こんにちは。
とあるメーカーで貿易実務、海外営業に関わって20年超の神高(かんだか)です。
「税関」は英語で「customs」~では「通関」は何というか、調べていますか?
貿易実務の世界は、英語と関係が深いとはいえ、少し特殊な用語(略語や英単語)を使います。
タイトルにある「通関は英語で何というでしょう?」の答えですが……。
ちょっとだけ、考えてみてください。
「税関」は英語で「customs」~では「通関」は何?
正解は、「 customs clearance (カスタムズ クリアランス)」でした。
注: customs と複数形であることに注意してください。
さて、この「 custom 」ですが、一般的な文面の中で単数形であれば、「慣習、習慣、しきたり」などを指します。
Ah, it is a local custom of this area. (ああ、この地域の習慣なのですね) といった具合。
(可算名詞(数えられる英単語)なので、a custom か customs のどちらかです)
ところで、この「慣習」と「税関」の語源が一緒、って知ってましたか?
白状すると、ぼくもたまたま、知ったところなんですけど(笑)。
ちなみに、「通関(つうかん)」は「税関から輸出許可、輸入許可を得るまでの手続き」を指します。
「税関」と「関所」は、根が同じらしいんですよね。
「関税」の本来の意味は「関所の通行税」
時代劇などを見ていると、時々、出てきます。
昔は、主要な道に「関所(せきしょ)」、つまり「ゲート」が設けられ、そこを通るたびにお金を徴収していました。
セキュリティ(保安)の意味もありますし、その土地の副収入にもなります。
さて、その「関所」ですが、常時、通行料金の徴収をしていなければ機能しません。
特にタリフ(価格表)やルールもなく、気まぐれで通行料を徴収すれば、通行者の理解を得られないからです。
つまり、「慣習として」関税を徴収していたので、意味が転じて「 customs 」=「税関」となったのです。
「通行税」+「関所」≒「通行税を取る関所」≒「税関」と理解しておけば、イメージしやすいですね。
この英語の「custom (慣習)」は、「 customer (顧客) 」、「costume (あるカテゴリー特有の服装)」といった言葉たちとも、ルーツは同じだそうです。
勝手な想像ですが、越境していた人の多くは商人(ビジネスマン)だったのではないでしょうか。
用事もないのに越境するのは、今も昔もお上に怪しまれます。
「通関」の「カスタムクリアランス」は日本語化している
貿易実務に日々、従事していると、この「カスタム・クリアランス」というカタカナ用語はすっかり日本語化していることに気づきます。
乙仲業者や保税倉庫とのやりとりの中で、「カスタムクリアランス」という単語が出てくれば、輸入通関、輸出通関のいずれかを指しています。
それだけ、「クリアランス」という言葉の響きが、日本人の頭に残りやすい、とも言えます。
「終わったー」というニュアンスをつかみやすいのでしょうね。
ちなみに、「カスタムズ クリアランス」と複数形を強調すると、「面倒くさいヤツめ」と思われるので、そんなややこしいことはやめましょう。
税関にある大きな犬の人形は「カスタム君」|空港に飾ってあることも
「さんまのまんま」に出てきそうな、黄色い犬型のキャラクターを空港などでご覧になったことがあるでしょうか?
彼の名前は「カスタム君」(くん、だから、オスですよね?)
当然ながら、税関をあらわす「 customs 」に由来します。
彼は時々、税関のイベントに出演し、税関の啓もう活動に従事しています。
密輸はだめ、偽物の輸入も NG。当たり前ですが、そんな事実を PR するのが仕事。
実は、彼、ツイッターもやっていまして、語尾では「~だワン」とつぶやくことがわかっています。
興味のある方はフォローしてください。(ぼくも、フォロー中です)
長崎税関八代税関支署熊本出張所は、6/22(土)、熊本市上通り、下通り及びサンロード新市街アーケードにおいて、熊本県主催の「ダメ。ゼッタイ。」ヤング街頭キャンペーンに参加して、市民の皆さんに薬物乱用の撲滅を呼び掛けたワン!来てくれてありがとう♪#カスタム君 pic.twitter.com/lY26LaMsV5
— カスタム君 (@Custom_kun) 2019年7月2日
まとめ:「通関士」は英語で……|通関、税関とはちょっと違って
いかがでしたでしょうか。
貿易の仕事に関わってきたこともあり、なじみのある「税関」「関税」の英語表現について、あらためて一緒に考えてきました。
ちなみに、「通関士」の英語表現ですが、これはいつも迷います。
「日本側フォワーダーの通関士が言うには……」と英語で書きたい時にどう書くか。
Wikipedia では 「 Registered Customs Specialist 」となっていますが、国によっては制度自体があったりなかったりなので、通じない可能性もあります。
ただ、一つわかっているのは、カナダには「登録通関士」に相当する「Certified Custom Specialist 」という資格があるということ。
あの(というか、リクルート社が日本に連れてきた転職サイト)「 indeed 」で検索してみると……
こんな感じでカナダの求人情報が検索にかかります。
いくつかの仕事で、「 Certified Customs Specialist (CCS) preferred (望ましい)」とありますね。
何か手に職を付けて、海外でもフルタイムで働いてみたい、なんて夢を持っているのであれば、こういう職種を狙ってみるのも面白いかも知れません。
最後に。
もし、貿易実務に関する仕事に就いて日が浅い、あるいはこれから関わるなら、この記事だけでも読んで帰ってください。
悪いことは言いませんので。