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通関士試験の合格率の真実 受験番号と科目数の関係とは?

貿易実務・通関士試験

通関士試験には免除制度があります。

免除がない人は3科目、通関に関わる特定の仕事に就いて5年経った人は2科目、15年頑張った人は1科目で受験することになります。

ただ、この制度、実は合格率の変動と大きく関わっています。その実態を、2018年の受験番号を眺めながら、一緒に考えてみましょう。

2018年度の合格率は14.6% ただし、科目免除者を含む数字

2018年度の第52回通関士試験の合格率は14.6%と税関から公式に発表されていて、その詳細は以下です。

受験申込者数 : 8,491人

受験者数 : 6,218人 (筆者注:棄権率 26.8%)

[うち試験科目の一部免除を受けた者] 1科目免除 : 607人

2科目免除 : 130人

合格者数 : 905人 (合格率 :14.6%)

4人に1人が当日、受験できていない影響は小さくありません。

そこで、実際に電卓をたたいてみると、当日受験しなかった人数を除いた人数で計算していることがわかります。

具体的には、905 / 6,218 = 0.1455 (= 14.6%)。たしかに、棄権した方々を分母にしていません。

ちなみに、サイコロを1回振って、1の目が出る確率は、1/6 = 16.7%。

ですから、起こる確率としてはその程度、との感覚を持っておくと実感しやすいでしょう。

それでは、合格者905人のうち、どのくらいの割合が3科目受験者なのでしょうか?

神戸税関(試験地:神戸)で人数をカウントしてみると……

神戸でも横浜でも、あるいは東京でも構いません。適当な試験地の合格者一覧(受験番号一覧)が税関から発表されているので、眺めてみましょう。3科目受験者のシェア(割合)がわかります。

ここでは、神戸税関(試験地:神戸)を引用させてもらいます。

受験番号の千の位が3種類あることにお気づきでしょうか?

この千の位、実は受験科目数を表すことが通関士試験経験者の間で知られています。

マーカーでグループわけしますと、

1001 1002 1003 1004 1005 1006
2020 2033 2048 2051 2054 3001
3008 3009 3012 3013 3023 3024
3026 3027 3052 3076 3088 3089
3094 3095 3098 3102 3104 3115
3119 3120 3126 3138 3152 3158
3175 3179 3191 3203 3231 3234
3235 3237 3238 3242 3247 3248
3249 3251 3252 3253 3260 3264
3265 3268 3276 3280 3283 3288
3299 3303 3314 3319 3322 3323
3327 3328 3329 3339 3355 3366
3409 3422 3427 3433 3438 3452
3459 3476 3491 3492 3513 3572
3580 3593 3618 3635 3642 3672
3711
  • 1科目受験の合格者(黄色):6名
  • 2科目受験の合格者(赤色):5名
  • 3科目受験の合格者(青色):80名

まず、1科目で受験された方の受験番号が目を引きます。何しろ、1番から6番までが全員、合格しているのですから。

たとえば、かなり開発の難しい試作品を製造する生産ラインAにおいて、良品率(期待した品質を達成する割合)が14.6%とわかっているとします。

「ある日、新設の生産ラインBを使ったら、6回連続で良品を生産できました」

となると、この生産ラインBは、明らかに生産ラインAと違います。そして、おそらく「7回目」も良品になるでしょう。

あるいは、サイコロを振って6回連続で1が出るほどのレア度、と考えても良いでしょう。おそらく、普通のサイコロとは何かが違います。

(あくまで統計的なたとえ話なので、どうかお気を悪くなさらず……)

受験番号1007番以降の方がどのくらいの人数、いらっしゃったのかわかりません。ただ、「標本調査」や「検定」を持ち出すまでもなく、このカテゴリー自体が相当高い合格率でなければ、こんな実績にはなりません。

さて、では3科目受験者の合格率はどうでしょうか。さぞかし、不利な状況かと思いきや、意外な結果となりました。

3科目受験者の合格率の真実 不利な条件にも関わらず……

内訳がわからない以上、あくまで予想になりますが、受験番号から3科目受験者の合格率を推定してみます。

申込者数: 711人+α (受験番号から推定、αは並びから20人前後と予想)

受験者数: (711人+20人) x (1 – 0.268) = 535人 (全体の棄権者数から推定)

合格率:  80/535 = 14.9% (棄権者を除いた、実際の受験者数を分母とする合格率)

と全体の合格率と比べてもそん色ない、いや、むしろ良い数字をたたき出しています。

3科目受験者は、極端に難しい3科目目の「通関実務」を回避できないので、不利だと思い込んでいました。

しかし、今回の結果をみるにつけ、3科目受験の方々が相当な努力をされていることがわかります。

見事という他ありません。

逆に、2科目受験者のカテゴリーは、かなり苦戦された跡がみられます。

この年の2科目目の「関税法」が特別、難しかった可能性もあります。

受験番号の飛び具合(おまけ:6月12日追記)

何らかの相関があるかも知れないと思い、受験番号の「飛び(前後の差異)」をグラフ化してみました。番号が小さいほど申し込みが早いので、右肩上がりになると予想していたものの、中央あたりまではあまり差がありません。

ただ、後半の30%程度は極端に番号が飛ぶので、このカテゴリーでは「試験日程を知るのが遅くなり、ギリギリで願書を提出した人が多い」「棄権した人が多い」「特定の企業や団体に属していて、準備の出来に関わらず受験した人が多い」などの可能性が考えられます。

  • ある程度の余裕をもって願書を提出した方が良い結果につながりやすいだろう
  • だからといって、それだけで何もせずに合格率が上がるわけではない

という、当たり前の結論に落ち着きました。

まとめ: 他の受験者の合格率は、あなたの合否と無関係

いかがでしょうか。

通関士試験は、毎年、科目間の難易度が大きくばらつきます。

特に、3科目目の「通関実務」はトリッキーでクセの強い、いじわるな問題構成です。

しかし、そこに対して十分な対策をすることで、3科目受験者でも合格にぐっと近づけることもわかりました。

もっと言えば、全体の合格率が高かろうが低かろうが、あなたの合否とは関係ありません。

あなたがもし通関士試験に独学で挑戦するのであれば、自分の可能性を信じて頑張ってください。

ご健闘を心よりお祈り申し上げます。

※ 実体験に基づく基本戦略を提案をしています。「これなら自分もできるな」と思えるなら、参考にしてみてください。

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