DAPというインコタームズを使う際の注意点|保険は誰が掛けるのか?

コンテナターミナルのライトアップ貿易実務・事務処理

こんにちは。神高(かんだか)です。

職場の後輩から「 DAP の意味や使い方を教えて欲しい」と頼まれました。

DAP は INCOTERMS 20102010年版のインコタームズ)で登場した、比較的新しい略語です。

白状しましょう。

いまだに DDU と DDP (2000年版 INCOTERMS)の方がイメージしやすいので、DAP はスッと頭に入りません。

ということで、今回は一緒に 少々マイナーな DAP を一緒にみていきましょう。

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DAPを貿易で使う際の注意点 – インコタームス2010

DAP は INCOTERMS 2000 以前は存在しなかった3文字の略語で、「 Delivered At Place 」の略です。

FOB = Free On Board、CIF = Cost, Insurance & Freight のように、各々、元の意味があります

このとき、「 Place 」までの運賃を負担すること、と読めるため、「 Place 」が何を意味するかは、とても重要です。

さて、問題です。「 Place 」は何を指すでしょうか?

……

正解は「輸入者が指定した輸入国内の場所(たとえば、倉庫や工場など)」です。

たとえば、コンテナ輸送であれば、CY (= Container Yard) や CFS (= Container Freight Station )に一時的に貨物を納めた後、輸入通関を経て、輸入国内のサービス(トラックや小さな船など)で「指定された倉庫や工場」まで運ばれます。

DAP は、そこまでの(輸入者の)国内運賃を(海外にいる)売主が負担すること、という取り決めです。

ちなみに、到着地で貨物を降ろす作業は「買主( consignee )」の責任の範囲です。

DAP の後には、具体的な場所や施設の名称を書いておくべき

DAP は買主が有利な取引条件です。

ですから、もしあなたが売主なら、FOBCIF と一緒、と考えてはいけません。

「 DAP Shanghai, China 」なんて「簡易的な記載」はもってのほか。

これでは、「上海のどこ」に届けることになるか明確になっていないので、後でトラブルになりかねません。

無用なトラブルを避けるため、DAP の後はできるだけ具体的な場所の名前を書くようにおススメします。

DAP 表記の事例)DAP Dalian High-tech Zone, Dalian, China (INCOTERMS 2010)

このように合意しておけば、Dalian High-tech Zone 内の指定場所に届ける、ということが明確です。

この時、貨物は大連港から目的の工業団地まで陸送(りくそう、トラックなど)で運ばれることになるでしょう。

そこまでの費用を、売主は負担するのです。

DAPのリスク移転は「 Place 」に到着した時( FOB、CIF とは違います)

この DAP 、そして他の INCOTERMS 2010 の Dグループ( DAT、DDP )も同様ですが、「リスク移転(保険を掛けるなら、どこまでかけるか)」の時期が FOBCIF と異なります。

FOBCIF のリスク移転時期: 輸出の際に、貨物が本船の船上に置かれた時 (on board)

Dグループは全て「コストを負担するところまで、売主がリスクも負担する」のがルールです。

ですから、「 DAP 」の場合は「 Place 」までのリスクを売主が負担します。

また、CIF と異なり、保険を掛けるかどうかは、「双方の取り決め」に委ねられています。

ただ、DAP で合意する売買契約は、おそらく「買主( consignee )」は「売主( shipper )」が保険を掛けてくれることを前提にしているはず。

「売主」がその確認を怠ってしまうと、最悪、無保険になってしまう危険があります。

ですから、「輸入者」側で保険が掛からない(あるいは、不明)のであれば、「輸出者」は保険を掛けておくべきです。

まとめ:DAP は DDU が廃止されて生まれた

いかがでしょうか。

もう一度、簡単に振り返っておきましょう。

  1. DAPを貿易で使う際の注意点 – インコタームス2010
  2. DAP の後には、具体的な場所や施設の名称を書いておくべき
  3. リスク移転は「 Place 」に到着した時( FOB、CIF とは違います)

DAT は DDU ( INCOTERMS 2000 )が消滅したと同時に作られたので、DDU の代わりとなるべき略語です。

ただ、DDP ( Paid ) と DDU ( Unpaid ) のようにペアで覚えることができないため、なかなか頭に定着しません。

2010年版から Unpaid をなくしたのは、どうやら国内輸送や EU 圏内の売買でも INCOTERMS を使えるように改訂したため、のようです。日本では、全く普及する気配がありませんが……。

パソコンソフトの「安定版」のようなもので、なかなか皆の頭の中にできた「固定概念」は消えません。

INCOTERMS が「コンテナ船輸送で使うべきではない」と主張している FOBCIF も、まだまだコンテナ輸送や航空機による輸送でも使われているのです。

ですから、INCOTERMS 2020 が出てきても、当分の間、 INCOTERMS 2010 は現役であり続けるでしょう。

もちろん、コンテナ船での輸送を前提とした新規契約ならば、CIF や FOB ではなく、CIP や FCA での契約をお勧めします。

CIF が CIP ならば、客先の抵抗も少ないでしょう。

神高
神高

とはいえ、価格見直し(コスト分担の見直し)を申し入れされる可能性はありますから、客先に申し入れるかどうかは、海外営業の担当者とよく話し合って決めてくださいね。

最後に。

もし、あなたが貿易実務に就いて日が浅い人なら、この記事だけは読んで帰ってください。

将来、きっと役に立ちます。

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