こんにちは。
とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。
貿易は書類を介した売買なので、各書類は正確に作成され、かつ、売主と買主の合意内容を十分に反映したものである必要があります。
特に以下の3つは売主(うりぬし、輸出する側)が作成する書類の中で大切なものです。
- I/V = INVOICE = インボイス = 仕入書(しいれしょ)
- P/L = PACKING LIST = パッキングリスト = 梱包明細(こんぽうめいさい)
- S/I = SHIPPING INSTRUCTION = シッピングインストラクション = 船積依頼書
今回は、これらの主要な船積書類(ふなづみしょるい)について、一緒にみていきましょう。
I/V(インボイス)P/L、S/I とは?|主要な船積書類たち
3つの船積書類( I/V、S/I、S/I )の中で、I/V(インボイス)は別格です。
というのも、「一般的に」輸入国の税関で「インボイスの提出」が必須とされているからです。
インボイスは輸入価格を税関が確認するために使われます。
また、密輸(嘘をついて貨物を輸出入すること。無申告も該当)を取り締まる目的もあります。
インボイスのサンプルが必要な人は、エクセル版をダウンロードできる状態にしているのでご自由にどうぞ。
個人で契約している Office 365 版のエクセルを使っています。
I/Vはインボイス、送り状などいくつかの呼び名があります
インボイスには「請求書」という意味で使われることもあるため、船積に使われるものは通関用インボイス、Shipping Invoice とも呼ばれます。
インボイスは、もっとも重要な書類の一つです。
ですから、以前は輸出申告の際に税関への提出が必須でした。
しかし、2012年の関税法の改正で「税関は提出させることができる」と変わっています。
これは、電子商取引が進み、別の書類や電子データで同様の内容を証明できる場合に備えて改正された、とぼくは理解しています。
とはいえ、いくらペーパーレスが進んでも、まだまだ売買契約や輸出入の実務は紙(書類)ベースが多いでしょう。
数千円、数万円程度なら、Amazon のように全部電子的な取引で済みますけれど、数百万円、数千万円する産業用機械や設備などを PDF だけで済ませるのは、相手のあることですからなかなかハードルが高い。
となると、売買契約の要点が記載されたインボイスは、相変わらず B/L と同様に重要な書類となります。
ちなみに、インボイス( I/V )には「貨物の品名、種類、数量、価格、代金支払方法、荷送人および荷受人の住所、居所、氏名、名称等が記載されること」(まるで通関士の基礎問題のようですが)、と呪文のようにあらゆる法律や基本通達などで定められています。
ここで代金支払い方法とは、通常「 INCOTERMS (インコタームズ)」を指しています。
続いて、パッキングリストについて、みていきましょう。
P/Lもパッキングリスト、梱包明細などの別名があります
インボイス( shipping invoice )は取引金額を証明する書類です。
したがい、Shipper(輸出者)、Consignee(受け荷主)、INCOTERMS(インコタームズ)、金額や通貨などにスポットライトをあてて作成します。
一方、パッキングリスト( Packing List、P/L )は、貨物の詳しい中身を表すための書類です。
もちろん、貨物の口数(くちすう、個数のこと)が少なければ、インボイスに梱包明細を書ききることもできます。
パッキングリストには、貨物の個数、包装後の重量、容積、荷印など(英語表記: NET WEIGHT、GROSS WEIGHT、MEASUREMENT、MARK など)が記載されます。
特にどこかに定めがあるわけではないものの、過去からの習慣で、海上輸送は単位に KG(キログラム)、M(メートル)を用いるのが一般的です。
一方、航空輸送は単位に G(グラム)、CM(センチメートル)を使うことが慣習となっています。
また、縦横高さの「縦横」は、どちらを先に書いてもよさそうなものですが、一般的に2.000 x 1.500 x 0.800 (M): 2.400 (M3) といった具合に長い方向(長手<ながて>方向ともいいます)を先に書いて、最後に高さを書きます。
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ここで、Mはメートル、M3は立法メートル(キュービックメートルとも呼びます)を意味します。
容積は運賃の基準、コンテナに混載する時の参考にもなるのでパッキングリストに含めます。
なお、簡単な梱包の貨物であれば、P/Lは作成不要です。
業務の効率化のために、口数の少ない貨物はパッキングリストをテスト的に省いてみましょう。
もちろん、信用状( L/C )で要求があるときは省略してはダメですよ。
重量、容積などがインボイスのどこかに書かれていれば用をなします。
荷印(ケースマーク、シッピングマーク)を貼る場所について
パッキングリストに描かれた荷印(ケースマーク、シッピングマーク)を貼る場所について、職場の後輩に聞かれることがあります。
基本、どこでも構わないのですが、荷印(ケースマーク、シッピングマーク)は側面の見やすい高さに貼るのが一般的です。
まさか箱の底に貼る人はいないでしょうが、上に貼るのもフォークリフトで作業をする際に見にくいため、側面に貼るのがスタンダードです。
最低2枚、可能なら4枚です。
なお、シッピングマークもサンプルを用意しているので、ご自由にお持ち帰りください。
I/V、P/L、S/Iが最低限…… S/Iって何?
貨物を輸出する際、乙仲業者に提出する最低限の書類は以下でした。
- I/V = INVOICE = インボイス、仕入書、送り状などとも呼ばれます
- P/L = PACKING LIST = パッキングリスト、梱包明細などとも呼ばれます
- S/I = SHIPPING INSTRUCTION = シッピングインストラクション
1、2はともかく、3はなじみのない貿易実務用語かも知れません。
S/I( SHIPPING INSTRUCTION、エスアイと呼ぶこともあります )は、B/Lの記載内容を乙仲業者に指示をするための書類です。
これに相当する別の書類を使用されているメーカー、商社の方はこの名称ではない可能性もありますが、同じ目的の書類、電子データを乙仲業者、船会社に渡されていることでしょう。
B/L に何を書くか、どのように書くかは SHIPPER が指示をするものだからです。
一つ、サンプルを公開されているサイトをご紹介します。
S/I に定まったフォーマットはないので、このように自分の貨物に合わせて自作して構いません。
S/I は輸出者から通関業者、船会社(船舶代理店)に B/L の記載内容を具体的に個々の項目について指示することができます。
Shipper、Consignee、Notify Party など、全ての項目について、一字一句、大文字か小文字か、スペースを入れるか入れないか、といったレベルまでメールやFAXなどで乙仲業者と確認します。
この確認を怠って B/L を発行すると、後で非常に面倒なことに巻き込まれることになりますからね。
ちなみに、小口の貨物、シンプルな船積書類で取引される貨物では、S/I を使わないこともあります。
雑貨1つや書類一式など、安価で簡易的な梱包の貨物であれば、通関業者は I/V の記載内容からB/Lの記載内容を読み取って対応するからです。
逆にそれなりのボリュームの貨物ならば、自分自身の勘違い防止のためにも毎回、作成、提出されることをおすすめします。
この3つで、輸出通関の時に税関に提出する B/L、I/V、P/L の記載内容が決まります。
社内で実際に使われている I/V、P/L、S/I を眺めてみましょう
ここまでの内容をまとめます。
貿易実務や通関士の参考書にも I/V や P/L のサンプルが載っています。
しかし、もしあなたがお勤めの会社の I/V や P/L の実物を見る機会があったら、是非、手に取ってみてください。
おそらく、参考書に載っているフォームと、細かい部分が異なっていることでしょう。
もちろん、一定の様式はあります。
サインをする欄が書類の上の方にあったり、荷印に小文字が使ってあったり、などといった珍妙なことはないはずです。
ただ、たとえば WEIGHT の欄をどう並べるか、荷印の記載内容をどうするか、といったことは長年、先輩たちが客先や乙仲業者などとやり取り、試行錯誤されてきた結果でもあります。
参考書のフォーマット通りに情報を並べる必要はありません。
全体として必要な情報が見やすく盛り込まれておればよいのです。
あなた自身が、さらに改良していけば、さらに使いやすい書類になります。
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実際の業務でどのように使われているかを知れば、社内でその分野のちょっとした専門家になれますよ。








