貿易に関わる新人の部下から「神高さん、『しゅうに予定』ってどんな意味ですか?」と聞かれました。
しゅうに?
「週二回」のことをわざわざ聞くわけもないし、何だろう、と思ったら「集荷(しゅうか)」のこと。
この単語、出会って長いので気に留めていませんでしたが、よくよく考えれば、読みも意味も特殊な用語です。
せっかくなので、一緒に「おさらい」しておきましょう。
集荷(しゅうか)の意味とくわしい使い方
集荷(しゅうか)は、文字から想像できるとおり、「荷物を集める」ことを意味します。
ただ、「お客さん(荷物を送りたい人)目線」ではなく、「運送業者(荷物を運ぶ人)目線」であることに注意してください。
クロネコヤマトや佐川急便が、トラックや自転車で事務所や工場をまわり、お客さんから配送を頼まれた荷物を受け取っています。
これは、東京丸の内のビル群の中でも、地方都市の工場や倉庫でも同じです。
おおむね、一日一回(あるいは、電話やオンラインサービスで予約をすると)、運送会社が荷物を取りに来てくれます。
この「運送業者さんの訪問サービス」を「集荷(しゅうか)」と呼ぶのです。
個人でも、同じです。
「メルカリ」や「ヤフオク(ヤフーオークション)」で、条件や扱う品物によっては「集荷(しゅうか)」サービスが使えることがあり、大抵、有料(別料金)となっています。
※ ちなみに、お客さんが自分で「運びたい荷物」を集めても、「集荷(しゅうか)」とは呼びません。
集荷(しゅうか)が「ピックアップ( pick-up )」を意味するときもある
物流や貿易の世界では、「ピックアップ( pick-up )」という特殊な用語が使われています。
そして、先ほどの「集荷(しゅうか)」が、この「ピックアップ( pick-up )」を指すこともあるので要注意です。
「ピックアップ」とは、「貨物を引き取りに行くこと」を指します。
たとえば、そこそこの大きさがある貨物(大型テレビなど)を上海から輸入して、神戸港まで運び込んだとします。
到着したあと、神戸港では「輸入する者」が「輸入通関(ゆにゅうつうかん)」という「外国の貨物を日本の貨物に変える」手続きを行わねばなりません。
なぜなら、通関手続きを終えていない貨物は「外国貨物」のままなので、日本に自由に持ち込めないからです。
必要な書類を税関(ぜいかん、輸入許可を出す国の役所)に提出し、「輸入許可」が出ると、その貨物は「内国貨物(ないこくかもつ、日本に普通にある品物)」となるので、自由に日本国内に持ち込めます。
その時、「神戸港まで貨物を取りに行き、次の目的地まで運ぶ」ことを「ピックアップ( pick-up )」と呼ぶのです。
乙仲(おつなか、日本通運などの輸入通関をする代理店)に「神戸港で、貨物のピックアップをお願いします」と頼むのは、「神戸まで集荷に向かってください」と頼むのと同じ意味です。
集荷(しゅうか)の時間を把握するのも、貿易事務のひとつ
貿易事務(貿易実務)に関わっていると、書類を海外や国内の取引先に送りたいことが、よくあります。
その時、「自分の勤め先に運送業者が定期的に集荷に来ているか?」「来ているなら、何時ごろか?」を知っておくのはとても大切です。
というのも、この「集荷」の時間が、後日、輸出するときの「締め切り」に影響を与えることがあるからです。
海外向けに書類やサンプルを送るのであれば、「 DHL 」「 FEDEX 」「 UPS 」などの各クーリエ(国際宅配便)業者。
国内であれば、「クロネコヤマト」「佐川急便」「日本郵便」「西濃運輸」「福山通運」など。
これらの運送業者は大きな会社(事業所、などとも呼びます)や倉庫、オフィスビルなどに順番に出入りして、貨物を集めています。
ただ、毎日、「集荷(しゅうか)」の時間帯が違うと、お客さんの都合がつきにくいので、毎日、ほぼ決まった時間に貨物を集めるように、ルートを決めているのです。
まとめ
いかがでしょうか。もう一度、おさらいしておきましょう。
輸出の場合、取りに来てくれる運送業者さんのところで、仕事は終わりません。
むしろ、その先が大事で、「集荷(しゅうか)」された貨物は港や空港に運びこまれ、「輸出通関(ゆしゅつつうかん)」の手続きに入ります。
この時、「今日、集荷されて明日、港(空港)に着く」のか、「明日、集荷されて明後日、港(空港)に着く」のかで、結果がぜんぜん変わってしまうことがあります。
なぜなら、「輸出通関」を受けた後の「船」や「飛行機」に載せられるかどうかが、その港や空港への「到着日」で変わってくるからです。
※ 「カット日」と呼ばれる持ち込みの「デッドライン」については、この記事を参考にしてください。
アメリカやヨーロッパに貨物を運ぶ場合、集荷のタイミングで到着が数週間変わることも起こります。
その意味では、用語を正しく把握して、自分の勤め先の実情を知っておくことが、顧客満足(こきゃくまんぞく、CS = Customer Satisfaction とも呼びます)につながるわけです。
ひとつの貿易事務手続きも、しっかり、お客様とつながっているのです。
最後に。
もし、あなたが貿易に関わって日が浅いなら、この記事だけは、読んで帰ってください。
きっと、役に立ちます。






