こんにちは。
とあるメーカーで貿易実務に就いて20年超の神高(かんだか)です。
先日、NON COMMERCIAL VALUE(ノンコマーシャルバリュー、NCV)という記載について、職場の後輩から質問がありました。
どのような時に使うのか、インボイスの金額はいくらにするのか、などについてですね。
NO COMMERCIAL VALUE という文言をインボイス(仕入書、送り状)に書くとき、ざっくりいえば「このアイテムは売買契約(ばいばいけいやく)に基づいて輸出入されるのではありません。代金決済も無しです」と宣言するのと同じ意味です。
では、売買契約を伴わない、というのは、具体的にどういう時を指すのか。
今回はメーカーに勤める海外向けの営業担当としての立場から4つの事例を交えながら解説します。
ある程度、限られた商品、製品を扱う商社でも同様の考え方で使えるでしょう。
【貿易】NON COMMERCIAL VALUE(ノンコマ)の意味と使い方とは|無償品やサンプル他、4つの事例

製造業の貿易実務担当者としてノンコマ( NO COMMERCIAL VALUE )を使うのは、これから紹介する4つのケースになると思われます。
無料のサンプル品(無償の試作品など)を輸出するケース|事例①
一つ目は、無料のサンプル品(試作品)などを無償で輸出するケースです。
このとき、輸出者はインボイスに無償(むしょう、無料と同じ)で貨物を引き渡す意味でインボイスの一部、一般的には金額の近くに「 NON COMMERCIAL VALUE 」と記載します。
ただし、インボイスに NO COMMERCIAL VALUE と記載したからといって、金額をゼロとしてはいけません。
輸入者(コンサイニー)と取り決めた INCOTERMS にもとづいて、有償(有料)として引き渡すなら幾らになるか、という金額をインボイスに記載します。
つまり、10円、とかそんな運賃にも満たないような金額をインボイスに書いてはダメです。
FOB としたって、たとえば10円なんてことはないですからね。
クレームなどにより、無料で新しい製品を送るケース|事例②
クレームなどにより、無料(無償)で新しい製品、商品を送る場合もノンコマを使います。
というのも、売買契約に基づくメインの輸出はすでに終えているからです。
保証期間内に故障がわかり、後から新しい製品や部品を送る。
となると、後から輸出するアイテムは売買の外、無料になりますよね。
だから、NON COMMERCIAL VALUE を使うのです。
SHIP SPARES IN TRANSIT と併用されることもあるでしょうね。
送り忘れたアイテム、欠品の部品などを後から発送するケース|事例③

送り忘れたアイテム、欠品の部品を後から発送する時も同じく NON COMMERCIAL VALUE を使います。
クレームと近いのは近いのですが、この場合はコンサイニー、あるいは最終ユーザーが紛失、あるいは受け取ってない、と主張するケースを想定している点がクレームと違います。
メインの売買契約を履行(完了)していているわけですから、送り忘れや欠品が発覚して送るなら、無償品になりますよね。
もちろん、コンサイニー(受け荷主、客先など)に落ち度があって、有償品として購入してもらえるなら、その契約金額をインボイスに書きます。
個別の事情を考慮して対応するわけです。
グループ会社や協力会社、海外の工場に金型や治具を売買契約なしで送るケース|事例④
グループ会社や協力会社、海外の工場に金型や治具(じぐ、製造に必要なテンプレートなど)を売買契約なしで送る場合も、NON COMMERCIAL VALUE を用いることになります。
というのも、多くの場合、所有権の移転をともなう取引ではないからです。
売り買いではなく貸し出しているだけ、という解釈ですね。
このケースは通関士試験の計算問題(課税価格の決定、加算要素)でもよく出題されますし、税関の事後調査でもチェックされる事項になります。
まあ、金型にしても治具にしても、企業同士の大規模な取引となるなら経験のある専門部署がキチンと処理していますけどね。
ぼく自身、この取引はほとんど経験がないですし、再輸出・輸入免税なども考慮が必要など、なかなかに専門的なので参考情報にとどめてください。
個別の事情により異なるので、詳しくは普段、取引のある通関業者(乙仲、フォワーダー)や社内の専門部署とご相談を。
【貿易】NON COMMERCIAL VALUE(ノンコマ)の意味と使い方とは|無償品やサンプル他、4つの事例|まとめ

ここまでの内容をまとめておきます。
まれに「無為替(むかわせ)」と呼ぶ人もいる NCV。古くは同じ意味だった、そうで……。(確認できず)
さて、NO COMMERCIAL VALUE(あるいは NON COMMERCIAL VALUE)と書くとき、多くの場合、「VALUES FOR CUSTOMS PURPOSE ONLY(通関手続き用の金額です)」という文言を添えます。
(最初の VALUES FOR が略されていることもままあります)
この CUSTOMS PURPOSE ONLY も「無償品、代金決済を伴う取引ではない」ことを示しています。
ちなみに、DHL や FEDEX などクーリエで送る場合も基本的には同じです。
小さなサンプルや縮小した模型などを送るなら、実際、クーリエの出番でしょう。
参考書や貿易実務関連の本には「サンプルを無償で送る場合」についての言及が大抵、ありますし、無ければ DHL やフェデックスのお客様窓口に確認してください。
小口の貨物については経験が豊富ですから、詳しく教えてもらえます。
インボイスの金額をいくらにするのか、についても同様です。
売買契約によらない貨物のインボイス価格は「関税定率法 第四条」あたりに書かれているのはいます。
しかし、個別の事情まで文言だけで判断するのは難しいケースもあります。
個々の会社で事情が違いますからね。
社内の過去の事例からわからなければ、通関業者、特に担当の通関士の方の経験に頼ってみましょう。



とは?|ドレージとも呼ぶ貿易用語の意味と使い方-120x68.jpg)