こんにちは。
メーカーで貿易実務に関わって20年以上、通関士試験にも合格した神高(かんだか)です。
一般に、通関士とは「貿易に関する唯一の国家資格」と紹介されます。
それは、本当です。
ただ、この通関士資格、「士(し)」と付く職業(弁護士、税理士などいわゆる士業)の中で、ほぼ唯一、独立開業が「非現実的」なんですよね。
なぜなら、「通関士」は「通関業者」のライセンスを持つ法人(企業)に所属していなければ「登録」できないからです。
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法律では「通関業者は、営業所ごとに通関士を置くこと」と定められているんです。その点は、宅建と似てるかな。
じゃあ、思い切って個人で「通関業者」のライセンスまでを取ればいいじゃないか、というアイデアも出てくるわけですが、「通関業者」のライセンスは個人の「知識」や「経験」では(普通は)取れないんですよ。
今回は、以下のポイントについて、解説していきます。
- 結局「通関士資格」とはどんな資格なのか?
- 「通関業」「商社やメーカーなどの通関業以外」で通関士資格はどう活きるのか?
通関士とは「結局」どんな資格なのか?【独立、転職の可能性】
通関士は個人で取得する資格ですけれども、独立開業は事実上、不可能な資格となっています。
それは、通関士を置く母体となる「通関業」の資格を得るには大きな「資本」、つまり「お金」や「設備」が必要だからです。
通関士試験の1科目目、「通関業法」で何度も出題される超有名な穴埋め問題があります。
(カッコ)の中が選択肢とされる問題が繰り返し出題されていてます。
正解は……。
( ① )には「財務大臣」、( ② )には「経営の基礎」が入ります。
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ニセの選択肢として「税関長」や「経営の基盤」「収益性」が用意されます。ほぼ、毎年出される問題です。
「しなければならない」ですからね。「することができる」ではないんです。
だから、ハードルが高い。法人ならどこでも申請できるようなレベルでもありません。
通関業者のリストを業界団体のウェブサイトで確認すると、よくわかります。
- 運送業
- 海運業
- 倉庫業
- 商社の物流部門(子会社)
- メーカーの物流部門(子会社)
など、相当な規模の企業が並んでいるとおわかりいただけるでしょう。
特に、地方都市の場合は「運送業」と「倉庫業」との兼業がほとんどですよね。
地方都市の「通関業者」は、たいてい地方でも有数の「運送業」か「倉庫業」です。
ちなみに、「商社やメーカーの物流部門」の多くは、「東京税関」で登録をしています。
通関士資格を持つ人だからできる戦略(ストラテジー)とは
それでは、今、商社やメーカーで働いている人に「通関士資格」は役に立たないのか、といえば、そうとも言い切れません。
もし、貿易実務にすでに関わっている、あるいは関わりたい、ということであれば、「通関士」の受験勉強は必ず役に立ちます。
特に「関税法」と「通関実務」の2科目を学べば「輸出入の原則と例外」などを体系的に学ぶことができるので、貿易実務に関わるだけの立場の人も、日々の業務改善につながります。
さらに知識と経験を重ねていけば、FTA (Free Trade Agreement、自由貿易協定)などの複雑なルールを扱うこともできるようになります。(かなり専門的なので、一般的には社内のチームで仕事をします)
EPA・FTAコンサルタント、なんてタイトル(役職)で会計事務所が募集していることも。
結果として、社外で活かせる知識や経験を得るきっかけを「通関士資格」を通して得られる可能性があります。
通関士は「税関」から見れば「通関業者の顔」、コンタクト先です
こんどは逆に「通関業者」で働くとしましょう。
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通関業者は、「乙仲」「フォワーダ」なんて呼ばれることもあります。
荷物を輸出したい、輸入したい人と通関業者(運送業者や倉庫業者)をつなぐのは営業の仕事です。
一方、税関からみた時、「通関業者の顔」はそこに所属する通関士となります。
なぜなら、問題や疑問点が生じた時に連絡を取るのが「通関士」、あるいはその上司にあたる「営業所の責任者」となるからです。
長年勤めた営業マンがその会社の「顔」となるように、長く同じ会社に勤めた通関士はその企業の「顔」となる可能性があります。
そこまで信用を重ねれば、社内で長く必要とされる存在になれますよね。
特に、地方企業の場合はそうなります。地元にそうそう経験のある通関士が居るわけではないですから。
地方企業に所属した通関士は、長く勤めるほど、活躍の可能性が広がります。
通関士資格は「働きながら取る」資格です

税理士や公認会計士などの難関資格については、仕事を辞めて取り組む人もいます。
しかし、通関士の場合には、そんなことをする必要はありません。
「通関士資格」は基本的に従業員、会社員を前提としてつくられている仕組みだからです。
働きながら学習時間をつくり、年に1回行われる試験に向けて準備をしていけば十分です。
年によって難易度や合格率が変わりますから、合格できるレベルに達していても、不運にして不合格となるケースもあるでしょう。
とはいえ、会社員を続けながらの受験ですから、悔しくても焦る必要はありません。
冷静に試験準備を進めていけば、いつかは合格できる「難易度」と「ボリューム」です。
通関業者に勤めているなら、科目免除を使えるかどうか調べましょう
通関業者に勤めている人であれば、まず「科目免除」制度を使えるかどうか、調べましょう。
5年間の実務経験で、最難関の「通関実務」を免除にできる可能性があります。
- 詳しくはこちら:【通関士試験】科目免除の条件|5年の実務経験だけで……
3科目目を受ける必要がないのであれば、1年で通関士資格を取得するのはまったく夢物語ではありません。
過去問を繰り返し解き、公開模擬試験を何度か受けるだけでも合格圏内に到達できるでしょう。
逆に、3科目で受験しなければならない人(通関業者や税関に勤めていない人全員)は、試験を受けるのにちょっとした覚悟が必要です。
とはいえ、フルタイム、パートタイムで働きながらチャレンジできる資格ですし、動画による学習など新しいツールも増えていますから、興味がある人は試験の内容を調べてみてください。
税関の試験案内はこちらです。
独立開業はできないにしても、通関士の資格はまだまだ将来性があると思います。
- 通関士資格の将来性について:通関士試験に将来性はないの? 通関業者とそれ以外の職種




