こんにちは。
とあるメーカーで20年以上、貿易実務を担当している神高(かんだか)です。
勤務先の新入社員から「メールにある an inquiry って、何の『問い合わせ』ですか?」との質問を受けました。
貿易実務や海外営業の世界では、「 inquiry 」は十中八九、「引き合い」つまり「見積(みつもり)提示のお願い」を意味しています。
辞書では最初に「問い合わせ、照会、調査」などと書かれていて混乱しますけれど、メーカーの営業部門、資材・調達部門、その他商社でも、inquiry はたいてい「見積書を送ってね」という意味ですから、すみやかに検討し対応しましょう。
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疑問が生じる、ということはせっかくの学びの機会なので、今回は「 inquiry(インクワイアリー) 」の具体的な使い方もみていきましょう。
【貿易】inquiry(インクワイアリー、引き合い)の意味と使い方とは?
新入社員に cc:(カーボンコピー、写し)が入っていた取引先からの電子メールには、以下のような文面があったそうです。
これは、「昨日、あなたに送った inquiry に返事をしてください」という内容です。
ここで、inquiry は「引き合い」、つまり「見積依頼(みつもりいらい)」を指しています。
昨日、届いたメールを探してみてください。
おそらく、見積を依頼する文面とともに「仕様書(しようしょ)」、つまりどのようなスペックの品物が必要かを説明した書類などが届いていることでしょう。
【貿易】inquiry(インクワイアリー)を受け取ったお礼とともに返信します

inquiry(インクワイアリー)が届く、ということは、営業部門であればビジネスが始まる可能性が生まれます。
ですから、inquiry(インクワイアリー)を受け取ったことにお礼を述べるメールをさっそく返すべきです。
例文としては、以下のような内容になるでしょう。
すぐに返事ができるなら、「 Please refer to the attached quotation. 」といった文章を続ければ、添付した見積書( quotation )のファイルを開いてくれます。
逆に、見積を送るのに明日までかかるのであれば、「 We will submit a quotation tomorrow. 」といったメッセージで引き留めます。
さらに検討の日数がかかるようであれば、問い合わせした先が他の会社やサービスをあたるかも知れませんから、「限定生産なので、製造メーカーへの在庫の問い合わせで時間がかかります。〇〇日、待ってください」といった適当な(多少、話を盛っても良いでしょう)理由をつけて受注活動の継続を狙います。
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ただ、件名に 「 INQUIRY 」とあっても慌てて開いてはいけませんよ。
【貿易】inquiry の SPAM(迷惑メール)には気を付けましょう
営業担当者、顧客からの対応窓口の人は「 inquiry (引き合い)」とか「見積のお願い」といった文言があれば、ついつい開いてしまうものです。
だからでしょうか、そこを突いた SPAM (迷惑メール)が近年、かなり増えているように感じます。
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それから、クラウドサービスを装った迷惑メールが増えましたね
「見積をお願いします。詳細はこちら」という文言とともに問題のあるリンクが紹介されていれば、いつもの流れで開こうとしてしまうかも知れません。
そこが、迷惑メール(スパム)を送る側の狙いなんですよね。
会社でメールを扱っている人は、「 inquiry 」タイプのメールと Office 365 や Dropbox などの体裁を持ったメール(いわゆるクラウドサービス)には気を付けましょう。
まとめ:inquiry (インクワイアリー)ですら、開いてもらえないことがあります
最後に、今回の内容をまとめておきましょう。
もし、あなたが資材や調達など、買い物をする側の担当者であれば、相手がスパム(迷惑メール)と警戒しないような書き方に努めましょう。
そのあたりの考え方は、別の記事にまとめています。
- 詳しくはこちら:貿易実務の電子メール、英文E-mailの構成とサンプルを公開
結局、SPAM をつくる側もだんだん学習してきていて、埋もれるほど届くメールの中から、どうすれば自分のメッセージを開いてくれるのか、行動してくれるのか、を研究しています。
ですから、宛先はできるだけ詳しく書くほうが良いですし、メッセージの中でも特に冒頭の部分に「してほしいこと」を書くようにしましょう。
仕事の E-mail は、返事をもらったり、何かアクションを起こしてもらうのが目的ですからね。
ひと手間かけて、返事が早くなったり、漏れがなくなったりするなら、試してみる価値はあります。
あなたの次のお仕事が、実りあるものでありますように。




