こんにちは。
とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。
このブログ記事では、平成23年(2011年)の第45回通関士試験に合格するまでの経験についてお話します。
通学や通信教育を選ぶ金銭的余裕がなかったため、独学を続け、何とか4年で目標達成しました。
それなりに苦労しました。
ぼくの体験談を他山の石にしていただければ幸いです。
【通関士試験】4年間の経験と(不)合格体験記|ブログでの告白
2010年、通関士試験に3年目連続して不合格した時は、さすがに落ち込みました。
しかし、3年目は明らかに2年目までよりは手ごたえを得ていました。
1科目目の「通関業法」、2科目目の「関税法」は新しい参考書と自分の相性が良かったのか、あるいは3年目で専門用語に頭が慣れてきたのか、大きく合格ラインを上回っていたからです。
ああ、最後の「通関実務」が免除になる人がうらやましい!、と思いながらも、これで3科目の「通関実務」に集中する準備が整いました。
3科目目の「通関実務」で合格ラインを超えるには「スピード」と「正確性」の両方が必要です。
しかし、自宅ではいろいろな誘惑や息子の乱入などもあり、なかなか集中して練習できる環境にはありませんでした。
そこで、公開会場で「日本関税協会」と大手資格学校「 TAC 」の模擬試験を受け続けました。
独学や通信教育は、低コストが大きなメリットである一方で、アウトプットの機会が少ないのが難点です。
自宅で時間を測りながら模試をこなす、というのは相当な精神力が必要になります。
TOEIC の受験勉強を自宅でされた方なら、おわかりいただけますよね?
TOEIC の2時間、あるいはそのなかの Reading Part の75分でさえ、自宅ではなかなかやる気を保ちながら、試験本番を再現できるものではありません。
しかも、通関士試験はほぼ丸一日かけて、3科目をこなします。
一番難しい三科目の通関実務は、午後に100分間が割かれます。
お昼ご飯を食べた後、疲れで眠気に襲われる時間帯に限って、なんですよね。
独学ではてごわい通関士試験、最大の理由は3科目目の通関実務
通関士は貿易に関する唯一の国家資格です。
ただ、この試験、基本的には法律や条約に関する知識のほか、複雑な計算や分類をきわめて短い時間で行う科目も含まれています。
今一度、試験科目をみておきましょう。
② 関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法
③ 通関書類の作成要領その他通関手続の実務
これらの中で、ダントツに難しいのが③の通称「通関実務」です。
相当訓練しないと100分間で解ける量と難易度ではなく、互いにリンクして1問でも間違えると芋づる式に5問全滅、といった種類の設問まであります。
1年目から2年目は、「独学では合格は難しいのか」と思いながらも、特に策もなく、市販の参考書を用いた独学を続けていました。
ただ、3年目は状況が変わりました。
ぼく自身、独学でうまくハマった市販の参考書を一つ、ご紹介しておきます。
3年目に出会った市販の書籍で好転した独学の道|通関士 完全攻略ガイド
2回目の受験を終えてあまり手ごたえが得られず、どこかに通学するか、あるいは通信教育を取るか、と悩んでいたところ、書店で赤い表紙の通関士の参考書を発見しました。
「通関士完全攻略ガイド」という辞書ほど厚い本です。
輸出入の基本的なことから始まり、通関業、関税法から関税定率法、通関実務まで1冊の参考書に網羅されている辞書のような外見をしています。
これに賭けてみよう、3000円少々の出費にはなるけども、これで独学を続けよう、と決めました。
結局、この参考書との相性が良く、3年目に合格ラインが見えるまでに成長できたわけです
ようやく、通関士試験の合格体験記|初受験から4年目
ここからが合格体験記……、いや、3回の不合格体験記+1回の合格体験記となります。
通関士試験は、岡山のような地方都市では開催されません。
そこでぼくは、4年とも広島を試験場所に選びました。
(岡山からであれば、神戸も選べます)
当時、試験会場は広島経済大学でした。
イオンモール広島祇園の近く、小高い山を登ったところにあります。
当日朝、試験会場に遅れるわけにはいかないため、毎回、広島駅近くの東横インに前のりし、ホテル近くでビールとお好み焼きをエンジョイした後、翌日の試験に備えて早めに寝ていました。
試験当日朝は、広島駅からJR可部線に乗り、下祗園駅に向かうルートです。
岡山で言えば岡山理科大学のような、少し高い場所にキャンパスがあるため、駅から会場までは朝の良い運動になりました。
10月初旬、試験じゃなければ、散歩に最高の季節です。
毎回、日曜日にも関わらず、登校している学生さんがいるのか、大学生協のコンビニは営業していました。
ありがたい。
毎回、そう感じていました。
というのも、昼食後、そこでチョコレートを買い、かじりながら「通関実務」に向けての最後の復習ができたからです。
まともに食べると眠くなる時間帯なので、少し空腹気味で最後の科目に臨んでいました。
少し美化された記憶が懐かしくもあり、もっと早く合格できたのに、との後悔もありつつ。
日曜日の試験は、試験後、ぐったりと疲れます。
次の日、仕事ですからね。
帰り道、冷静になって、月曜日の仕事も気になってきます。
毎回、新幹線から夕陽を見たっけ。
ああ、4年も苦しむくらいなら、スクール、あるいは通信教育が良かったのかな、と今でも思ったりもします。
何より、家族に申し訳なかったな、と。
年齢、家庭環境、家族の理解、そういったことを総合し、勇気を持って取り組めば、3年、あるいは2年で合格できたかも知れません。
あらためて、これだけの時間、特に週末の勉強時間を許してくれた息子と家内に感謝、感謝です。
3年目、4年目はかなり減ったとはいえ、振り返ってみれば、1000時間近くを通関士試験の勉強に投入してきたはずです。
合格までの目安とされる350時間なんて、ぼくにはとても無理でした。
- 学習時間の目安:通関士試験の勉強時間、「目安は350時間」なんて信じないで!
独学か、通学か、あるいは通信か|学習方法に迷っているなら……
もしあなたが「あと1科目、3科目目さえ何とかなれば、合格なんだ」というレベルなら、十分、あとは独学でもゴールを狙えると思います。
是非、あきらめずに学習を継続してください。
具体的には、日本関税協会の模擬試験などで最新の傾向をアップデートしていきましょう。
それだけでも、十分に戦えます。
一方、そのレベルに届かない場合。
それでも独学を継続するなら、ネット上にあるいろいろな勉強会に参加してみると、モチベーション(学習意欲)を維持できるでしょう。
Twitter を眺めていると、みなさん、工夫され、学習を継続されていることがわかります。
一例として、こちらのサイトを紹介しておきます。
年に1回しかない試験なので、仮に通信教育や通学を選んでも、仲間がいると心強いです。
通関士試験の難易度は年によって大きく違います|だから、あきらめないで!
今回の内容をまとめておきます。
今後の学習法に迷っている人からアドバイスを求められたら、こう伝えています。
- 合格圏に近いなら、市販のテキストと模試で独学を継続しましょう。
- 合格圏まで遠いなら、1年だけ通信教育を戦略的に取りましょう。
先ほども触れた通り、「通関業法」「関税法」で苦戦している段階なら、まだまだ先は長いです。
それだけの距離が残っているならスクールに頼るのは十分に戦略的です。
伸びしろが大きいだけに、投資に見合うリターン(大幅な得点力アップ)が期待できます。
ですから、多少の投資をする価値はあります。
一方、「あとは通関実務だけ」という人は、あらためてスクールや通信教育に頼る必要はありません。
模擬試験(特に、日本関税協会と TAC の公開模試)と過去問の研究をひたすら続けるだけです。
3科目目の「通関実務」は年によって難易度や合格ライン、つまり合格率に大きな波があります。
試験会場にいる100人のうち、10人未満しか合格しない年もあれば、25人以上合格する年もあります。
試験の難易度は毎年変わります。
だから、運不運は、間違いなくあります。
問題は3科目目(通関実務)だけ、という段階に到達したなら、あきらめずにチャレンジを続けましょう。
きっと、合格できます。
もし、今の経験値を持ったまま通関士試験にチャレンジするなら、採るであろう戦略について記事にしています。
どのような学び方があるのか、最初の最初で迷っている方には、こちらの記事がおすすめです。
通関士試験の対策をしているスクールは大都市を除くと少ないので、通信教育で学ぶ方も大勢おられます。
記憶に残りやすい「動画で学べる7つの通信講座」をまとめています。