とあるメーカーで貿易実務をしながらブログを書いている神高(かんだか)です。
通関士試験には、3科目受験で合格しました。
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でも、合格までに4年もかかっちゃったんですよね。
2回、3回と失敗を重ねているときは辛いですから、「通関士になるには、たとえば科目免除とか、大学の単位とか、何か他のルートで資格を取ることはできんのかな?」と思って調べたことがありました。
結論は、「通関士試験(国家試験)に合格して、税関の確認を受けるしかない」。
専門学校に通っても、結局はみんなと同じく年に1回の国家試験に合格しなければならないのです。
やっぱり、そうか……。
でも、通関士になりたいなら、知っておきたい「重要なポイント」があります。
通関業者に勤めていない資格保有者として、詳しい話をしましょう。
通関士になるにはどんなルートがあるの?|大学や専門学校は資格取得に使えるのか?
「通関士」と名刺に書けるようになる、つまり「通関士になる」には「税関」の「確認」を受けなければなりません。
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通関士試験に合格しても、勝手に名刺に「通関士」って書いちゃダメですよ。「確認」を受けて、はじめて名乗れます。
その「確認」を受けるための条件は、実は法律(厳密には、基本通達)で決まっています。
つまり、「通関士試験の合格証書」と「欠格条項に該当しないことを(所属する通関業者が)証明する書類」を提出することになります。
この「通関業者」と「通関士(候補)」の関係は、実際の「通関士確認届」を眺めてみればすぐにわかります。
通関士の確認を求める届け出、さらに欠格条項に該当しないことを証する書類をつくるのは、あくまで「通関業者」なんですよね。
宛名書きを見ればわかるとおり、「通関業者」が「税関長殿」宛てに差し出す書類ですからね。
もちろん、「所属する通関業者」に対して、欠格事由に該当しない旨を書類や口頭で伝えることにはなりますけれど。
ですから、順番はどちらが先でも良いのですが、確認を税関にお願いする時点までに
- 通関業者に所属していること
- 通関士試験に合格していること
の二つを満たしておく必要があります。
ちなみに、受験資格はまったくありません。外国人でも受けられるんですよ。
- 通関士の受験資格とは?:通関士に受験資格は本当にないの?|外国人でも受けられるのか
通関士になるには、欠格事由(けっかくじゆう)に該当してはいけない
通関士として税関から確認を受けるためには「欠格事由(けっかくじゆう)」に該当していないことが条件です。
これは、通関業法という法律で決められていて、通関士試験の1科目目「通関業法」でも何度も何度も出題される内容です。
有名なところでは、
- 禁錮以上の刑に処せられた者であつて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから??年を経過しないもの
とかですね。(??の正解は「三」)
通関業法の条文はネット上のサービス「 e-Gov 」で確認できますから、必要であれば原文にあたるようにしましょう。( Ctrl ボタンを押しながら F ボタンを押すと、簡単に検索できます)
通関士になりたいなら、1科目(通関実務)免除が通関士試験合格への近道
通関士になるには、結局、国家試験である「通関士試験」に合格せざるを得ません。
ただ、通関士試験は年に一度しか試験が行われない上に、通常は3科目とも70%の合格ラインをクリアする必要があります。
3科目目の「通関実務」は一つでも間違えれば芋づる式にハマってしまうほど、ややこしい問題構成となっています。
- 問題への見解はこちら:通関士ってどんな問題が出題されるの?|法律に関する資格試験だから……
ですから、3科目目が免除となる可能性がある人は、是非、会社や所属先と相談して「通関業務経験5年」を経て「3科目免除」の状態で試験を受けてみましょう。
- 3科目目が免除される条件とは:【通関士試験】科目免除の条件|5年の実務経験だけで……
2科目で受験できるなら、「通関士試験(3科目受験)」はまったく別モノです。
通関士になりたい、だけで新卒や若い人が資格にこだわるのもちょっと違う
ごくたまに、大学生や専門学校の方、あるいは20代前半の方から「通関士試験に合格して就職に活かしたい」という質問を受けることがあります。
その時、ぼくは「通関士資格になりたい、というだけで就職先を決める必要はないですよ」とアドバイスします。
というのも、通関士資格は350時間程度の学習時間、つまり働きながら取得できる資格だからです。
毎日1時間、しっかり勉強できるなら、少なくとも翌年の試験本番でチンプンカンプン、ということはない難易度の試験に過ぎません。
だから、若い方、これから就職活動を控えている大学生や専門学校生の方には、通関士になることだけを目指す必要はない、とも伝えているのです。
もっと広く視野を持っていい。
若い、ということは、それだけ採用する側も期待してくれます。
新卒、あるいは20歳代前半の就職のしやすさはそれ以後とは全然違いますから、30歳をむかえていないなら、資格試験にこだわらず、冷静に、かつ積極的にチャレンジしましょう。
通関士になることだけを目標に仕事を選ぶよりも、もう少し広い視野で就職先や仕事を選ぶよう、おすすめします。
通関士試験は独立開業できるタイプの国家試験ではないですからね。
ぼく自身、資格さえあれば、みたいに考えてしまいがちな時期もあったので、あえてこの点は強調しておきたいところです。
通関士になるにはどんなルートがあるの?【まとめ】
今回の内容をまとめておきましょう。
会社員として通関業者に勤めているような人であれば、欠格事由に該当するかどうかを心配することはないでしょう。
問題は「通関士試験にいかにして合格するか」ですよね。
3科目受験者の合格率は10%からせいぜい15%前後で推移していますから、なかなか簡単な試験ではないです。
でも、貿易実務や海外営業に関わる人であれば、挑戦する価値のある資格だと思います。
仮にすぐに合格できなくとも、貿易周辺の知識を体系的に身につけることができますからね。
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資格それ自体に目を向けると、通関業者以外の活かし方もあります。
将来、選択肢を増やせる、かも。
- 資格そのものの将来性は?:通関士試験に将来性はないの?|通関業者とそれ以外の職種の現実
また、効率的で価格も安い「動画で学べる通信講座」についても、別の記事にまとめています。