「Received B/L(レシーブドB/L、受取船荷証券) と Surrendered B/L (サレンダーB/L)の違いって何ですか?」と職場の後輩に聞かれました。
「何かが違う」というよりも、「全く違うもの」なのに、何故、そんな質問をするのだろう、と不思議だったものの、どうやら Original B/L (オリジナル B/L)ではなく、L/C 決済にも(原則)使えない、というところで似た概念だと思ったようです。
サレンダー B/L については関連記事を参照していただくとして、今回は Received B/L について解説していきましょう。
Received B/LとSurrendered B/Lの違いって何?|全然違う概念です
Received B/L(レシーブド B/L、受取船荷証券)はコンテナ輸送でのみ用いられる B/L (船荷証券)です。
輸出する国にあるコンテナヤード( CY、CFS )で船会社が荷物を受領したことを証明する「船荷証券と同じスタイルの書類」で、本来の船荷証券( B/L )ではありません。
名前に B/L と入ってはいますが、通常のオリジナル B/L とは違い、船積されたかどうかはこの書類だけではわかりません。
ですから、この Received B/L を銀行に提出しても決済の手続きには入りません。
別に発行される Original B/L、あるいは船積証明(On Board Notation)を文字やスタンプで追記した Received B/L を提出してはじめて、銀行は L/C (信用状)決済、D/P、D/A などの処理を進めてくれます。
信用状( L/C )決済と Received B/L の取り扱い
L/C(信用状)の本文には、多くの場合「 ON BOARD BILL OF LADING 」が必要と書かれているはずです。
L/C という仕組みからして、ここに「 RECEIVED B/L 」でも認めます、とは書かれていないことでしょう。
いや、認めているよ、という業界や商品があれば教えてください。勉強になります。
つまり、銀行は「受取船荷証券」の状態では買取や割引には応じません。
そこで、このような受取船荷証券が最初に発効された場合は、新たに ORIGINAL B/L (Bill of Lading)を発行してもらうか、船積日の日付がスタンプされた「 On Board Notation (船積日の注意書き)」を Received B/L 上に記入、スタンプしてもらうことになります。
なお、取引している銀行担当者から聞いた話では、追記のある Received B/L は Original B/L (Shipped B/L(船積船荷証券)とも呼ばれるそうです)として扱う、との取り決めが信用状統一規則( UPC 600 )にあるとのこと。
銀行が日付が船積日に更新された信用状を扱える根拠は、どうやら UPC 600 にあるようです。
大学の卒論として書くなどの事情でもない限り、実務者が UPC 600 をじっくり解釈するのは難しいですよね。必要に応じて、銀行や法務部門担当者と一緒に確認するのが現実的でしょう。
まとめ:Received B/L を使わない港、貨物も多いのでは?
今回の内容を簡単におさらいしておきましょう。
- Received B/LとSurrendered B/Lの違いって何?|全然違う概念です
- 信用状( L/C )決済と Received B/L の取り扱い
- まとめ:Received B/L を使わない港、貨物も多いのでは?
港や貨物によっては、この Received B/L を使わず、ORIGINAL B/L が船積後に出るだけ、というところもまだまだ多いのではないかと思います。
ぼく自身も、普段の取引では船会社から Received B/L が出てくるのは稀です。すぐに積んじゃいますからね。
一定の種類やサイズの貨物を扱うメーカーの貿易実務担当者であれば、それも致し方ありません。
ということで、職場の先輩に聞いてわからなければ、ネットで簡単に調べるか、普段、取引のある乙仲業者(フォワーダー)や銀行の外国為替(外為)部門に確認してみましょう。
社外の人はさまざまなメーカーや商社の貨物を扱っていますから、A 社にとって不慣れな取引形態であっても B 社の事例を当てはめてうまく処理できる、ということもありますのでね。
最後に。
もし、あなたが貿易実務に関わって日が浅いなら、この記事だけでも読んで帰ってください。きっと役にたちます。