こんにちは。
とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。
先日、販売手数料という意味でコミッショニング( commissioning )という単語を使ってる場面に出くわしました
たしかにコミッション( commission )とコミッショニング( commissioning )は英語で書くと、このような似た表記になっています。
そもそも、もとになる動詞が commit (コミット、結果にコミットする、など)なのですから、ややこしいのは当たり前ですよね。
しかし、コミッショニングとコミッションんでは、機械部品や装置を扱うメーカー(製造業)や専門商社では全然違う意味になります。
ということで、せっかくの機会なので整理しておきましょう。
コミッショニング(commissioning)とコミッション(commission)の違い|意味や使い方とは?

コミッショニングは機械装置プラントなどの据付調整(すえつけちょうせい)、試運転のこと
コミッショニングは機械装置やプラントの据付調整(すえつけちょうせい)や試運転(しうんてん)を指しています。
イメージとしては、ビル、マンション、あるいはイオンモールなど大規模な集合施設、 工場、プラントや船、 そういった建物や地域、大規模な構造物の裏で稼働している水処理や空調、電気、音響など装置の稼働前テストです。
このコミッショニングという用語、コミッションと響きが似ていますが、お金のやりとりや手数料とは基本的に関係ありません。
ただ、ややこしいことに英語で書いた時は同じ単語(動詞ならコミット)を元にしています。
commit という動詞も、「委任する」「委託する」「(犯罪を)おかす」「確約をする」と意味の幅が広い。
本来、ちょっと高度な英単語ですけれど、日々のテレビコマーシャルに「結果にコミットする」が入ってきたので、憶えやすくはなりました。
メーカーや商社などにおいて、特に営業あるいは資材調達の立場でコミッションという単語を使うときは混同しないように気をつけましょう。
コミッション(commission)は販売手数料(sales commission)のこと
一方、コミッション(commission)は、一般的に販売手数料(sales mommission)を指しています。
例えば「100万円の商品を売ったら1%のコミッション(1万円)をA社に支払う」といった使い方をします。
この時、コミッションを受け取るA社の立場が、販売代理店です。
コミッションによるビジネスは、いわゆる成功報酬型となります。
「うちの叔母は保険販売員としてフルコミッション(フルコミ)で働いている」という使い方もされるので、関連させておくとイメージしやすいでしょう。
コミッションという単語は貿易実務、海外営業につきものなので、少しだけ補足しておきます。
販売代理店(agent)とディストリビューター(distributor)について
販売手数料の話が出たので、販売代理店(agent)について少し補足しておきます
先ほど代理店とは販売実績に基づいてコミッションを受け取る成功報酬型のビジネスだと説明しました。
これとよく似た言葉でディストリビューター(販売店)というものがあります。
ディストリビューターは成功報酬ではなく、実際に自分が仕入れて自分のお客様に販売する仲介ビジネスの形態を指しています。
売り切り、買い切りの立場で商品やサービスの流通に関わるスタイルです。
ディストリビューターは、代理店と比べると最初に大きな運転資金が必要という特徴があります。
その代わりに、ある程度、契約で縛られるとしても、価格や販売方法をコントロールできる余地が販売店側も大きくなるはずです。
このあたりは、別の記事でも説明してるので参考にしてください
コミッショニング(commissioning)とコミッション(commission)の違い|まとめ

ここまでの内容をまとめておきましょう
ものすごく似ているのに、ちょっと違うだけで全然違う意味になる、勘違いするということは起こり得ます
前職の頃の話ですが、会議室のホワイトボードにコンサイニー(consignee)と思わしき箇所に「混載人(こんさいにん)」と書かれていたことがあります。
あるいは、CFS(Container Freight Station)と書きたかったのか・・・。
ただ、ぼくが知る限り、混載人(こんさいにん)という言い方はしませんから、おそらく勘違いだったのでしょう。
シンプルな問題だったのでしょうが、CFS と Consignee(コンサイニー、受荷主)をテレコ(あべこべ)にして会話をしたら、アンジャッシュのコントのような「すれ違い」」が生まれそうです。
インターネット全盛で、Google で検索すれば何でも答えが出てくるような感覚があります。
しかし、なかなかこの辺りのニッチな専門用語、ジャーゴン( jargon )、あるいは業界特有の方言まで答えてくれる時代はもう少し先でしょう。
とくに、ネットで流通している言葉以外は、ね。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
お仕事、がんばりましょう。




