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【貿易】デバンってなんですか?|意味と使い方(出番、じゃないよ)

貿易実務・事務処理

こんにちは。

とあるメーカーで貿易実務について20年超の神高(かんだか)です。

職場の若い同僚と「乙仲さんがデバン、デバンって電話で言ってるの、語源は何ですか?まさかテレビドラマの出番(でばん)と一緒、なわけないですよね」なんて話をしました。

そんなこと、考えたこともなかったな。

たしかに、業界用語はどの世界にもあります。

  • 刑事が犯人を「ホシ」と呼びながら尾行する
  • 古い食材を板前が「アニキ」と指摘してそっと片付ける

これらと同じように、コンテナから中身の貨物・荷物を取り出すことを物流、貿易の業界では「デバン」と呼びます。

ただし、デバンは「出番」ではなく「デバンニング( Devanning )」の略ですし、別に誰かに何かを隠している(隠語)わけではありません。

電話やメールの中で、ふつうに「デバン」という用語は登場します。

【貿易】デバンってなんですか?|意味と使い方(出番、じゃないよ)

ということで、「デバン」は「 Devanning 」の略で、コンテナから中身の貨物・製品などを取り出すことを意味していることはわかりました。

このとき、devanning ( n は二つ)はちゃんと通じる英語なので、英文メールでも使えます。

たとえば、「こちらでデバンする時に余裕がないので、梱包の高さを少し低くできませんか?」なんて場合に使えます。

試訳:Can you lower the height of the packaging a little for our devanning in Japan?

念のため、海外のコンテナ会社でも使われている例を一つ、紹介しておきましょう。

ページの中央あたりに「 Specialist devanning cargo solutions 」なんて記載がありますよね。

貨物を入れる時は「バン詰め(ばんづめ)」という用語も使います

日本語の「板(ばん)」からの連想なのか、コンテナ自体を「バン」と呼ぶこともあるのがちょっと、ややこしい。

そこから派生したのでしょう。

コンテナに貨物を入れることは広く「バン詰め(ばんづめ)」と呼ばれています。

「バン詰めしていたら、パッキングリストと微妙にサイズが違ってました。返送しましょうか?」みたいな使い方をします。

まあ、辞書によると名詞としての van は caravan (ほろ馬車)の短縮形だそうですから、元の意味に戻ったと言えなくもないですね。

貨物を積み込むときの英語表現は「 Vanning (バニング)」

逆にコンテナに入れる(搬入<はんにゅう>)するときは De- を外して Vanning(バニング)と呼びます。

このとき、デバンの「デ」を「出る」から来ていると覚えると、イメージしやすいですよね。

出すときが「出(で)」で、逆に入れるときは「出」がない。

だから「バニング( Vanning )」。

ただ、実際は Devanning の De- は「 decrease (減少する)」と同じように「下げる」などを表す接頭語の de- からきています。

【貿易】デバンってなんですか?|まとめ( Devanning Report について)

ビジタブル-busitable

本日はお越しいただき、ありがとうございました。

乙仲さん(通関業者、フォワーダー)にうかがうと、デバンは大変な作業らしいですね。

そりゃ、送り出すより受け入れる方がしんどいでしょう。

海外から届いた貨物を初めて開ける儀式ですから、予想外のモノや生き物(ヒアリとか、怖いですね)などが入っているかも知れない。

ほんと、感謝しかない。

ここまでの内容を目次でまとめておきます。

デバンがらみでいえば「 Devanning Report(デバンニングレポート)」という書類があるので、最後に少し触れておきます。

これは、荷主(荷物を実際に輸入する名義人)は目にしない書類でしてね。

Devanning Report(デバンニングレポート)とは、コンテナを輸入し、CY(コンテナヤード) や CFS(コンテナフレートステーション) で貨物の引渡しを受けた時に外観・梱包状態をチェックし、記録したものです。

問題があったり、異常があったりすればコメント(リマーク、remark )が付いて、船会社に再確認をしたりするわけですが、この一連の仕事は通常は船舶代理店や乙仲さん(通関業者)がしてくれます。

よほど重要な貨物なら、輸入者も立ち会えますが、さすがに港の近くですからね。

で、何もなくて当たり前なので、日々の仕事では輸入者はあまり目にしない書類なのです。

とはいえ、バニングレポートが「問題なし」なのに倉庫や工場に搬入した時に異常が見つかる、なんてこともなくはない。

そんなときは、貨物の流れをさかのぼって、必要であれば船会社などにも確認を入れます(このあたりの事務処理も、乙仲さんが対応してくれるはずです)。

「工場で受け取った時に梱包の外観で気になることがあったので、デバンニングレポートを調べてもらえますか?」なんて通関業者に連絡を入れるのは、まったく愉快な状況ではありません。

ただ、貨物がコンテナから取り出されたときにチェックが入る、ということは、知っておいて損はないでしょう。

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管理人の自己紹介
この記事を書いた人
Tohma Kandaka

神高 十真(かんだか とおま)
1974年生まれ
地方企業(メーカー)の海外営業職
貿易実務、英語などを一緒に学ぶビジタブル|busitable の中の人
通関士試験合格(3科目)、英検1級、TOEIC 900点-(計測中)、日商簿記2級、知財技能士2級など

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