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国際商業会議所が考えるインコタームズの未来、ってどんなもの?

宇宙の移動 貿易実務・事務処理

こんにちは。

とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。

2019年7月31日、ICC(国際商業会議所)から入った一本のメールに、こう書かれていました。

「The future of the Incoterms® rules in space:宇宙で使われるインコタームズの未来

神高
神高

国際商業会議所は、ずいぶんと大胆なことを考えているようです。

具体的には、いったいどんなことを指すのか、一緒にプレスリリースを確認してみましょう。

貿易実務で経験してきたことなども考慮しながら、翻訳しています。

国際商業会議所が考えるインコタームズの未来、ってどんなもの?

50 years ago, Neil Armstrong became the first person to land on the moon. The Apollo 11 space mission captured the hearts and minds of the world – inspiring a new generation of scientists, innovators, and entrepreneurs.
50年前、ニールアームストロング船長は月面に着陸した最初の人物になりました。アポロ11号の宇宙ミッションは世界中をとりこにし、科学者、革新者、事業家の新しい世代に刺激を与えたのです。( the hearts and minds of ~ = ~の心 という慣用句)

インコタームズ2020 の時代:宇宙旅行は「夢物語」から「現実」へ

In the same spirit, a new generation of entrepreneurs are competing to win the next space race. Technological advancements, cheaper costs, and support from national governments have transformed space travel from Hollywood fantasy to commercial reality. From tourism to trade, space will provide business, governments, and society with new development opportunities. As space development progresses, what rules will govern relations between states? How can businesses resolve disputes originating from outer space? What happens when the delivery of a shipment from Panama to Hong Kong is intercepted in space?
それと同じ精神で、新世代の起業家が次世代の「宇宙レース」に勝つために競争しています。技術の進歩と低コスト化、および各国とき政府の支援により、宇宙旅行はハリウッド映画上の「夢物語」から商業的な「現実」へ変化を遂げています。観光から貿易に至るまで、「宇宙」はビジネス、政治、そして社会に広く新しい開発の機会をもたらします。一方、宇宙開発が進む中で、国家間の関係を支配する(統制する)規則は何ですか?宇宙でおきた紛争を企業はどのように解決できますか?パナマから香港へ輸送される貨物を宇宙で横取りされたらどうなりますか?

インコタームズ2020 の時代:宇宙輸送にも責任範囲、リスクやコストの配分を

These are some of the questions that Daniela Maria Rojas Garcia, a recent air and space law graduate, is seeking to answer. While others are devoting their attention to space luggage fashion and rocket ship designs, Ms Rojas Garcia is more interested in the regulatory aspect of space travel. “In the future, we are going to start having extra-terrestrial transport,” said Ms Rojas Garcia. “We need to consider not only how transport is going to be made, but also responsibility, transfer of risk, and allocation of costs.”
これらは、航空宇宙法を学んだロハス・ガルシアさんが答えを得ようとしている質問の一部です。ほかの人が「宇宙で使える荷物の形態(荷姿)」や「ロケット船の設計」に注意を向ける中、ロハス・ガルシアさんは宇宙旅行の規制の面により関心を寄せています。 「将来、地球県外の貨物輸送を始める予定です」とロハス・ガルシアさんは言います。 「そうなれば、輸送の方法だけでなく、責任範囲、リスクの移転、コストの配分も考慮する必要があります。」

インコタームズ2020 の時代:「宇宙貿易」の時代の INCOTERMS

……… 記事の最後のまとめ部分です。

Not only will the Incoterms® rules need to account for a new arena of trade, but they also must be able to adapt to the speed of space trade, according to Ms Rojas Garcia. “[Trade] between countries going outside of the Earth and coming back in will be much faster than going straight (across) Earth’s surface,” explained Ms Rojas Garcia. “Transportation will become more immediate [and] you will need to respond just as fast.”
ロハス・ガルシアさんは、「インコタームズ(R)のルールは新たな貿易分野を考慮する必要があるだけでなく、「宇宙貿易」の変化の速度に適応できなければなりません」と言います。 「地球の外に出て戻ってくる国家間の「貿易」は、地球の表面に沿った輸送(注:陸海空、現在のあらゆる輸送方法)よりもはるかに速くなります」とも説明します。 「輸送はより迅速になります。それはつまり、あなたも同じように迅速に対応する必要がある、ということです」

10年後、たしかにインコタームズも大きく変わっているかも|まとめ

ここまでの内容をまとめておきましょう。

定まった用語の訳がないので、結構、苦労しました。

「 space trade 」=「宇宙貿易」でいいのかな?、なんて。

今回のプレスリリース、特にICC(国際商業会議所)が何かを定めるわけではないのですが、INCOTERMS の策定に関わる人々は新しい時代の「貿易のルール」として広く使える、柔軟なものを目指していることがわかります。

そういえば、INCOTERMS 2010 のときも「国内輸送でも使える INCOTERMS に」という理念のもとにいろいろと変更・入れ替えがなされました。

日本国内の輸送に EXW が使われる場面を見たことがありませんが、確かにそのような使い方はできますし、特に EU 圏内では使われる事例もたくさんあるようです。

まあ、「『EXW 明石工場』だから積み込み作業に使うクレーンは受け荷主側で用意してください」なんてことは言えませんけどね……。

INCOTERMS 2020、どのような中身になるのか、興味深いです。

INCOTERMS 2020の発表はいつ? 2019年の……

インコタームズ2020年版( INCOTERMS 2020 )が発効となりました

2020年1月1日より、インコタームズ2020年版( INCOTERMS 2020 )が発効となりました。

DAT が廃止されて、DPU が新設されたのがポイントです。

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