残るだろうか、みたいな話です。
Income Statement の一番上は売上(うりあげ)、だから大事
Income Statement の一番上、最初の項目は Sales(売上) です。
Sales が少なければ、最後に出てくる Profit(利益)も小さくなる。
だから Sales (売上)はとても大事。
Sales が減れば、大きな影響が出てしまいます。
とはいえ、Cost of Sales(売上原価)も大切ですし、SG & A(販管費)も重要です。
組織が大きくなると、どうしても SG & A も高くなりますからね。
家計で言えば、光熱費やスマホ代みたいなものですから、収入に見合わないほどの出費をすれば、首が回らなくなります。
損益計算書(英文会計)に出てきそうな用語|statement of earnings
statement of earnings とか statement of operations などとも呼ばれる損益計算書。
出てきそうなその他の用語を紹介しておきます。
- Sales revenue(売上高)
- Cost of good sold(売上原価)
- Gross margin on sales(売上総利益)
- Operating income(営業利益)
- Other revenues and gains(その他の収益・利得)
- Interest revenue(受取利息)
Income Statement は損益計算書で合っているのか?|Profit and Loss との関係|まとめ
ここまでの内容をまとめておきます。
国内需要(内需)が期待できない分野の製造業は、これから地方都市のメーカーであっても海外生産に挑戦したり、協力会社を海外に持つことも増えていくでしょう。
あるいは、海外の法人が日本に進出してくる、なんてことも。
そんな時代に会社員を続けていると、拠点長や子会社でそれなりの責任を持つポジションになったり、責任あるトップをサポートする立場になることもあります。
となると、英文の財務諸表を読まなければならない場面も出てくる。
とはいえ、会計士(USCPA)や経済の専門家になるわけじゃないので、そこまで高度な会計知識は要らないですよ。
また、特定の世界で働いている関係者なら「この売上にしては原価が高いな」とか「売上に対して、販売費をかけすぎじゃない?」みたいなことは何となくわかるものです。
だから、挫折と再開をぼく自身も会計と英語の勉強は続けていきたいと考えています。
定年が延びて、サラリーマンは長く働く時代。
長く組織に貢献したいなら、拠点長やそれに近いポジションを狙うのは悪くないと思います。
一緒に頑張りましょう。