こんにちは。
とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。
貿易実務の中で、HS CODE について客先から質問されること、ありませんか?
「 HS コード」とは、「商品の名称及び分類についての統一システム( Harmonized Commodity Description and Coding System )に関する国際条約( HS 条約)」に基づいて割り振られたコード番号のことです。
ぼくの場合、「メーカー」なので普段は同じ種類の貨物ばかりを輸出で扱っているので、新しいHSコードに触れる機会は多くありません。
ただ、貿易実務に従事していると、客先(輸出先)やサプライヤー(輸入元)から、「 HS code 」(エイチエスコード、とそのまま読みます)を教えて欲しい、と電子メールや電話で依頼されることもあります。
各国の税関とも、輸入の時は見る目が厳しいですから、普段は扱っていない貨物について、事前に HS CODE を確認する必要があるケースなのでしょう。
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これは、身内からの問い合わせの事例ですけど……。
つい先日も、通常は扱わない携帯電話用の部品らしきもの(希土類磁石を使っているモーター(?)か何か)を輸入するとのこと。
若い同僚が一人で HSコードを調べて「これで合ってますか」と相談してきました。
業界が長いので、ぼくもある程度詳しいつもりです。
ただ、本人の勉強にもなるので、「分類にはいろいろな要素があるから、即答は難しい。初めての貨物は、乙仲(フォワーダー)の通関士に相談すると教えてくれるよ」と助言しました。
HS コードがわからない時の対処法は、貿易実務に従事する立場なら「知っておいて損はない知識」なので、一緒に確認しておきましょう。
【貿易】HS CODEがわからない時の対処法|関税率表の使い方
HS 条約は世界税関機構(WCO)という団体が管理しており、2018年7月の時点で、182カ国と地域がメンバーとなっています。
批准していない地域でも使われているとのことなので、実質的に世界共通の貿易貨物の管理番号(コンビニの POS などでいう商品コードのようなもの)と考えて良いでしょう。
HS CODE は実行関税率表を参照すればわかるようになっています。
HSコードは、日本では「輸出入統計品目番号」(「関税番号」や「税番」と呼ぶ人もいるようだ)などと呼ばれる表のもとにもなっています。
通関士の勉強を少しした人であればおわかりいただけるでしょう。
HSコードは、あらゆる貿易対象品目を21の「部」に大分類していて、6桁の数字で表されます。
6桁のうち、上2桁を「類」、「類」を含む上4桁を「項」、「項」を含む上6桁を「号」と呼びます。
(通関士の試験問題では、「項の規定、部・類の注の規定」などといった使い方をします)
ただ、普通の貿易実務従事者は、ここまで覚える必要はありません。
とりあえず、6桁で表される仕組みがある、ということを知っておくだけで十分です。
次に、検索方法を説明しましょう。
時々見直しされる輸出統計品目番号/輸入統計品目番号
HS CODE 自体、数年おきに見直されるので、日本の統計品目番号も見直しされることになります。
「スマホ」や「遺伝子組み換え作物」など、新しいコンセプトの製品、商品が世の中に出てくるので、当然の対応です。
税関を管轄する財務省のホームページには、一覧とともに改訂の履歴も公表されています。
たとえば、輸出統計であれば、こちらです。
お気づきでしょうか。
これらの表の数字、実は6桁ではなく9桁あります。
たとえば、スマホが属する可能性の高い第85類から見てみましょう。
輸入の分類表から。
先ほどの「携帯電話」は、ここにあります。
携帯電話の部品であれば、まずはこちらが候補になります。
(注:税関への輸出入申告時は、貨物の実態に合わせる必要があるので、一概にはいえません)
日本の場合、条約に基づく「号(6桁)」の下の桁、ここでは「000」とされている第7、8、9桁目を輸出入統計分類に使っています。
また、NACCS(ナックスと発音)という「輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社」が運営する、「税関その他の関係行政機関に対する手続及び関連する民間業務をオンラインで処理するシステム」(という長い名前のオンラインシステム)を使う時は10桁目もチェックデジット(昔、チェックサムと呼ばれていたバカヨケのための数字、のようなもの)として使用します。
この分類の判断は、全く同じ商品が続くなら基本的に問題ないものの、それでも貨物によっては「中古」と「新品」で分類が変わったり、衣服であれば「ボタンの取り付け方」でも分かれたりします。
それなりに専門的なので、迷うようなら乙仲業者の通関士に確認するのが正解です。
輸入関税を算定する時に重要となる HS コードの決定
「輸入」では、「輸入消費税」のほかに「関税」がかかるケースがあります。
そして、先ほどの輸入の表にも書かれています。
輸入者(荷主)の依頼に基づいて、乙仲業者(自社通関なら物流部門)が輸入申告書を NACCS にインプットしてくれますよね。
その関税額は関税率表、つまり、HS コードにより規定されています。
だから、最初にお話ししたように、外国の客先(輸入者側)から HS CODE を聞かれることがあるのです。
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ちなみに、L/C の場合は HS CODE を INVOICE など船積書類に記入することを要求するケースもあります。
これも、HS CODE が世界共通だからできること。
先人のご尽力により、我々は容易に貿易を行える時代に生きています。
新規のHS コードは乙仲の通関士と相談|まとめ
今回の内容をまとめておきましょう。
先ほども説明した通り、ある品目がどの HS コードに属すかの判断は通関士の仕事で、一定の専門知識が必要です。
少しだけ、通関士試験について触れておきましょうか。
通関士の試験問題に出る分類は、実はわかりやすい部類に属します。
正解にたどり着ける注や条件が必ず試験問題の中にあることが明らかだからです。
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たまに、基本通達がらみでスクールの模範解答が割れたりもしますけれど……。とにかく、通関士試験は「3科目目」が難しい。
とはいえ、世の中は試験問題よりも、ときに複雑です。
新しい種類の貨物を輸入、輸出する場合には、図面を取り寄せたり、カタログの説明を抜粋したりして、税関に説明することもあります。
輸出者の船積書類に書かれた HS コードを信用すると、後で訂正など求められたりで、逆に手間がかかるケースも起こり得ます。
まあ、そのあたりは経験豊富な通関業者であれば、船積書類が揃った時点で、事前に荷主に連絡してくれますから、 過度な心配をする必要もないのですけれどね。
また、同じ種類の貨物を扱う荷主なら、そんな面倒なことを日常的に行っているわけではありません。
とはいえ、ですよ。
納期が非常に厳しく、1日を争うほどの短期間で輸入通関を終えたい場合には、事前に荷主の方から乙仲業者にコンタクトし、通関士と相談しておくと、より安心です。
通関業者は必要に応じて税関と事前に協議してくれますし、図面や素材、原料に関する資料など、分類の参考となる情報を「一緒に」整理して、税関に説明してくれます。
その準備の打ち合わせや電話等でのやりとりにおいて、今回の記事で扱った程度の知識があれば、スムーズに話が進みます。
だから「知っておいて損はない」知識なのです。






