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INSURANCE POLICY(保険証券)のポリシーの意味とは?

貿易実務・事務処理

こんにちは。

とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。

L/C (Letter of Credit、信用状)決済、かつ CIFCIP 契約の場合、Insurance Policy という書類を要求されることになるものの、この Policy という表現がわかりにくい、と同じ部署の後輩からコメントがありました。

インシュアランス・ポリシーとは、いわゆる「保険証券」のことです。

ただ、たしかに、営業の打ち合わせの中でポリシー( policy )といえば「方針」や「ルール」といったニュアンスとなるので、意味を混同しやすいですよね。

あらためて、 Insurance Policy という表現について、一緒に整理しておきましょう。

また、後半のパートで「 NEXI の貿易保険との違い」や貿易実務者なら知っておいて損のない「周辺情報」にも触れています。

INSURANCE POLICY(保険証券)のポリシーの意味とは?

港とガントリークレーン

まったく同じ綴りの「 policy 」ではあるものの、保険に使う policy と方針や政策を日本語でも意味する「ポリシー」とは意味と語源が異なります。

保険に使う policy はギリシア語を語源とし、ズバリ「証券、証明」を意味しています。

辞書でも policy 1、2 と別建てになっているので、一度確認してみると面白いでしょう。

ちなみに、いまや無料で公開されている「ロングマン英英辞典」では、こんな解説となっています。

2番目が「保険」における「ポリシー」の説明です。

輸出者( Shipper )に「保険の付保を忘れないで」と言いたいとき

Shipper(輸出者)に「忘れずに保険を掛けておいてね」と言いたいとしましょう。

辞書には take out a policy で「 ~保険に加入する 」という例文もありますけれども、アジア圏を相手にしていると「え?保険証券を直送するのか?」などと誤解されるかも知れません。

ですから、日本側が輸入者の CIFCIP 契約で、保険付保(ふほ、保険をかけること)を現地に電子メールなどで念押ししておきたいのなら、

Please don’t forget an insurance policy for your L/C negotiation before shipment.

程度の表現で十分でしょう。

インシュランスポリシーをを発行するのは保険会社、宛先は被保険者

コンテナヤードと港

インシュランスポリシーは、保険会社が被保険者(日本からCIFCIP で輸出するなら輸出者のこと)に対して発行されます。

L/C 決済の場合、保険証券の宛先、条件( ALL RISKS 等)などは L/C 上に記載されるため、その内容に従った文言で発行してもらわねばなりません。

したがい、不慣れであれば、メールなどで別に指示するのではなく、L/C の必要な箇所をコビーして保険会社にそのまま送り、証券の記載内容を確認してもらうことも有益です。

なお、この種の保険については国際的なルールを国際商業会議所(= International Chamber of Commerce、インコタームスなどを定める団体)が「荷為替信用状に関する統一規則及び慣例」、通称「信用状統一規則( UCP )」が定めていますから、輸入者側が好き勝手な条件を L/C に書いても保険会社は取り合ってくれません。

日本貿易保険(NEXI)の貿易保険は「外航貨物海上保険」とは異なります

いわゆる「(外航貨物)海上保険」とは別の種類の「保険」として、日本貿易保険(NEXI)の「貿易保険」という商品があります。

公式サイトには、 ~「貿易保険」は日本の企業が行う海外取引(輸出・投資・融資)の輸出不能や代金回収不能をカバーする保険です。~ との説明があり、取引先の破産、破産に準ずる事態、支払期限を3カ月以上過ぎて支払いがない場合は事故発生として扱われる、と記載されています。

したがい、貨物自体に保険はかからないので、この保険を Insurance Policy として L/C とともに買取、取り立てに出すことはできません。

ちなみに、この「貿易保険」も取引先の資金繰りが厳しい、といった程度では保険は下りないので、あくまで「いざという時の保険」と考えて取引するのが大切です。

レスポンスが遅い、L/C 開設が遅れるようになってきた、といった変化があれば、貿易保険を掛けるとともに、社内で共有していきましょう。

輸出者側が保険金を受け取りたいなら、NEXI の貿易保険を検討

貨物海上保険をかけておけば、万一貨物への損害が生じた場合は、通常、CIF 価格に10%の希望利益を加えた保険金額を限度として保険金を受け取ることができます。

そのため、L/C にも「 インボイス ( INVOICE )価格の x 110% の保険証券を銀行に提出すること」と書かれるのが一般的です。

ただし、保険金を受け取るのは「輸入者側」です。

貨物の損傷や水濡れなどが見つかるのは、通常は船積後(危険負担の移転後)であり、対応するのも仕向地で保険証券を持つ輸入者だからです。

(なお、各国で保険の代理店が設定されていて、保険証券にも事故があった時の連絡先に関する記載があります)

だから、輸出者側で何か心配ごとがあるのであれば、NEXI の「貿易保険」を掛けるのです。

わかりやすい Youtube 動画もあります。(相当、お金、かかってんなあ……)

神高
神高

保険を掛けると、一回目の与信調査が無料で付いてくる、ってのが中小企業にはうれしいですよね。ふつうは数万円、かかりますから。

貨物海上保険の料率(保険料)は輸送方法や過去の実績で交渉できる|まとめ

ここまでの内容をまとめておきましょう。

 

長年、保険料の見直しがされていないようであれば、2社目、3社目の保険会社に相見積(あいみつもり)を取ってみましょう。

保険も「商品」なので、「契約自由」です。

また、打ち合わせを通じて、保険のしくみを勉強できます。

保険会社と交渉すれば、月締めの後払いや期間建て払いを認めてくれることもあります。

また、貨物海上保険は決まった料率(りょうりつ、インボイス価格の何%を保険料とするか)がないので、個別に交渉することもできます。

保険会社も商売なので、

  • 「長年、保険を使っていないユーザー」
  • 「何年も保険が使われていない貨物」

などに対しては、魅力的な料率を提案しやすいのです。

あなたの貨物も料率が見直され、結果として業務改善につながるかも知れません。

最後に。

もし、あなたが貿易実務に関わって日が浅いのであれば、この記事だけは読んで帰ってください。

きっと、お役に立てると思います。

貿易実務・事務処理
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管理人の自己紹介
この記事を書いた人
Tohma Kandaka

神高 十真(かんだか とおま)
1974年生まれ
地方企業(メーカー)の海外営業職
貿易実務、英語などを一緒に学ぶビジタブル|busitable の中の人
通関士試験合格(3科目)、英検1級、TOEIC 900点-(計測中)、日商簿記2級、知財技能士2級など

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