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【貿易】Beneficiary Certificateの「本当の意味」と使い方とは?

貿易実務・事務処理

こんにちは。

とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超の神高(かんだか)です。

Beneficiary Certificate (ベネフィシャリー・サーティフィケート)という貿易用語をご存じでしょうか?

L/C (信用状)の中で「 BENE CERT (ベネサート)」などと記載されることもあるこの仕組み、信用状決済の変則ルールなのですが、あまりネットに参考となる記述がありません。

神高
神高

特にアジア諸国からの輸入時に、デマレージ回避の観点で役に立つケースがあるので、ご紹介しておきます。

beneficiary は貿易の世界では「受益者 – じゅえきしゃ」と訳されます。

つまり、beneficiary とは、「お金を受け取る側」つまり「売主、シッパー( Shipper )」を表しています。

【貿易】Beneficiary Certificateの「本当の意味」と使い方とは?

もし、あなたが輸入者で、L/C決済による船積書類受領のタイミングに悩まされているならば、Beneficiary Certificate 方式が使えるかも知れません。

一例として、たとえば、3/3ある B/L のうちの1枚とその他船積み書類(原産地証明なども)を先にクーリエで直接、送付してもらう仕組みBeneficiary Certificate (ベネフィシャリー サーティフィケート、ベネサート、強引に直訳すれば「受益者の証明書」)と呼びます。

買主は、書類の一部(とくにオリジナル B/L )を直接受け取るので、輸入に際し、銀行の経由の船積書類を待つ必要がありません。

これが、ベネサートの「本当の狙い」です。

神高
神高

逆に売る側から見ると、「代金の支払いが遅れている中で、貨物だけ取られるかも知れない」という心配が増す条件です。

Beneficiary Certificate 方式は輸入者にとって有利な形態です。

輸入者側がこの仕組みをうまく使えば、デマレージ回避の有力な対策ともなり得ます。

Beneficiary Certificate のサンプル|英文の事例

Beneficiary Certificate のサンプルは一概に言えないですが、たとえば以下のような内容です。

Beneficiary Certificate

WE DO HEREBY CERTIFY THAT ONE COPY OF INVOICE, PACKING LIST,NON NEGOTIABLE BILL OF LADING ( B/L ) HAVE BEEN SENT TO APPLICANT BY DHL.

DATE : 01-JUL-2020

APPLICANT : BUSITABLE TRADING INC.

L/C NO : B12SI345678

INVOICE NO: KNDK-1

ORDER NO : DRMN-21120903

QUANTITY : 3 PCS. (2 SKIDS)

< 輸出者のサイン >

あなたが輸出者なら、細かい文言は L/C (信用状)に書かれている内容に従ってください。

ひとまず、船積の詳細を網羅して箇条書きにしておけば、用は足ります。

逆にあなたが輸入者なら、この書類を求めることで Invoice, Packing List, B/L を各1通、DHL で別送してもらうことを意図することになります。

神高
神高

もちろん、契約にうたってないと(普通は)ダメですよ。船積書類の一部を別送する、ということは、貨物を通常よりも早く取られちゃう、ということですからね。

Beneficiary Certificate の間接的な解説が JETRO にあります

さきほどネットでの情報が少ない、と申し上げました。

しかし、さすが JETRO のサイトには、ベネサートを「間接的に」説明している記事があります。

この JETRO のサイトの質問者は輸出側であることにご注目ください。

つまり、ベネサートを要請されている「日本にいる輸出者の悩み相談」となっているのです。

あなたが輸入者なら、立場はちょうど逆となります。

すなわち、ベネサートは買主(輸入者)にとってリスクが少なく好都合な、使い勝手の良い仕組みとなっていることがおわかりいただけるでしょう。

もちろん、L/C を用いるのであれば、ベネサートは双方合意の上でなければ使えないので、「売買契約書」「〇〇契約書」、あるいはその改訂の中で、あらかじめ、これらの条件を取り決めする必要があります。

さもないと、L/C 開設の時点で矛盾(双方満たせない条件)を含むことになってしまい、初めから「ディスクレが約束された」も同然の L/C を開くはめになります。

デマレージ費用の負担者が誰なのか|答え:決まっていません

デマレージを誰が負担するかについて、INCOTERMSなどに定められたルールはありません。

この機会に、FOBCIF、INCOTERMS 2000の DDU や DDP にしても、再度、読み直してみました。

しかし、費用負担、危険負担の記載はあっても、デマレージについてまでは言及がないのです。

では、実務上、すでに発生してしまったデマレージは、売主( Shipper )、買主( Consignee )、はたまた船会社( Shipping Company )、どこが負担するべきなのでしょうか。

これは、残念ながら、ひとまず買主が費用を負担しなければならないでしょう。

というのも、懲罰的な意味合いもあり、保管料は1日遅れるごとに累進的に、すなわち、2倍、4倍といった速さで上がるからです。

以下はコンテナ船による輸送で日本最大手 ONE ( OCEAN NETWORK EXPRESS )の公式サイトに掲載されている例です。

これらの金額は、1日当たりであることに注目ください。(週単位、月単位ではありません)

神高
神高

他の船会社も似たり寄ったりな条件なので、これらの金額が特別高いわけではないですよ。念のため。

この例では、通常のドライコンテナでも高額だが、FLAT RACK などの特殊コンテナ(特殊バン)となれば、10日目から48,000円/日の保管料がかかることが示されています。

すなわち、売主に買主からクレームをして協議している間にも、それだけの金額が日々、発生するわけです。

あとから売主に費用負担(費用分担)の協議を申し入れるにしても、総額は少ない方がよい。

本来は、お互い、考慮する必要のない無駄な費用ですから、当然です。

したがい、現実的には一旦、買主が払って、貨物をすみやかに引き取らざるを得ないのです。

そのあとで、売主にクレーム、協議、あるいはあまりに誠意がなければ売買契約書に基づき、仲裁裁判( arbitration )などに持ち込み、費用負担について第三者を交えて協議することもできます。

たとえば、船積書類の送付につき、売主側で大きな過失があれば、買主側としては大いに主張すべきでしょう。

それであるとしても、一旦は貨物を輸入者の管理下に置かねばならないのです。

本当に L/C (信用状)決済が不可避なのかどうか

Beneficiary Certificate がデマレージ回避の有効策である、とお伝えしました。

ただ、もし状況が許すなら、L/C 決済にこだわる必要はありません。

双方で合意し、Sea Waybill や Surrendered B/L を用いた T/T(電子送金)決済を用いることもできるなら、デマレージの不安はほぼ無くなります。

(注: 双方の銀行に確認が必要ですが、B/L ではなく、Sea Waybill、Surrendered B/Lでも L/C 決済で使えるケースもあります)

あるいは、銀行に相談して R/G( Refund Guarantee、前受金返還保証)やその他の Guarantee を銀行経由で売主と結んで、T/T 決済の中で何か問題があった時は金銭的に解決する旨を定めておく、というのも有力な選択肢でしょう。

神高
神高

これらの保証やボンドなどの内容は、L/C 決済を扱っている銀行に相談すれば、丁寧に教えてくれますよ。相談だけなら「無料」です。

特に、グループ会社、長期にわたる信頼関係のある協力会社やサプライヤーとの取引においては、L/C 以外の決済も有力な選択肢になり得るでしょう。

実務者だから提案できる、デマレージ回避のための工夫|まとめ

最後に、今回、お伝えしたことをおさらいしておきます。

Beneficiary Certificate は支払いの問題を回避するために用いられる仕組みです。

たしかに、書類だけで問題を回避しようとすれば、必要悪というか致し方ない方策なのかも知れません。

しかし、今の時代、メール本文や電話だけの英語のコミュニケーションにこだわる理由はないのです。

必要なら携帯電話アプリによる電話会議をしても良いでしょう。

たとえば iPhone や iPad 同士なら、FaceTime でカメラの画像を見せながら話せます。

あるいは、Microsoft Teams も便利ですね。

中国との顧客と電話会議をする時でも、テンセント・ミーティング、あるいは Microsoft Teams、いずれも使った経験があります。

神高
神高

We Chat を運営する Tencent の会議システム VooV も使いました。

よくできてましたねぇ。動作が軽くて驚きました。

もし、輸出者の貿易実務の担当者と同じ会社、同じチームのように頻繁に情報共有できれば、輸出前にフリータイムの交渉を輸出国側で頼むなどして、デマレージ( demurrage )のリスクを軽減できます。

貿易実務者同士は、所属する企業が違っても利害が一致しています。

この点は、営業部門や資材、調達部門とは違うので、ぜひ、心に留めておいてください。

売主、買主、両方とも、より不安の少ない方法を見つけたいものなのです。

予定していないものを勝手に発送してきたのならまだしも、輸出入のバックには、通常、売買契約があり、場合によっては L/C もあります。

CARGO READY( 貨物の準備が整う時期 )が決まれば、積載する船についてもある程度、実務者同士でやりとりをする時間もあります。

多少の問題があっても、コミュニケーションの改善だけで回避きる可能性だって、あるはずなのです。

輸入に際してデマレージなどのトラブルが続くのであれば、日本側の乙仲業者、そしてなにより輸出者と意思疎通を図りましょう。

それだけで、悩みが一つ、減らせるかも知れませんよ。

管理人の自己紹介
この記事を書いた人
Tohma Kandaka

神高 十真(かんだか とおま)
1974年生まれ
地方企業(メーカー)の海外営業職
貿易実務、英語などを一緒に学ぶビジタブル|busitable の中の人
通関士試験合格(3科目)、英検1級、TOEIC 900点-(計測中)、日商簿記2級、知財技能士2級など

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