【貿易】他所蔵置許可申請と許可の条件|御社の重量物で使えるかも?

エルベ川とハンブルグ港貿易実務・事務処理

こんにちは。

とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。

「他所蔵置(読み方:たしょぞうち)」という貿易用語を聞かれたことがあるでしょうか?

これは「許可」が必要なルールなので、当然ながら、税関から許しを得られる「条件」があります。

重量貨物や非常に量の多い貨物を不定期でも扱う場合には、活用できる可能性があります。

 

神高
神高

コンテナがメインだと、あまりなじみがないかも、ですね。

巨大重量物の扱いが、そもそも少ないですから。

安全、貨物の保護などの点で、「他所蔵置許可(たしょぞうちきょか)」はメリットがあります。

思い当たるメーカー、商社にお勤めの方は、一度検討されてはいかがですか。

【貿易】他所蔵置許可申請と許可の条件|御社の重量物で使えるかも?

コンテナ船とタグボート

メインの「関税法」ではなく、実運用の目安を定めている「関税法基本通達」の中に、「他所蔵置」の「許可」についての記述があります。

ここで、「他所」というのは、本来は「保税地域と定められた地域ではない場所」を指しています。

また、「蔵置」は「保税地に貨物を置くこと」を意味しています。

つまり、「他所蔵置」は「保税地ではない場所」に特別に「貨物を置くこと」の許可を得て、輸出申告、輸入申告を行うことを指します。

「税関長が保税地域以外の場所に置くことが真にやむを得ないと認めた貨物」との記載があることからもおわかりでしょう。

この「真に」というのは、「保税地にどうして置けないのか、真剣に考えて、やむを得ない、という結論に達した上でないと、税関としては許可しない」と考えれば、申請内容を具体的にイメージしやすいでしょう。

他所蔵置申請が認められる6つのケースが基本通達に明記されています

基本通達では、「税関長の許可を受けて保税地域以外の場所に置くことができる外国貨物」について、以下の説明があります。

  1. 巨大重量物であつて、保税地域にこれを置く設備がないもの
  2. 大量貨物であつて、保税地域に置くことが困難なもの
  3. 保税地域との交通が著しく不便な地域において陸揚げ(取卸し)し、又
    は積み込まれる貨物
  4. 腐敗変質し、又は他の貨物を汚損するおそれがある貨物
  5. 貴重品、危険物又は生鮮食料品のような蔵置保管に特殊な施設又は管理
    を要する貨物であつて、それらの蔵置保管に適した保税地域がないもの
  6. その他貨物の性格、保税地域の設置状況等から、税関長が保税地域以外
    の場所に置くことが真にやむを得ないと認めた貨物

1と2は、CY(コンテナヤード)などの指定蔵置場(バース、船が停泊する場所に隣接するエリア)の能力(収容できるサイズや重量)によって認められるケースがあります。

港湾設備が損傷したり、他の貨物の荷役に支障が出たりするようではいけないからです。

3、4、5は、貨物特有の事情が考慮されています。価値が著しく下がるようなケースにまで蔵置を求めるのは酷(こく)、と判断するケースが想定されます。

6は、一応、但し書きとして用意していますが、「やむを得ない」ということを逆に読めば「基本的には許可しない可能性が高いから、そのつもりで」という意味合いでしょう。

もし「他所蔵置許可」を繰り返し申請するなら、保税蔵置場を設置しましょう

いずれの場合も、もし「他所蔵置許可」を繰り返し申請するのであれば、それは事業として必要な措置なので、社内に保税蔵置場を設置することをおすすめします。

多少の勉強や準備は必要ながら、保税蔵置場の申請はそれほど難しい事務手続きではありません。

また、乙仲業者に相談しても良いでしょう。

他所蔵置の許可申請を繰り返すのは、乙仲業者にとっても相当な負担なので、協力してもらえるはずです。

なお、社内に「保税蔵置場」を持つために、特に「通関士」を置く必要はありません。

貨物の搬入、搬出をきちんと管理できる仕組みと体制があれば設置できます。

貨物の管理はメーカーや商社であれば日常的に行っていることでもあり、対応は可能です。

保税蔵置場の許可申請の流れは、こちらに記載があります。

 

神高
神高

さすがに JETRO(ジェトロ) のサイト、きれいにまとめていただいています

ちなみに、許可申請は法人の名義で行えるので、個人名を使う必要はありません。

つまり、業務として行えます。

ブレイクバルク( Break Bulk Cargo )とコンテナ船輸送

ロッテルダムのフィーダーコンテナ船

他所蔵置と関係するので、コンテナ船のブレイクバルクカーゴ( Break Bulk Cargo )についても説明しておきましょう。

通常、コンテナ船は約2mx2mx6m( 40フィートは約12m )のサイズの制限の中で輸送方法を考えています。

その制限よりも背の高い貨物には、ハイキューブ、オープントップコンテナの適用を検討することになります。

更に、幅x長手方向まで制限を超える貨物には、フラットラックコンテナも検討します。

 

神高
神高

この種の貨物をオーバーワイドと呼ぶこともあります

 

しかし、これらはあくまでもコンテナサイズを前提に考えています。

たとえば、8mx8mx4m、50t などという貨物は、重量、サイズともコンテナで扱えるサイズを大きく超えるので、通常は在来船(貨物船)を検討せざるを得ません。

しかし、コンテナ船を運航する船会社の中には、ブレイクバルクカーゴ( Break Bulk Cargo )の受け入れをしてくれるところがあります。

この「ブレイクバルク」は、フラットラックコンテナをあらかじめ船内に数枚敷いておき、その上に重量貨物を置く、という輸送形態を指します。

20フィート、40フィートコンテナのスペース(上層部含めて)をその重量貨物に充てることを意味するので、通常のコンテナ数個分の運賃が必要になります。

また、航路によっては、検討対象になりません。

たとえば、神戸港から高雄港(かおしゅん、台湾の港)に直接向かう船であれば、神戸積~高雄揚予定のブレイクバルクカーゴも、比較的、取り扱いしやすいでしょう。

しかし、神戸港を出て、釜山や上海、基隆(キールン、台湾の北の港)に寄る船であれば、船側から断られる可能性が高いのです。

というのも、そのような重量貨物を積んでいては、途中の港のコンテナ荷役ができないからです。

コンテナ船の中(船倉<せんそう>とも)には、コンテナを固定するセルガイド、という鉄の枠が縦横に張られています。

これらの位置関係や強度などを考慮して、重量貨物をどこに積むのかが検討されるのです。

フォワーダー、乙仲業者、船舶代理店、荷役業者(ステベ)と十分な打合せをしましょう

荷主が考える必要はないものの、安全に輸送するために、フォワーダー、乙仲業者、船舶代理店、荷役業者(ステベ)と十分な打合せを行うことをおすすめします。

基本的には、本船クレーン(在来船は、船にクレーンが設置されていることがあります)の有無を除き、在来船での輸送とまったく変わらないからです。

ドライコンテナによる輸送とは、まったく考え方が違います。

さらに、コンテナ船は定期運航にこだわるため、分単位の準備と荷役の実施が必要になることもあります。

同日(同じ日)に入港(にゅうこう)して出港(しゅっこう)して、なんてことは地方の港ならザラです。

コンテナ船は特定の貨物が遅れても待てないので、Cargo Ready(カーゴレディ、貨物の準備)が遅れれば、荷物を積まずに出航してしまいます。

まとめ:保税蔵置場の取得で他所蔵置は回避できる

今回の内容をまとめておきます。

他所蔵置はあくまで例外規定なので、頻繁に行うと乙仲の負担が大きくなります。

ですから、他所蔵置が続くようであれば、保税蔵置場の許可を取得しましょう。

ぼくが経験した限り、それほど難しい申請ではありません。

まずは、倉庫内、工場内のレイアウトから、「保税地」と「それ以外」を区分けしやすい場所を候補に選び、検討されてはどうでしょうか。

判りやすくしたいのであれば、倉庫や工場全体を蔵置場として申請することもできます。

ただし、面積によって税関に支払う月額の許可手数料が異なる上、広すぎれば外国貨物、内国貨物の管理(記帳義務がある)も煩雑になるので、最初は必要な広さで許可を取れば良いでしょう。

社内に保税蔵置場が設置できれば、運賃や荷役費用のコストダウンにつながる可能もあります。

管理人の自己紹介
この記事を書いた人
Tohma Kandaka

神高 十真(かんだか とおま)
1974年9月生まれ
地方企業(メーカー)の海外営業職
貿易実務、英語などを一緒に学ぶビジタブル|busitable の中の人
通関士試験合格(3科目)、英検1級、TOEIC 900点-(計測中)、日商簿記2級、知財技能士2級など

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