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【貿易】航空便を用いた三国間貿易 船便では意識しない注意点とは?

貿易実務・事務処理

三国間貿易の中でも、空輸を用いるケースは注意が必要だ。

これは、船便の三国間貿易に慣れている人も同様だ。いや、むしろ勘違いしやすいとも言える。

前置きはこれくらいにして、今回はすぐに本題に移ろう。

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空輸の三国間貿易は、貨物に船積み書類が付いていく

三国間貿易の解説記事で、売主から販売店に売却する価格を買主(エンドユーザー)に知られてはいけません、と説明した。

ただ、航空貨物にはそれを誘発してしまう落とし穴がある。

それは、「特別に運送業者に指示をしなければ、貨物と船積書類一式(Air Waybill、インボイスなど)が貨物と一緒に運ばれる」という点だ。

これは、非常に重要なポイントだ。

というのも、特に指示しなければ、本来は販売店向けに用意した、販売店との仕切り価格を記載したインボイスが荷受人の手に渡ってしまうことを意味するからだ。

したがい、三国間貿易の際には、乙仲業者、航空会社に「Air Waybill 以外の船積み書類は輸出通関に使った後、いったん我々に返してください。貨物に添付してはいけません」と明確に指示することが大切だ。

なお、先ほど、荷受人は、必ずしもAir Waibill 原本を所持している必要はない、と説明した。

原本は貨物と一緒に運ばれるのだから、当然といえば当然だ。

荷受人 ( Consignee )欄に名前がある人、団体に貨物を受け取る権利がある。

早いが一番 実はたくさんある空輸が活きる商品やサービス

コストよりも鮮度やその他の商売上の理由から、日常的に航空貨物を使って輸送する業界もある。

高級な果物、ワイン、その他高付加価値の食材を空輸するケースなど。

ただ、機械メーカー、家電、素材などを扱う商社などで働く方は、そのコストの高さ故に、あまり航空貨物を扱う機会は多くないだろう。

しかし、メーカーや商社に勤務していると、航空貨物を使わなければならない場面は突然、やってくる。

そして、おそらくそれほどハッピーな状況ではない。

原則を理解し、仮定した条件で見積もりを取っておくなど、いざという時に備えておきたい。

ここで一つ、船便との違い、実務に役立つ商慣習の知識をお伝えしておこう。

航空輸送と海上輸送では、一般的に、インボイスやパッキングリストに記載する寸法、重量の単位が異なり、寸法に関しては、海上輸送はm(メートル)とt(トン)を用いる。

また、重量は航空貨物の場合はkg(キログラム)とcm(センチメートル)を用いる。

航空貨物であっても、mやtで荷姿を記載したパッキングリストも使える。

しかし、運送業者の担当者を混乱を避けるため、慣例に従った単位で記載する方が無難だろう。

AWB が船荷証券( Bill of Lading = B/L )の代わりに

航空貨物に対しては、海上輸送貨物でおなじみの 船荷証券 = Bill of Lading = B/L が発行されない。

代わりに、Air Waybill = エアーウェイビル(ウェイビルとも呼ばれる)が航空会社(あるいはフォワーダー=混載業者)から発行される。形式はほぼ船荷証券と同一で、Shipper、Consignee、Notify Party などを荷主の希望通りに記載してもらえる。

ただ、船荷証券と異なり、ウェイビルには権利証券の機能が初めから無いため、裏書譲渡したり、銀行に担保として差し入れることはできない。(契約書内で取り決めをして、ウェイビルを売買したりするのは当事者の自由だが、機能、定義としては無い、という意味)

先ほど申し上げたように、荷主は1分1秒でも早く荷受人に貨物を引き取ってもらうために高い費用を払ってまで、航空輸送を使う。したがい、譲渡や裏書など、悠長なことをする時間は多くの場合、ない。

そのような事情から、航空貨物は荷受人はウェイビルの原本なしで貨物を引き取れる。

Consignee欄に書かれた人物、団体であることを証明すればよい。

また、ウェイビルはそのような性質の書類なので、原則として、信用状( = L/C )取引には使わない。が、原則があれば例外もあるのが世の中の常。

航空便を用いた信用状取引も実際は行われており、私自身も経験したことがある。

船便との最大の違い~航空便はやっぱり高い

航空便を選択する時、最も躊躇する理由はやはり、そのコストの高さだ。

私は、運賃について、こちらのサイトを使って、時々、金額や距離のイメージを得るようにしている。

ここのデータは、地域や荷物の種類によって、肌感覚と少し差がある。しかし、日常的に船会社から見積を取っている数字への印象と、それほど大きな差はないようにも思う。少なくとも、倍も違う、ということはなさそうだ。

例えば、日曜ビッグバラエティでは、「アドニス号はコンテナ1本を約30万円で運ぶ」と紹介されていたと記憶している。確かに、日本から欧州までコンテナを運ぶと、荷役諸々でその程度はかかる。

しかし、これは別の記事でも触れているように20フィートコンテナ(約2mx2mx6m)、重量にして最大30トン(コンテナのサイズや仕様、陸送の制限などで異なります)の運賃がその程度だ。

京間7畳のワンルームマンションに最大約30トンの荷物を詰め込んで、それを丸ごとヨーロッパまで運ぶ運賃、と考えれば、逆に「その程度で運べるのか!?、純粋な海上運賃だけだと意外と安いな」という感覚を一般の方は持たれるのではないだろうか。

一方、航空運賃はどうか。

海上輸送と異なり、同じA地点からB地点に運ぶにしても、便数とキャパシティ(運べる重量や容積)がそもそも船便よりも小さいので、多分に「時価」の要素が強くなる。また、2mx2mx6m、30トンもある貨物は航空機の貨物室に入らないため、そのような量をまとめて運んではくれない。

こちらは航空輸送のサイズ制限の一例だ。

さすがに大手企業だけあり、綺麗にまとめていただいている。

先ほどの運賃試算サイトで、1m x 1m x 1m、250キロの貨物を日本(大阪)から英国(ヒースロー)まで空輸したケースを見積してみる。すると、概ね20フィートコンテナ1本( FCL ) を海上輸送するのと同じ程度の金額が出てくる。

ケースバイケースながら、その程度の運賃はあり得るだろう。

航空貨物の運賃は感覚をつかみにくいので、ぼくは時々、旅客機との比較で考えるようにしている。

あくまでイメージだが、パレット一つ運ぶのに、LCCではない航空会社で大人が一人~三人旅行(往復)する程度の金額はかかる、という感覚を持っている。

もし、最初の運賃の見積がそれより高いようであれば、時間的な制約がある中での荷役手配になるとしても、相見積(あいみつもり、2社以上の金額を比較すること)をした方が良いだろう。

直送とトランシップ(積み替え)の両ケースで比較検討していけば、ほとんど到着日が変わらない、安価なサービスを見つけられる可能性もある。

まとめ:航空便が必要な時、大抵、残された時間も少ない

いかがだろうか。

メーカーや商社で貿易実務に関わっていると、船便だけでなく、航空便による輸送が必要となる場面がある。

しかし、正直なところ、ぼくのような海上輸送を主な仕事としている担当者にとって、空輸は海上輸送ほどには詳しくない。

航空輸送 (air-freight=エアーフレートとも呼ぶ)で最もありそうなのは、納期順守の問題。

早く客先に届けないと契約不履行(契約書内の約束を破ること)になってしまう、といったケースはやむを得ず、航空便を使うこともある。

また、非常に少量の貨物、書類やカタログなども航空便を使う。船便にしたところで、運賃にほとんど差がないだけでなく、貨物が小さすぎ、海上輸送ではむしろ紛失のリスクが増す場合もある。

どちらかの貿易に慣れてしまうと、時間の感覚が違うので、意識を変えていく必要がある。

さもないと、思わぬミスや勘違いにつながってしまう。

もちろん、ぼくも同じだ。あらためて整理して、その思いを強くした。

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