こんにちは。
とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。
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新入社員研修の一つとして、自部門の紹介をする機会がありました。
シンプルに言えば「自社の製品を輸出する仕事をしています」という内容なんですけどね。
- 自部門の業務内容
- 構成メンバーの人数、仕事の内訳
- 今年度のテーマや重点事項
- ………
なんて話を新入社員にもわかるようにしたわけです。
そして、自部門紹介の後半、管理職の一人として新人の方に決まって紹介するテーマがあるんですよ。
メーカーだけでなく、商社やその他の業種でも参考にしていただける内容だと思いますから、同じような立場の方、あるいは講義を受ける側の方も参考にしてください。
新入社員研修の部門紹介|おすすめのテーマ3選とカリキュラムの例

(自部門の紹介をした後で……)
さて、長年、海外向けの営業の仕事をしてきた中で、感じるようになってきたテーマがあります。
どんな仕事、職種に就くにせよ、会社員として長く活躍しようと望むなら、以下の3つのテーマに取り組んでおくと良いでしょう。
- 会計、簿記の基礎的な知識
- 外国語、特に英語の習得
- IT、パソコンなどの知識
一つずつで問題ないですし、数年かかっても構いません。
少しずつ、自分で学んでいきましょう。
理由をこれからお伝えします。
会計、簿記の基礎的な知識が必要な理由
会計、簿記の基礎的な知識は、どんな仕事をするにせよ、必要になりますし、役に立ちます。
というのも、会社の仕組みを理解するためには、会計、簿記の基本を知っておくと、かなり役に立つからです。
たとえば、営業部門や調達(資材、購買)部門に配属されたとしましょう。
日々の取引で売掛金(うりかけきん)、買掛金(かいかけきん)、という言葉とともに、実際に何が起きているのか、知っているのと知らないのとでは理解の深さは大違いです。
もちろん、営業の担当者、資材部門のスタッフとして日々の仕事に従事しておれば、なんとなく理解できるようになります。
スタンダードな事務処理も、特に支障なくできるようになるでしょう。
しかし、複式簿記における仕訳(しわけ)の順序、売上とともに売掛金が発生し、代金回収とともに売掛が消えていく様をしっかりイメージするなら、簿記の知識が大変、有効です。
基礎が分かれば、例外の処理が発生しても想像がつきやすくなりますからね。
いまや無料でも日商簿記3級レベルの会計知識を学ぶ方法はありますから、興味があればネットで調べてみましょう。
ちなみに。
先日、とある大手(財閥系)総合商社の新入社員に話を聞く機会があったのですが、彼ら/彼女らは新入社員研修の間に日商簿記3級の取得を必修にされているらしい。
かなりの高学歴、有名大学を卒業している新人であっても、例外なく、どの部署に配属されるかに関係なく、簿記3級に合格することを求められるとのこと。
配属される前の期間を使って簿記や会計の基礎を固める。
大企業だけあって、よく考えられたカリキュラムだな、と感じました。
さて、次は「英語習得のススメ」です。
外国語、特に英語の習得がオススメの理由
外国語、特に英語の習得も新入社員の皆さんにはオススメしたいテーマです。
なぜなら、どの部門の仕事、職種に就こうと、英語を身に付けておくと役立つ場面がたくさんあるからです。
学生時代を思い出してみるに、英語が苦手だから理系に進んだ、工学部や理学部を選んだ、という友人がたくさんいました。
しかし、メーカーに就職してみると、それほど大規模な企業でなくとも、日本国内だけでなく、海外にお客さんを持っていると知って驚くことになるでしょう。
いまや地方の中小企業であっても、海外との取引は珍しくなくなっています。
いわゆるエンジニアの仕事であっても、図面(仕様書)の作成、クレーム対応、プレゼンテーション、出張しての打ち合わせなど、英語を必要とされる場面は本当に増えています。
日本語で仕事ができるのは当然として、シンプルな内容、あるいは過去の繰り返しとなる業務であれば、英語での対応を迫られることもあるのです。
もちろん、外部の法人向けの通訳、翻訳サービスに依頼できますし、社内の英語に強い部門にサポートを頼むこともあるでしょう。
ただ、何もかもコストをかけてまで、訳された英文を準備できることばかりでもないでしょう。
しかも、やり取りする相手がアジアや欧州の住人であれば、我々と同様に「英語を学んで使えるようになった人々」である可能性が高い。
日常的なメールやチャットは英語でできるとスピード感を持って対応できます。
日々の仕事においては、「正確さよりもスピード」という場面はありますからね。
最後に、IT、パソコンなどの知識習得について、お話しましょう。
IT、パソコンなどの知識を深めたい理由
IT、パソコンなどの知識を深めておくことも、会計、英語と同様に重要です。
スマホで仕事ができる、というケースもありますけれど、やっぱり事務所で仕事をするならパソコン(PC)を使うからです。
社外向けの資料作成、会議用の数字の集計、プレゼン資料や電子メールによるコミュニケーションなどは、部署、役職に関係なく、避けて通れないでしょう。
しかも、2020年以降、リモートワーク、テレワークが広がっている状況ですから、パソコンの操作に慣れておくことは必須となります。
Microsoft の Teams(チームズ) や Zoom(ズーム) を使った会議もすっかり一般化しましたからね。
いわゆる中小企業に勤めていると、リモートワークのチャンス(?!)、機会は少ない。
しかし、東京、大阪の大企業は軒並み、テレワークを採用してきています。
大手企業のいわゆる総合職は、リモートワーク導入が既定路線になっている感があります。
となると、取引先の事情に合わせて、オンラインでの打ち合わせに対応していくことになります。
自分の勤め先にオンライン会議システムが導入されないからといって、苦手なままでいると不都合が起こる時代です。
とはいえ、最近のビデオ会議システムはスマホにも対応していますから、自分でいろいろ試していけば慣れますけどね。
新入社員研修の部門紹介|おすすめのテーマ3選とカリキュラムの例|まとめ

ここまでの内容をまとめておきましょう。
日常的に英語を使って仕事をしている立場から、若い人には「仕事で使う英語って、それほど高いレベルじゃないよ」という話をします。
というのも、たいていの場合、話をする相手と「会話の目的」が一致しているからです。
(ここから、会話調で……)
売買(売り買い)が目的なら、相手は安心して買いたい、と考えているし、売る方も売って対価をもらいたい、と望んでいます。
利害は違えど、目指すゴールは同じです。
より具体的な例を考えてみましょうか。
メーカーや商社、あるいはホテルのスタッフとしてお客さまと会話をするとしましょう。
その場合、話題はかなり狭い範囲に限られます。
メーカーであれば、特定の商品、製品の「納期、価格、品質」に関する話題が中心になりますし、商社であれば商権を持つアイテムに関わる話題に終始するでしょう。
就いたことがない仕事だけど、ホテルなどの接客にしても、製造業ほど狭くはないにしても、おそらく発生する状況や頻繁に出てくる質問はパターンがあることでしょう。
だから、「仕事で使える英語を身に付けたい」なら、まずは自分の仕事について詳しくなる、慣れることが必要です。
そして、自分が扱う専門用語や表現について強くなるべきです。
たとえば、産業用のモーターを扱う会社に勤めているなら、armature(アーマチュア)という英単語は憶えておかねばならないものの一つです。
しかし、化学薬品を扱う会社に勤めているなら、完全に無視して構わない。
逆に catalyst(触媒、しょくばい)とか、優先して頭に入れるべき英単語がありますからね。
結局、英語を何から学ぶべきかは「人による」というのが答えです。
だから、何から手を付けて良いかわからなければ、自社、競合他社の英語版カタログを眺めてみることから始めてみましょう。
もし設計部門や品質管理などに配属されるのであれば、図面や取扱説明書の英語版を手に取ってみるのも役に立つでしょう。
自分が勤める会社が属する分野で必要とされる一般的な英単語、英語表現が集約されている「具体的なサンプル」ですからね。
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なーんて話を、立場上していますけれど、日々の仕事が忙しいと、なかなか英語の勉強時間までは取れないでしょう。
まあ、社会人生活は長丁場ですから、学びに時間がかかっても構わないし、ずっと継続しなきゃいけないわけでもない。
英語にしても、あるいは他の興味ある分野の勉強にしても、自分のペースで中断と再開を繰り返すことで、少しずつ前進できます。
ぼく自身、通関士試験に4年目でようやく合格したり、英検1級に40歳を過ぎて挑戦したり、なんて右往左往してきました。
働きながら学ぶ、という気持ちを持てるなら、焦ることはないし、簡単にあきらめる必要もないわけです。
せっかく縁あって一緒に働くことになりました。
みなさんが末長く活躍されることを祈っています。